中学校社会 公民/家族
家族に関する法律には、民法などに定めがある。また戸籍法では、出生や婚姻や死亡などの際の、戸籍の届け出についての定めがある。
核家族と拡大家族
[編集]祖父母や孫などがなく、夫婦と未婚の子どもだけの家族、または夫婦だけの家族のことを核家族(かくかぞく)という。
父または母と、その未婚の子の家族も、核家族に含める。
つまり、
- 夫婦とその子(未婚)の家族 → これは核家族です。
- 夫婦だけの家族 → これも核家族です。
- 母とその子(未婚)。(父は死亡または離婚などで、いない)→ これも核家族です。
- 夫婦と子ども(未婚)と祖父母が同居。 → 「核家族」ではない。
いっぽう、祖父母や孫など、夫婦と子ども以外の家族がいる場合など、3世代以上の人のいる家族のことは、「大家族」といったり、「拡大家族」という。
現代の日本では、核家族の家庭が多い。拡大家族は、減ってきている。
このほか、一人で暮らす単独世帯も多い。
また、少子化により、核家族であっても、子どもの数が昔よりも減ってきている、といわれる。
昭和の高度経済成長のころは、父が働き、母が家庭で専業主婦をするという家庭が多かった。しかし、21世紀の現代では、男女とも働きにでる共働き(ともばたらき)の家庭も多くなっている。
婚姻と性別
[編集]婚姻における両性の平等
[編集]- ※ 検定教科書では、いちいち本文中に書いてないが、日本国憲法の授業で、よく習う内容。
婚姻(こんいん)は、本人および相手の両方の合意のみに基づいて成立する。すなわち、婚姻について親などの合意は必要ない。婚姻では男女が平等である。
認められていない法案
[編集]同性婚は認められていない
[編集]日本の行政では現状(2024年に記述)、同性婚は認められていない。
- ※ 同性婚の議論を紹介した検定中教科書(2025年から使われる予定)が、不適切として文科省から修正を命令されている[1]。
東京都など一部の自治体が「パートナーシップ証明書」というもので同性カップルを公的に認める制度をもっている。
豪州(オーシトラリア)やニュージーランドといったオセアニア州のいくつかの国で同性婚が法制化されている(※ 2025年からの地理教科書で紹介の見込み[2])。
選択的夫婦別姓制度は認められていない
[編集]選択的夫婦別姓制度とは、婚姻後の夫婦が夫または妻の姓を名乗るか、あるいは婚姻前の性を保持するかを選択できる制度です。 1996年に、法制審議会が選択的夫婦別姓制度を導入する「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しましたが、2024年の現在でも未だに導入されていません。
範囲外?
[編集]相続の順位
[編集]※ 帝国書院の教科書(平成25年版)に書いてある。
財産の相続(そうぞく)において、男女は平等。
現行の民法では、特に遺言(いごん)が無いかぎり、もし死者に配偶者がいれば、まず、配偶者がその半分を相続する。子供がいれば、残りの半分を子供どうしで均等に分け合う。子供がおらず配偶者だけなら、配偶者が全て相続する。配偶者が既に死亡しており、子供だけが残っていれば、全財産を子供どうしで均等に受け継ぐ。
父母と子の間の財産相続は、平等では無い。子供の財産は、親の財産の半分を子供どうしが均分に相続する。
たとえば、ある家庭の父親(Aとする)が死んだとして、父親Aの財産の半分つまり 2分の1 をAの配偶者である妻が受け継ぐ。
ある家庭で父が死んだ場合の財産を「母」が受け継ぐ場合、その「母」とはA本人の生みの親の母親ではなく、Aの妻のことである。Aの子供から見た場合の「母」のことである。
そのあと、残りの半分を、Aの子供が分け合う。 もし子供が3人なら、 1/2 × 1/3 = 1/6 だから、子供は1人あたり 父親の 1/6 の財産を受け継ぐ。(均分相続)
- 明治時代の相続
明治時代〜第二次大戦終戦までの民法などでは、財産は父親が管理することが定められていて、長男が受け継ぐ。男女平等では無いし、男同士でも次男以下や次男や三男は財産を受け継がない。
当時は、家は長男が受け継ぐものと考えられていた。
- 範囲外: 「分割相続」(ぶんかつ そうぞく)
上述のように現代では、父母が2人とも死んだ場合、現代の相続では基本的に、財産は子どもに均等に分配される。
このように、長男だけが相続するのではなく、息子たちと娘たちに平等に財産が分配されることを、一般に「分割相続」(ぶんかつ そうぞく)という。
(高校の日本史などで「分割相続」という用語が、平気で出てくる。 たとえば「鎌倉時代の御家人の領地が、分割相続によって、どんどんと少なくなっていき、鎌倉時代の後期には、貧しくなる御家人も多く出てきた」みたいな文脈で使われることもある。)
発展的内容:相続での親の借金
[編集]- (※ 中学校・高校普通科では、一般には習いません。)
もし親が死んだら、子は財産を相続しますが、このとき、もし親に借金が多いと、子供は借金も相続することになります。民法で、そう定められています。日本の相続制度は、このような単純承認(たんじゅん しょうにん)という制度になっています。
貯金よりも借金が多い場合に相続を断るには、死亡後から3ヶ月以内までに家庭裁判所に申請しなければなりません。「限定承認」(げんてい しょうにん)または「相続放棄」(そうぞく ほうき)を家庭裁判所に申請します。
「限定承認」とは、もし、親の貯金や資産と、親の借金を差し引きして、もし借金のほうが多ければ、相続しない、という選択です。 「相続放棄」とは、単に、親に借金があろうが無かろうが、親から何も相続しない、という選択です。
限定承認か相続放棄をしないと、たとえ貯金よりも借金が多くても、相続しないといけなくなりますので、借金ごと相続してしまいます\。
例えば親が会社経営をしている場合などで、会社の業績が悪い場合には、多額の借金を抱えてる場合がありうるので、注意が必要です。
なお、限定承認をするには、相続人全員の賛成が必要になります。なので、実質的には、限定承認が困難でしょう。親の借金が多い場合には、相続放棄をするのが安全です。
相続の仕組みなどを知らないのが普通なので、ついつい申請をためらってしまいがちですが、早めに申請しないと大変なことになる場合があります。
そもそも単純承認を原則にした民法自体に欠陥がある気もしますが、現実として日本の民法の相続の制度は、親の財産が借金の場合でも単純に相続する「単純承認」を原則とした制度になってるのが実情です。もしアナタが死亡した親の借金を相続させられてしまい、誰かを恨むなら、有権者と政治家を恨みましょう。このような、民法の欠陥を放置してきた人とは、有権者自身です。民法の議論を怠り、憲法論議ばかりをしてきた、無能な有権者たちの自己責任でしょう。有権者が選挙権を持ってとは、そういう事です。法律の欠陥は、有権者の愚かさの表れでもあります。
相続については、相続税の細かいことよりも、まずは借金の相続を放棄できる限定承認・相続放棄の期間が死亡後3ヶ月と限られているということを知っておいてください。
親族(しんぞく)と親等(しんとう)
[編集]- ※ 1990年代くらいには、中学公民でこういうのを扱ったような・・・。
- しかし今の検定教科書には、記述が見られない。例外的に、帝国書院の教科書では、書いてある。
- 私立高校入試とか、家庭科とかで扱うかもしれないので、とりあえず記述しておく。
本人を基準に、血のつながった父と母、子供や、兄、姉、弟、妹や祖父母、おじ、おば、おい、めい、いとこ、などを血族(けつぞく)と言う。
本人を基準に、血の繋がっていない、結婚相手である配偶者(はいぐうしゃ)や、けっこない手の父親(義父)、母親(義母)、義兄(ぎけい)、義弟(ぎてい)、義妹(ぎまい)、義姉(ぎし)などを、姻族(いんぞく)という。
法律で、親族の範囲を定める場合には、「親等」という、血縁関係や婚姻関係などに基づき決められる階級が用いられる。
親等では、血族と姻族を区別しない。
・ 1親等(いっしんとう)
本人および配偶者(夫や妻のこと)を基準とし、本人の子どもと本人および配偶者の父親・母親を1親等とする。
兄弟姉妹は2親等であり、1親等では無いので、間違えないように。
要は、「父」、「母」と呼ばれる相手は、血がつながってようが、義理で血がつながっていまいが、基本的に1親等になるはずである。
そして、本人の子供は1親等である。
・ 2親等(にしんとう)
具体的に言うと、兄弟姉妹や祖父母や孫などが2親等である。また配偶者の兄弟・姉妹も本人の兄弟姉妹と区別しないので、配偶者の兄弟・姉妹も2親等である。つまり、兄弟姉妹は2親等である。
本人および配偶者を除く、1親等である人間の子供や父母を2親等とする。
本人の兄の配偶者の義姉や、姉の配偶者の義兄も、実の兄や姉と同じく2親等である。
配偶者の兄弟姉妹は2親等である。本人と配偶者を区別しないので、つまり本人および配偶者の兄弟姉妹および2親等とする。
要は、「兄弟姉妹」や「祖父母」と呼ばれる相手は、血がつながってようが、義理で血がつながっていまいが、基本的に2親等になるはずである。
・3親等(さんしんとう)
3親等とは、血がつながってようが、義理で血がつながっていまいが、「おじ」とか「おば」とか「おい」とか「めい」とかが3親等である。
おじ、おばの子供のことを「いとこ」と言うが、いとこは4親等である。
日本の民法では、「親族」とは、6親等内の血族と、配偶者と、3親等内の姻族を「親族」として定める(民法第725条)。
親族の範囲では、血族と姻族は平等では無いので、間違えないように。