中学校社会 公民/外国での政府のしくみ

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

日本の議院内閣制は、イギリスの制度にならったものである。

世界の多くの国では、民主主義で国民からの投票によって議員が選ばれるが、そうでない国もある。


大まかな傾向[編集]

※ 一部の検定教科書で紹介されているらしい。

国にもよりますが、「大統領」と「首相」は異なります。一般的に、国王のいない国では、「大統領」が国家元首です。「首相」は、行政府の長のことです。


たとえばフランスは、大統領もいますが、それとは別に首相もいます。

ドイツも、大統領がいますが、それとは別に首相がいます。

大統領と首相、どちらが政治の実権をにぎっているかは、国によって異なります。

なお、アメリカ合衆国には、大統領とは別の「首相」はいません。


国際的な通例では、国王がいる国では、国王が国家元首です。だからイギリスでは、国王(エリザベス女王)が国家元首です。しかしエリザベス女王は政治の実権は握っていません。イギリスで政治の実権をにぎっているのは首相です。

このように、国家元首だからといって、政治の実権をにぎっているかどうかも別問題です。


外国での議院内閣制および大統領制[編集]

アメリカ[編集]

アメリカのバイデン大統領
アメリカの大統領制のしくみ
アメリカのホワイトハウス。アメリカ大統領はふだん、このホワイトハウスで執務をしている。

アメリカ合衆国は民主主義の国である。 アメリカでは行政の最高責任者の選挙は議会によらず、事実上は国民によって直接に選ばれる大統領(だいとうりょう)が行政の長になるという大統領制の国である。(実際はアメリカ国民が大統領選挙人を選ぶ。この選挙人は議会とは異なる。)

アメリカの場合、議会には大統領の不信任決議権が無く、また大統領にも議会の解散権が無い。このように議会と大統領が独立している。したがって、議会の意見と大統領の意見とが対立することもある。 アメリカでは、法律の立法は、議会だけが立法権を持ち、大統領には立法権は無い。大統領には、議会が提案した法案への法案拒否権(ほうあん きょひけん)がある。大統領は議会には議席を持たない。

議会は上院(じょういん)と下院(かいん)からなる。

選挙権は18歳以上から。


※ (範囲外:) アメリカ合衆国についての政治の解説ではよく、政治が二大政党(にだいせいとう)の国だと言われてる。「民主党」(みんしゅとう)という政党と、「共和党」(きょうわとう)という二つの大きな政党が、アメリカにはあり、よくニュースなどでも、この2つの政党の動向が紹介されるが、これら以外にもアメリカ合衆国には小規模な政党(第三党)が多くあり、けっして二大政党制はアメリカでは制度化されたものではない。



イギリス[編集]

イギリスの議会が議事堂として使用するウェストミンスター宮殿

イギリスは民主主義の国である。 イギリスは 立憲君主制(りっけん くんしゅせい) であり、国王を元首(げんしゅ)としている。国王には、ほとんど権限が無い。イギリスの議会は、上院の貴族院(きぞくいん)と下院の庶民院(しょみんいん)とからなる二院制である。下院は、国民からの選挙で議員が選ばれ、全体的に下院のほうが上院よりも権限が強い。 内閣は下院で多数をしめる党から選ばれるのが一般的で、首相は、その多数を占める党の党首であることが一般的である。議会が首相を指名し、国王は首相を任命する。

選挙権は18歳以上から。

中国(北京政府)[編集]

全国人民代表大会の議事堂。毎年3月に開催される。約3000人が集まる。(3000人をこえてはならない、とされている。)

中華人民共和国は、中国共産党が政治権力をにぎっている社会主義の国である。国民からの議院の直接選挙は無く、事実上は中国共産党が権力を握っており、一党独裁制を導入している。

日本の国会に相当する機関は、全国人民代表大会(ぜんこく じんみん だいひょう たいかい)である。略して全人大(ぜんじんだい)という。

権力分立はしておらず、立法、司法、行政の三権は共産党の指導下に置かれている。