中学校社会 公民/悪徳商法と消費者トラブルについて

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

悪質商法の例[編集]

  • キャッチセールス

街角で声をかけ、事務所や喫茶店や営業所などにつれこんで、強引に契約させたりする。


  • アポイントメント・セールス

電話などで「抽選に当たった」などと言って、「賞品を受け渡したいので事務所に来てほしい」などと言って事務所に呼び出して、事務所で強引に賞品を購入させる方法。


  • マルチ商法、マルチまがい商法

商品を販売しながら会員を勧誘し、会員は会費として高い値段で商品を買わねばならないが、もし自分が会員になれば、一時的には会費を出費するが、新規の会員を勧誘して入会させれば、今度は自分は紹介料をもらえて儲かるので、最終的には得をする、・・・などと言って勧誘する。

もちろん、マルチ商法は、いきづまる。

なぜかというと、新規会員を入会させるともらえる「紹介料」とやらの出どころは、もとをただせば、今までの会員が買わされた高額商品の出費である。なので、多くの会員は損をする側になっている。また、人間の数には限りがあり、いつかは必ず、会員が増えなくなる。よってマルチ商法の会員は、だいたいの場合は損をする側になる。


  • 押し売り
※ 未記述.

消費者トラブルの相談先[編集]

消費者トラブルについての相談機関として、地方自治体が消費生活センターを設置している。

また、国が、国民生活センターという機関を設置しており、消費者への情報提供、商品テストなどの活動をしており、消費生活センターとも連携している。


消費者庁では、電話で相談できる窓口の「消費者ホットライン」をもうけている。消費者庁は2009年に設立した省庁である。消費者庁は、2009年のそれまで、いろんな省庁で別々に行われていた消費者トラブルなどについての対応を、あたらしく消費者庁で一元化することによって行政を効率的にするため、あたらしく設立された庁である。


消費者トラブルになってしまったと感じたら、けっして一人では悩まずに、なるべく消費生活センターなど、公共の相談機関に、直接、行って、相談したほうがよいだろう。詐欺師の中には、ウソの肩書として「消費生活センター」などの職員を名乗る詐欺師も、いるかもしれない。なので、消費生活センターなどに相談する場合は、なるべく直接、消費生活センターなどに出向くのが望ましい。

消費生活センターの場所が分からない場合は、市役所などの役所に相談して教えてもらおう。地域によっては市役所の中に、消費生活センターの窓口がある場合もある。

(読者は、今ここで、インターネット検索などで、あらかじめ、地元の消費生活センターの場所を確認しておこう。)

悪質な業者や詐欺師(さぎし)には、いちど、詐欺にあった人を、「だましやすい人」と判断して、「もっと、だまそう」と考えて、さらにだまして来る場合もある。そのような、さらにだます手口として、たとえば「詐欺への救済手続きの代行をする」などのウソをついて、「手数料」などとして、お金をだまし取る詐欺業者もある。

詐欺師には、ウソの肩書として警察や弁護士または、警察・弁護士などの関係者などを名乗り、やはり、手数料などと称して、金をだまし取る手口もある。詐欺師の中には、消費生活センターの職員を名乗る詐欺業者も、いるかもしれない。

なので、悪質業者や詐欺業者に引っかかってしまったと感じたら、消費者の取るべき対策は、まず消費生活センターなどの公共の相談機関に、直接に出向いて相談することである。


消費者トラブルの解決法[編集]

クーリング・オフ[編集]

契約とは、法律上の約束のことである。契約は、原則的には、一方的には解除できない。

もし、一方的に契約が解除できるとすると、合法的に契約されたものまで解除されてしまうと、社会が混乱してしまうからである。


ただし、訪問販売やキャッチセールスなどのように、消費者が自ら店舗に出向いた取引の場合、一定期間内なら、書面で取り消しを通知することで契約の取り消しができる。この制度をクーリング・オフ制度という。

クオーリング・オフ(cooling off)とは「頭を冷やしてから、考える」という意味である。

クーリング・オフは、契約直後から一定期間内しか出来ないので注意。販売方法の種類によって取り消しできる期間の日数がちがうが、たいていの場合の期間は販売後8日まで、である。

また、通信販売は、クーリング・オフできない。通院販売では事業者が自主的にクーリング・オフに応じない限りは、通院販売ではクーリングオフができない。


訪問販売だからといって、かならずしも詐欺とか悪質商法とは限らず、そのため商品の購入の契約をしてしまった場合、契約を守る義務が発生するからである。

消費者契約法[編集]

また、消費者契約法(しょうひしゃ けいやくほう)により、事業者が契約内容について事実とちがう説明をした場合に、契約を取り消すことができる。また、事務所などにつれこまれて、契約しないと帰らしてもらえなかったりして、強制的に契約させられた場合も、消費者契約法により、契約を取り消しできる。


勧誘などを断るときの注意点[編集]

  • 勧誘などを断るときの注意点

・いらない場合は、けっして「いいです」とか「結構です」などのような、どちらとも受け取れる表現では、ことわらない。「いらないです」「買わないです」などというふうに、はっきりと断る。「いりません」だと、「いりま」と言った段階で相手が「いりますか? いるんですね?」と拒否の返答を遮ってきたりする場合がありうるで、「いらないです」と言って断るほうが、より安全です。

・むやみやたらにサイン、署名(しょめい)をしない。サインしただけでも、契約が成り立つ。


  • 家庭などで、宅配員を名乗る者が家に来た時に、親が外出中の場合

家庭などで、宅配などの際、受け取りにサインをお願いされる場合もあるが、親などが留守で、子供だけでは信頼していいかどうかわかりづらい業者の場合、サインをせず、「現在は親が外出中で不在」「家にいるのは契約者とされる本人ではない」という事情を話して、いったん帰ってもらうのが望ましいだろう。

宅配や郵送をよそおった詐欺商法などの場合もありうる。なので、なるべく宅配時に留守をしている子供は、親に確認してから受け取る、あるいは親本人に受け取ってもらうのが望ましい。

まともな業者なら、どのみち、もしも宅配時に相手が留守なら不在通知をポストなどに入れて商品は持ち帰るので、事情を話せば、まともな業者なら、不在通知などをわたして帰ってくれるはずである。

「現在は親が外出中で不在」「家にいるのは契約者とされる本人ではない」というのは、一時的な受け取りを拒否する理由として、常識的には正当な理由であろう。


それでも宅配員が帰らない場合は、そもそも信頼できない業者であるか、または信頼できない宅配員である。

もしも、大手の宅配企業の宅配員が、そのような、親が不在の場合に受け取り拒否を認めない対応をすれば、相手企業に苦情を入れるべきである。相手企業に苦情を入れられるようにするため、相手企業の連絡先のメモをして、ひかえておくべきであろう。

こまったことに、一部の宅配員や宅配企業の中には、受け取り家庭の子供が「親が外出中」という理由を話しても、受取り拒否をみとめようとしない場合がある。なので、こういう場合には、あとで消費生活センターなどに相談を入れるのが望ましいだろう。

消費者トラブルの事例[編集]

インターネット関連[編集]

  • 「無料」を歌ったオンラインゲーム

「無料」と言っても、サービスの一部が無料なだけで、有料な部分があるゲームが多い。ゲーム中で有料サービスを申し込むとゲームを有利に進められるなどのサービスがあり、そのためお金のない子どもが不用意に有料サービスを購入してトラブルになる事例がある。そもそもゲーム会社は利益を出すためには、何らかの有料サービスを売らなければいけない。


  • ネットショッピング

商品の実物が直接は確認できないので、購入後に、事前の情報と違っていたというトラブルがある。


  • ネットオークションのトラブルや詐欺

オークションとは、一種の せり である。そのため、定価のような決まった価格はないので、たとえ法律にのっとって行われても、最終的な値段が、とても高い値段になることがある。

一個人が出品しているのが普通なので、出品者が詐欺的な人物だったりすると、たとえば代金を支払ったのに、商品が渡されないなどの詐欺がある。

ほかの詐欺の方法では、たとえば出品者の関係者が落札希望者として参加して、不当に価格をつりあげる詐欺などの事例もある。

消費者の権利と責任[編集]

消費者の8つの権利と5つの責任[編集]

また、国際的な消費者運動の団体である国際消費者機構(CI)が、消費者の8つの権利と5つの責任を定めている。

  • 消費者の8つの権利
1. 生活の基本的なニーズが保証される権利
2. 安全である権利
3. 情報がえられる権利
4. 選ぶ権利 (選択する権利)
5. 意見を反映させる権利
6. 救済を受ける権利
7. 消費者教育を受ける権利
8. 健全な環境で暮らす権利


  • 5つの責任
1. 批判的意識を持つ責任
2. 行動する責任
3. 自分の消費行動が、社会に与える影響(とくに弱者に与える影響)を自覚する責任
4. 環境への配慮を自覚する責任
5. 消費者として団結し連帯する責任

※ 他教科関連[編集]

※ 検定教科書でも近年では、電子教科書版や教師用マニュアルなどで家庭科の教科書にリンクしています(東京書籍の公式サイトのデジタルパンフレットで確認)。