公認会計士試験/平成30年第II回短答式/監査論/問題8

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問題[編集]

 内部統制監査に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(5点)

ア.監査人は,内部統制監査業務について,関係法令に規定する身分的,経済的利害関係を有してはならず,一定の非監査業務との同時提供が制限されている。したがって,監査人が,内部統制監査を実施する前の,内部統制構築等の段階で,経営者等と意見交換を行ってはならない。

イ.監査人は,在外子会社の他の監査人の監査結果を利用する旨を内部統制監査報告書に別途記載することによって,当該監査結果を利用することができる。

ウ.監査人は,業務プロセスに係る内部統制の不備が発見された場合,当該不備がどの勘定科目にどの範囲で影響を及ぼすかを検討し,当該影響の発生可能性を検討するが,それには当該不備が財務報告に及ぼす潜在的な影響額も含まれる。

エ.監査人は,前年度において,内部統制の評価結果が有効であった業務プロセスに係る内部統制の運用状況の評価に当たっては,当該業務プロセスに係る内部統制の整備状況に重要な変更がないなど新たに確認すべき事項がない場合,経営者が評価において選択したサンプル及びその評価結果を利用することができる。

  1. アイ
  2. アウ
  3. アエ
  4. イウ
  5. イエ
  6. ウエ

正解[編集]

6

解説[編集]

ア.監査人は,内部統制監査業務について,関係法令に規定する身分的,経済的利害関係を有してはならず,一定の非監査業務との同時提供が制限されている。したがって,監査人が,内部統制監査を実施する前の,内部統制構築等の段階で,経営者等と意見交換を行ってはならない。しかしながら,内部統制の構築等の段階において,経営者等と必要に応じ意見交換を行い,内部統制の構築等に係る作業や決定は,監査人によってではなく,あくまで企業・経営者によって行われるとの前提の下で,有効な内部統制の構築等に向けて適切な指摘を行うことを妨げるものではない。 財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準III2,同基準平成23年改訂前文二(1),監査・保証実務委員会報告82号51項

イ.監査人は,在外子会社の他の監査人の監査結果を利用する旨を内部統制監査報告書に別途記載することによって,当該監査結果を利用することができるが,内部統制監査報告書に特段の記載は行わず,自らの責任において監査意見を表明する監査・保証実務委員会報告82号246項

ウ.監査人は,業務プロセスに係る内部統制の不備が発見された場合,当該不備がどの勘定科目にどの範囲で影響を及ぼすかを検討し,当該影響の発生可能性を検討するが,それには当該不備が財務報告に及ぼす潜在的な影響額も含まれる。財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準III4(2)④イロハ,監査・保証実務委員会報告82号196項198項

エ.監査人は,前年度において,内部統制の評価結果が有効であった業務プロセスに係る内部統制の運用状況の評価に当たっては,当該業務プロセスに係る内部統制の整備状況に重要な変更がないなど新たに確認すべき事項がない場合,経営者が評価において選択したサンプル及びその評価結果を利用することができる。財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準III4(2)①ロa,監査・保証実務委員会報告82号240項

参照基準[編集]

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