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公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題18

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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問題

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 株式会社が行う吸収分割において株主が吸収分割会社に対して行う株式買取請求に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)

ア.吸収分割をするために株主総会の決議を要する場合において,当該株主総会で議決権を行使できる株主が株式買取請求をするためには,当該株主総会に先立って当該吸収分割に反対する旨を会社に通知し,かつ,当該株主総会において当該吸収分割に反対することを要する。

イ.最高裁判所の判例によれば,吸収分割により企業価値の増加が生じない場合,株式買取請求に係る株式の買取価格である「公正な価格」とは,原則として,吸収分割契約に定められていた吸収分割の対価が公正なものであったならばその株式が有していると認められる価格をいう。

ウ.株式買取請求をした株主は,いつでも自由に,その請求を撤回することができる。

エ.株式買取請求があった場合において,株式の買取価格の決定につき株主と株式会社との間に協議が整ったときは,当該株式会社は,吸収分割の効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。

1.アイ
2.アウ
3.アエ
4.イウ
5.イエ
6.ウエ

正解

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3

解説

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ア.吸収分割をするために株主総会の決議を要する場合において,当該株主総会で議決権を行使できる株主が株式買取請求をするためには,当該株主総会に先立って当該吸収分割に反対する旨を会社に通知し,かつ,当該株主総会において当該吸収分割に反対することを要する。785条1項2項1号イ

イ.最高裁判所の判例によれば,吸収分割により企業価値の増加が生じない場合以外の場合,株式買取請求に係る株式の買取価格である「公正な価格」とは,原則として,吸収分割契約に定められていた吸収分割の対価が公正なものであったならばその株式が有していると認められる価格をいう(最判平成24年2月29日)吸収分割により企業価値の増加が生じない場合,株式買取請求に係る株式の買取価格である「公正な価格」とは,原則として,当該株式買取請求がされた日におけるナカリセバ価格(吸収分割契約等を承認する旨の株主総会の決議がされることがなければその株式が有したであろう価格)をいう(最判平成23年4月19日)。

ウ.株式買取請求をした株主は,いつでも自由に吸収分割会社の承諾を得た場合に限り,その請求を撤回することができる。785条7項

エ.株式買取請求があった場合において,株式の買取価格の決定につき株主と株式会社との間に協議が整ったときは,当該株式会社は,吸収分割の効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。786条1項

参照法令等

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