公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題17
問題
[編集]株式会社が行う事業譲渡に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。なお,定款に別段の定めはないものとする。(5 点)
ア.最高裁判所の判例によれば,事業の全部を休止している株式会社がその全部の資産を譲渡する場合で,譲受会社が譲渡会社の事業活動を受け継がないときは,当該譲渡会社の株主総会決議の手続を要しない。
イ.株式会社がその事業の全部を譲渡する場合,譲渡会社は,当該譲渡の効力発生日に清算手続を経ることなく当然に消滅する。
ウ.事業譲渡の無効は,訴えによらずに主張することができる。
エ.最高裁判所の判例によれば,事業譲渡について譲渡会社の株主総会決議の手続が必要であるのにそれを経ないまま事業譲渡が行われた場合,そのことは当該事業譲渡の無効原因であるが,譲受会社がそのことについて善意かつ無重過失であったときは,当該譲渡会社は当該事業譲渡の無効を主張することができない。
- 1.アイ
- 2.アウ
- 3.アエ
- 4.イウ
- 5.イエ
- 6.ウエ
正解
[編集]2
解説
[編集]ア.最高裁判所の判例によれば,事業の全部を休止している株式会社がその全部の資産を譲渡する場合で,譲受会社が譲渡会社の事業活動を受け継がないときは,当該譲渡会社の株主総会決議の手続を要しない。事業譲渡とは「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む。)の全部または重要な一部を譲渡し、これによつて、譲渡会社がその財産によつて営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に…競業避止業務を負う結果を伴うもの」(最判昭和40年9月22日)である。譲渡会社が事業を休止していることから、営業的活動のを譲受人が受け継ぐとはいえず、事業譲渡ではない。したがって株主総会決議の手続を要しない。
イ.株式会社がその事業の全部を譲渡吸収合併する場合,譲渡会社吸収合併消滅会社は,当該譲渡の効力発生日に清算手続を経ることなく当然に消滅する。会社法471条4号475条1号かっこ書
ウ.事業譲渡の無効は,訴えによらずに主張することができる。一般原則による無効の主張ができる。
エ.最高裁判所の判例によれば,事業譲渡について譲渡会社の株主総会決議の手続が必要であるのにそれを経ないまま事業譲渡が行われた場合,そのことは常に当該事業譲渡の無効原因であるがり,譲受会社がそのことについて善意かつ無重過失であったときはも,当該譲渡会社は当該事業譲渡の無効を主張することができないできる。最判昭和61年9月11日