公認会計士試験/平成30年第I回短答式/監査論/問題11
問題
[編集]監査基準に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)
ア.経営者確認書の入手が義務づけられた背景には,利害関係者に真実かつ公正な財務諸表を提供するために,財務諸表の作成者と監査人の協力関係が重視されたことがあり,こうした協力関係を経営者の立場から明らかにするために経営者確認書が作成された。
イ.監査人が,経営者が採用した会計方針の選択や適用方法が,会計事象や取引の実態を適切に反映するものであるかどうかを判断する際に,例えば会計事象や取引についての適用すべき会計基準等が明確でない場合は,会計基準等の趣旨を踏まえ,監査人の自己の判断で評価することが求められている。
ウ.事業上のリスク等を重視したリスク・アプローチでは,監査人は全ての事業上のリスクを識別し,評価しなければならない。
エ.監査人と監査役等の連携は,不正が疑われる場合に重要となるので,監査人は,不正発覚時並びに不正が疑われる場合に限って監査役等と連携を図らなければならないことが,監査基準上追加された。
- 1.アイ
- 2.アウ
- 3.アエ
- 4.イウ
- 5.イエ
- 6.ウエ
正解
[編集]1
解説
[編集]ア.経営者確認書の入手が義務づけられた背景には,利害関係者に真実かつ公正な財務諸表を提供するために,財務諸表の作成者と監査人の協力関係が重視されたことがあり,こうした協力関係を経営者の立場から明らかにするために経営者確認書が作成された。平成3年監査基準の改訂について三2(3)
イ.監査人が,経営者が採用した会計方針の選択や適用方法が,会計事象や取引の実態を適切に反映するものであるかどうかを判断する際に,例えば会計事象や取引についての適用すべき会計基準等が明確でない場合は,会計基準等の趣旨を踏まえ,監査人の自己の判断で評価することが求められている。平成14年監査基準の改訂について三9(1)③
ウ.事業上のリスク等を重視したリスク・アプローチではも,監査人は全ての事業上のリスクを識別し,評価しなければならない。する責任を負うものではない。監査基準委員会報告書315A29項
エ.監査人と監査役等の連携は,不正が疑われる場合に重要となるので,監査人は,不正発覚時並びに不正が疑われる場合に限って限らず,監査の各段階において監査役等と連携を図らなければならないことが,監査基準上追加された。平成25年監査基準の改訂について二2,監査基準第三実施基準一7
参照法令基準等
[編集]- 平成3年監査基準の改訂について三2(3)
- 平成14年監査基準の改訂について三9(1)③
- 平成25年監査基準の改訂について二2
- 監査基準第三実施基準一7
- 監査基準委員会報告書315「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価」A29項