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公認会計士試験/平成30年第I回短答式/管理会計論/問題16

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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問題

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 当社は自動車を製造・販売しているが,現有の工作機械を新工作機械に取り替えるべきか否かを検討中である。次の〔資料〕に基づき,新工作機械の使用による年々の税引前現金支出節約額が何万円以上であれば,この新工作機械を購入するのが有利であるかを正味現在価値法により計算し,正しい金額として最も適切なものの番号を一つ選びなさい。なお,〔資料〕における「現時点」とは第1 年度期首とする。(9 点)

資料

1.現有工作機械に関する現時点における資料

  • 帳簿価額  13,200 万円
  • 残存耐用年数  3 年
  • 第3 年度末の残存価額  ゼロ
  • 現時点における売却価額  7,200 万円
  • 第3 年度末における売却価額  1,000 万円

2.新工作機械に関する現時点における資料

  • 取得原価  25,200 万円
  • 法定耐用年数  3 年
  • 第3 年度末の残存価額  ゼロ
  • 第3 年度末における売却価額  5,000 万円
  • 新工作機械の使用による年々の税引前現金支出節約額?万円(節約額は毎期同額とする。)

3.計算条件等

  • 加重平均資本コスト率は年10 %とする。加重平均資本コスト率が年10 %の場合の,n年後の1 円の現在価値 (1 +r)-n は,次のとおりである。
r\n 1 2 3
10 % 0.909 0.826 0.751
  • 法人税率は40 %とする。
  • 減価償却は定額法による。また,経済命数(経済的耐用年数)と法定耐用年数は等しい。
  • 現時点で現有工作機械を新工作機械に取り替えると,現有工作機械について売却損が発生する。当該売却損は第1 年度末に計上され,課税所得計算上,全額損金算入が認められる。なお,正味現在価値の計算に当たっては,1 年を経過したものとみなす。
  • 正味現在価値の計算に当たっては各年度の計算額は四捨五入せずにそのまま集計し,集計額について小数点第1 位を四捨五入する。
1.6,060 万円 2.6,462 万円 3.6,730 万円
4.7,234 万円 5.7,737 万円

正解

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3

解説

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年々の税引前現金支出節約額X万円とおく。

現有工作機械案のCF

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第1年度期首 第1年度期末 第2年度期末 第3年度期末
減価償却によるタックス・シールド 1,760 1,760 1,760
工作機械の売却額 1,000
工作機械売却益による税増加額 △400
合計 0 1,760 1,760 2,360

新規工作機械案のCF

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第1年度期首 第1年度期末 第2年度期末 第3年度期末
税引後支出節約額 0.6X 0.6X 0.6X
減価償却によるタックス・シールド 3,360 3,360 3,360
工作機械の売却額 7,200 5,000
工作機械の売却損益による税増減額 2,400 △2,000
新規工作機械の取得原価 △25,200
合計 △18,000 0.6X+5,760 0.6X+3,360 0.6X+6,360

差額CFとNPV

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第1年度期首 第1年度期末 第2年度期末 第3年度期末
差額キャッシュ・フロー △18,000 0.6X+4,000 0.6X+1,600 0.6X+4,000
現在価値 △18,000 0.5454X+3,636 0.4956X+1,321.6 0.4506X+3,004
正味現在価値

△18,000 + (0.5454X+3,636) + (0.4956X+1,321.6) + (0.4506X+3,004) = 1.4916X - 10,038.4

現金支出節約額の算定

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正味現在価値の合計が0より大きければよい。

1.4916X - 10,038.4 > 0

X > 6,729.954...

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