公認会計士試験/平成30年論文式/経営学/第2問問題2
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問題
[編集]次の文章を読み,以下の問1~問5に答えなさい。なお,計算問題の数値は全て割り切れるため四捨五入せずに答えること。
企業Aは,余剰現金60 億円,事業資産40 億円を有している。株式価値は100 億円であり,負債は有していない。なお,余剰現金,事業資産,株式価値は全て時価評価されているものとする。今,CAPM の下,無リスク利子率は1 %,株式市場の期待リスクプレミアムは6 %,企業Aの株式のベータは1.5,税金は存在しないものとする。
余剰現金 60億円 | 株式価値 100億円 |
事業資産 40億円 |
問1 企業Aの加重平均資本コスト(WACC)を答えなさい。
問2 企業Aの事業資産に対する期待収益率を答えなさい。
問3 企業Aの事業資産のベータを答えなさい。
問4 企業Aは,余剰現金60 億円のうち20 億円を現金配当した。この時,①企業Aの株式のベータ,②加重平均資本コスト(WACC)を答えなさい。
問5 さらに,企業Aは,残りの余剰現金40 億円全額を資金運用を目的として,市場ポートフォリオに投資した。この時,企業Aの加重平均資本コスト(WACC)を答えなさい。
正解と解説
[編集]問1
[編集]企業Aは負債がゼロだから,加重平均資本コスト=株主資本コスト=株主の期待収益率
CAPMより,
- 株主の期待収益率
- =無リスク利子率+企業Aのベータ値×期待リスクプレミアム
- = 1% + 1.5×6% = 10%
問2
[編集]資産 | 期待収益率 | 資産の構成割合 |
---|---|---|
余剰現金 | 1%(無リスク利子率) | 0.6(60億円) |
事業資産 | X | 0.4(40億円) |
計 | 1%×0.6+X×0.4=10%(問1より) | 1(60億円+40億円) |
∴ X=23.5%
別解
[編集]問3より,
- 事業資産の期待収益率
- =無リスク利子率+事業資産のベータ値×期待リスクプレミアム
- = 1% + 6×3.75 = 23.5%
問3
[編集]資産 | ベータ | 資産の構成割合 |
---|---|---|
余剰現金 | 0(無リスク) | 0.6(60億円) |
事業資産 | β | 0.4(40億円) |
計 | ∴0×0.6+β×0.4=1.5 | 1(60億円+40億円) |
∴β=3.75
別解
[編集]CAPMより,
- 事業資産の期待収益率=無リスク利子率+事業資産のベータ値×期待リスクプレミアム
問2より,
- 23.5% = 1% + β×6%
- ∴β=3.75
問4①②
[編集]資産 | 期待収益率 | 資産の構成割合 |
---|---|---|
余剰現金 | 1%(無リスク利子率) | 0.5(40億円) |
事業資産 | 23.5% | 0.5(40億円) |
計 | ∴1%×0.5+23.5%×0.5=12.25% | 1(40億円+40億円) |
資産 | ベータ | 資産の構成割合 |
---|---|---|
余剰現金 | 0(無リスク) | 0.5(40億円) |
事業資産 | 3.75 | 0.5(40億円) |
計 | ∴0×0.5+3.75×0.5=1.875 | 1(40億円+40億円) |
別解
[編集]- 株式の期待収益率=無リスク利子率+株式のベータ値×期待リスクプレミアム
- 12.25% = 1% + β×6%
- ∴β=1.875
問5
[編集]資産 | 期待収益率 | 資産の構成割合 |
---|---|---|
市場ポートフォリオ | 7% | 0.5(40億円) |
事業資産 | 23.5% | 0.5(40億円) |
計 | ∴7%×0.5+23.5%×0.5=15.25% | 1(40億円+40億円) |