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中学校社会 歴史/年代測定法

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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課題

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どのような年代測定法があり、その年代測定法にはどのような特徴があるのだろう。

年代測定法は、どのような時代の調査に使用されるのだろう。

年輪年代測定

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紀元前1000年頃までであれば、木材の年代及び木の年輪から年代を測定することもできる。なぜなら、多くの場合木の年輪は毎年1本ずつ増加していくからである。

放射性年代測定

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炭素の原子は3種類の同位体がある[1]。それらは安定で量の多い12C(炭素12)と、ごく僅かで不安定な13C(炭素13)と、極めて僅かで不安定な14C(炭素14)である。自然界の炭素のほとんどは、12Cである。

この14Cは、放射線を出しながら 壊れ続け、約5700年ごとに半分になっていく。この約5700年を半減期(はんげんき)という。14Cは、大気上層で高エネルギーの一次宇宙線によって生成される。

生体は光合成や呼吸をしているため、生きている間に関して言えば、生体内の14Cの割合と大気中の14Cの割合はほぼ同じになる(厳密には、「速度論的同位体効果」があるためか、生物種ごとに微妙に13Cや14Cの割合が異なる[2]。大学レベルなので、気にしなくていい)。しかし、死後は呼吸も光合成もしなくなるため、大気中の14Cの割合と死体内の14Cの割合がずれていく。空気中の炭素は、大気圏などから宇宙線によって生成された14Cが供給されるいっぽう、死体の14Cは減り続けていく。この、空気中の14Cの割合と、死体内の14Cとのズレの割合を調べることで年代を算出する。

動物だけでなく、植物でも炭素をふくむので、この方法で測定が可能である。いっぽう、金属など炭素をふくまない物は炭素の方法では年代を測定できない。

過去数百年〜3000年ていどのものについては、歴史書などから年代の分かっている同時代の実物の測定により、この測定に必要な関連データを得られる。

しかし、数千年〜数万年以上も前のものは、ほとんどの地域で歴史書などが残っていなく、関連データを得られない。したがって、科学の進歩により、それ以前の年代測定が訂正されて、測定値が変わることがある。

したがって、なるべく他の測定方法とも組み合わせて確認する必要がある。

考古学では、放射年代の他にも、地層の調査など、さまざまな観察や測定を組み合わせて、より信頼性の高い年代を調べることが行われている。

数万年ていどよりも前になると、もはや、放射性年代測定以外に、確認のしようがなく、はたして本当に放射年代の数値が正確なのかどうかは確認のしようがない。たとえば、太陽から、地球上に降り注ぐ放射線の量が、もしかしたら現在と大幅に違っている可能性もありうるし、もし、そうだとすると、年代測定の数値の前提がくずれる。

だが他に年代の測定方法が、数万年ていどよりも古い時代では、無い。なので仕方なく、もっとも確からしい年代測定法として放射年代測定が使われている。

化石の年代測定

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猿人や原人、旧人、新人などの年代測定も、放射性カリウム40など(通常のカリウムはカリウム39である。)、さまざまな元素の放射性年代測定によって化石などを調べて年代を推定している。 「猿人がアフリカで440万年以上前に発生していた」ということも放射性年代測定によって知り得る。

人間以外の動植物も、化石を放射性年代測定によって調べて年代を推定している。

地球の年齢と宇宙の年齢

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地球の歴史が46億年ていど だという事も、地球や隕石などのウランによる放射性年代測定での年代比較による。 半減期は一定だろう、と仮定している。なお、ウラン238の半減期は約44億年であり、

今のところ、科学者たちは、「放射性物質の半減期の大きさは、時間がたっても、常に変わらず一定だろう。」と、さまざまな実験結果にもとづいて、判定している。

炭素以外にも、ウランなど、さまざまな放射性原子があり、測定対象の古さや、測定物質の種類にあわせて、使い分けられる。

ちなみに宇宙の年齢の約137億年というのは、天体観測で、天体の出す光の波長を分析して調べている。詳しい解説には、高校レベルの物理や地学の知識が必要なので、中学の社会科での説明は省略する。

脚注

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  1. ^ "中学校理科_第1分野/化学変化とイオン#原子の成り立ちとイオン"参照
  2. ^ 奥山格『有機反応論』、東京化学同人、2013年1月15日 第1版 第1刷、104ページ