公認会計士試験/平成30年第II回短答式/企業法/問題8

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問題[編集]

 新株発行無効の訴えに関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5 点)

ア.公開会社において新株発行の募集事項を決定する取締役会決議に賛成した取締役は,当該新株発行の無効の訴えを提起することができない。

イ.最高裁判所の判例によれば,新株発行において募集事項の公示をしなければならないにもかかわらず,これを行わないことは,当該公示をしないこと以外に当該新株発行の差止めの事由がない場合を除き,当該新株発行の無効原因となる。

ウ.最高裁判所の判例によれば,公開会社でない株式会社において,株主総会の特別決議を経ずに株主割当て以外の方法による新株発行がされたことは,当該新株発行の無効原因となる。

エ.新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,当該判決において無効とされた新株発行は,当該新株発行が効力を生じた日に遡って,その効力を失う。

1.アイ
2.アウ
3.アエ
4.イウ
5.イエ
6.ウエ

正解[編集]

4

解説[編集]

ア.公開会社において新株発行の募集事項を決定する取締役会決議に賛成した取締役は,当該新株発行の無効の訴えを提起することができない。できる。会社法828条2項2号1号かっこ書

イ.最高裁判所の判例によれば,新株発行において募集事項の公示をしなければならないにもかかわらず,これを行わないことは,当該公示をしないこと以外に当該新株発行の差止めの事由がない場合を除き,当該新株発行の無効原因となる。最判平成9年1月28日

ウ.最高裁判所の判例によれば,公開会社でない株式会社において,株主総会の特別決議を経ずに株主割当て以外の方法による新株発行がされたことは,当該新株発行の無効原因となる。最判平成24年4月24日

エ.新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは,当該判決において無効とされた新株発行は,当該新株発行が効力を生じた日に遡って将来に向かって,その効力を失う。839条834条2号

参照法令等[編集]

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