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共同正犯

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学刑事法刑法刑法総論修正された構成要件:共犯(その2)共同正犯

条文[編集]

第60条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

共同正犯の処罰根拠[編集]

共同正犯においては、実行行為の一部を担った者に、その犯罪の責任の全部を負わせる「一部実行の全部責任の原則」が適用される。個人責任が原則であるはずの刑法において、なぜ「一部実行の全部責任の原則」が認められるかが問題となる。

この点につき、共犯の本質に関する犯罪共同説と行為共同説の対立がある。

犯罪共同説は、共犯の本質を「特定の犯罪を共同で実行する」点に求める。その意味で意思の連絡も「特定の犯罪」に向けたものであるとする。犯罪共同説は「数人一罪」という言葉で象徴される。

行為共同説は、共犯の本質を「特定の行為を共同する」点に求める。共同実行の対象は特定の犯罪である必要はなく、なにかしらの構成要件該当行為を共同実行していれば足りるとする。行為共同説は「数人数罪」という言葉で象徴される。

共同正犯の要件[編集]

共同意思[編集]

共同正犯の成立には共同実行の意思が必要であるといわれるが、これは明示的な共謀を必要とせず、暗黙の認識で足りるとされる。また、共謀は必ずしも事前に周到な謀議をなす必要がない。実行行為の時点で共同意思があれば、それで足りるとされる。

共同実行[編集]

共同実行とは、相互に相手の行為を利用しあう関係、言い換えれば、相手の行為により自分の行為が補充される関係をいう。たとえば、XとYが強盗をしようとして、Xがピストルで被害者の反抗を抑圧し、Yがその間に財物を窃取したとすれば、典型的な共同実行である。

共謀共同正犯[編集]

複数人の共謀に基づいて1人ないし複数人が犯罪を実行した場合、謀議に参加した全員が共同正犯として処罰される。従来は、謀議に参加しただけで実際には犯罪行為を犯さなかった者までが実行者として処罰されるのは団体責任を認めるものであって責任主義に反するとの批判があったが、現在ではほぼ異論なく共謀共同正犯概念が認められている。

詳細は共謀共同正犯を参照。