中学校家庭/家族や地域の高齢者との関わり

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家族や地域の高齢者から聞いた話など、自分の過去を振り返り、自分の心に響いた出来事を書いてみましょう。

地域の高齢者と関わる[編集]

現代は平均寿命100歳と言われるように、私達の住む地域にも様々な高齢者が暮らしています。働いている人、ボランティアなど地域のために何かをしている人、杖をついて歩いたり、車椅子を利用する人もいます。少子高齢社会の中で、高齢者の数はどんどん増えています。地域の人々、それも高齢者と関わると、私達の生活や家族の暮らしがより豊かになります。

私達の家族や地域のお年寄りが、今までの生活の中で何をしてくれたか考えてみましょう。そして、将来の私達が家族や地域のお年寄りに何が出来るのかを考えてみましょう。

高齢者も元気に生きる
高齢になっても、趣味・仕事・目標・新しい経験など、人生を充実させるために、高齢者の生き方から参考になる部分もあるでしょう。

1960年代から、三浦雄一郎さんは、プロスキーヤーとして活躍しています。2003年・2008年・2013年に、病気や怪我を抱えながらも3度のエベレスト登頂を果たしました。3度目のエベレスト登頂は80歳224日で世界最高齢記録となります。帰国後、「夢に向かって諦めなければ、望みは叶えられます」と語りました。

若宮正子さんは定年後、同居する母の介護をしながら、趣味に励み、一人でパソコンの使い方を覚えます。81歳でプログラミングを覚え始め、82歳でシニア向けのアプリ「hinadan」を作りました。好奇心から新しい試みをするうちに、「今が人生で一番楽しい」と話してくれました。

室井摩耶子は、6歳からピアノを習い始め、1945年にソリストとして初登場しました。1956年にドイツに渡り、海外13カ国で演奏しました。帰国後、80歳を過ぎても名演奏家として活躍しました。「年を取ったからといって衰えず、成長します。」と自信満々に語っています。

諺「亀の甲より年の劫」とあるように、年を取ると経験値も貴重で大切になってきます。中国語の「劫」は非常に長い時間を意味します。また、「年の功」と書いて、成功の年数を意味する場合もあります。

高齢者の体の特徴[編集]

加齢による体の変化
耳:聴覚困難(特に高い音)があります。

皮膚:感覚が鈍く、指も動かせなくなります。

呼吸:肺活量が低下して、息切れも起こりやすくなります。

泌尿器:トイレに行く回数が増えます。

目:以前より見えなくなります。

心臓:心臓の鼓動が早く感じられます。

骨:骨折しやすくなります。

関節:関節が硬くなり、動きにくくなります。

筋肉:足腰が弱くなります。

人間は誰でも乳児期・幼児期・児童期・青年期・壮年期・高齢期を迎えます。人は生まれてから死ぬまで変化を続けながら生きていきますが、年齢を重ねると、だんだんと衰えていきます。年齢を重ねると精神や体も変わります。しかし、その現れ方は人によって違います。

介護福祉士松野みどりさん 高齢者との会話を楽しんで
病気や事故で入院している方が元気になるための支援をしています。ほぼ動けない患者が自分でご飯を食べられるようになり、涙を流しながら笑顔で退院していく姿を見ると、やりがいを感じます。介護の仕事は「大変そう」とよく言われていますが、こんなにも「ありがとう」と言われる仕事は中々ありません。高齢者は、私達より人生経験も知識も、残された時間も豊富です。ぜひ、介護のイメージにとらわれず、高齢者と関わってみてください。

もし、家族や地域の高齢者が起き上がったり、移動する際、困っていたら、声をかけたり、手を差し伸べてあげると、その高齢者の助けになり、あなたとの距離も縮まります。下の資料はそれをどうやって行えばよいのかを取り上げています。

高齢者との関わり方
■立ち上がりの介助
  • 手を添えながら、足をしっかり地面につけ、踵が浮かないように足を引き上げます。
  • お辞儀をするように手を斜め下に引き、お尻を浮かせます。
  • 膝を伸ばし、上体を起こすようにします。引き上げる時はあまり強く引っ張らないようにしましょう。

■歩行の介助

並んで歩く時は、同じ歩調で、腕の下から支え合います。手摺があればそれも利用しましょう。

※麻痺がなく、自分で立って歩けるようになった人に歩行の介助を行いましょう。

■声の掛け方

  • お年寄りの目線に揃えて、距離を取りましょう。
  • 明るい言葉で、ゆっくり大きな声で話しましょう。
  • 自分の声や気持ちが伝わるように、手や背中に触れて、やさしく話しかけましょう。