中学校社会 公民/景気対策と経済政策

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

金融政策[編集]

(※ いくつかの検定教科書で、日銀の公開市場操作が紹介されてる。教育出版、日本文教出版など。)
(※ 検定教科書で重要語句として「公開市場操作」「金融政策」などが紹介されてる。)

日本銀行は、物価や景気などが安定するように、民間の金融市場に流通するお金の量を調節したりする場合があります。 このような日銀の行動を、日銀の「金融政策」(きんゆう せいさく)などといいます。

公開市場操作[編集]

日本銀行は金融市場で国債や手形などを売買することで、民間の金融市場のお金の量を調節しています(これを公開市場操作(こうかい しじょう そうさ)といいます)。

景気が悪くなってきた場合、日銀は、民間の銀行などの金融市場のお金を増やさせる行動を取ります。そのためには、景気が悪い場合には、日銀は、民間の銀行から何かを買うという買い物を、金融市場ですればいいわけです。そうすれば、民間の銀行には、日銀が買ったぶんだけのお金が入りますので。

つまり、景気が悪いとき、日銀は、民間の銀行から、それらの銀行が保有している国債(こくさい)や手形(てがた)などを買います。

逆に、景気がよいときは、日銀は、どんどん、日銀の持ってる国債や手形などを売ります。

(※ 範囲外:) 「手形」(てがた)とは、大まかに言うと、借金がらみの有価証券(ゆうか しょうけん)の一種。中学生や普通科高校生には「手形」とは何かの説明がとても難しいので、中学の段階では「『手形』という証券がある」ことだけを当面は知っていればいい。なお、商業高校だと手形について詳しく習う。普通科高校の『政治経済』の教科書や参考書にも『手形』という用語は出てくるが、しかし普通科高校では手形の詳しい仕組みは説明されない。


金融政策の変化[編集]

昔は、公定歩合(こうてい ぶあい)(※ 日本銀行が民間の銀行にお金を貸し出すときの金利)を変化させて、景気を調節することが多かったですが、近年の日本では、日本銀行の金融政策は、原則として公開市場操作によることが主に用いられています。

(※ 資料集の範囲:) 公定歩合操作とは別に、 「預金準備率操作」という金融政策も昔はありましたが、しかし現在は行われていません。

ともかく、現在の金融政策の中心は、「公開市場操作」です。

政府の財政政策[編集]

政府も、公共事業などを通して、民間企業に入るお金の量を調節する場合があります。

不景気のときは、道路工事などの公共事業をして、民間企業に入るお金を増やします。公共事業のほかにも、減税を行うことで、民間企業の持つお金を増やす場合もあります。

ただし、これらの公共事業や減税は、政府の財政(ざいせい)を赤字に近づけてしまいます。

いっぽう、景気がよい時には、景気の加熱を防ぐため、税金を増やしたり、公共事業を減らすことで、民間企業のもつお金を減らします。

このように、政府が、公共事業の増減や、減税・増税などで、景気を調節することを財政政策(ざいせい せいさく)といいます。

金融政策と財政政策の組み合わせ[編集]

じっさいには、日銀の金融政策と、政府の財政政策とが、うまく組み合わされて、景気を調節するための政策が行われます。

金融政策と財政政策をまとめて経済政策(けいざい せいさく)といいます。

外国の場合[編集]

外国でも、景気の変化にあわせて中央銀行は金融政策を行い、政府は財政政策を行います。

その他[編集]

(※ いくつかの検定教科書では、さらに物価のインフレ・デフレと、金融政策・財政政策の関係も書いてあります。けれど本書では、物価と景気の混同をふせぐため、書かないことにします。)