与えられた多項式 に対し、多項式の値 は数列をなす。
たとえば等差数列は1次式によってあらわされる数列といえる。また、与えられた整数 について m角数 を順に並べた数列は、
と多項式によりあらわされる。
多項式で表される数列の総和について、次の基本的な定理が成り立つ。
定理 が 次多項式によって表される数列であるとき、総和 は 次の多項式によってあらわされる。
証明
とおく。 の次数 に関する帰納法で証明する。
が0次多項式、つまり定数である場合 は一次式であらわされる。
より低い次数について証明されたとして、次の多項式 について証明する。二項定理より
となるが、この係数を書き出すと
となり、これは最高次の係数が の 次多項式であるから
は最高次の係数が の 次多項式である。
したがって は高々 次の多項式である。よって は高々 次の多項式であらわされる。
ここで
より
と 次の多項式で表される。
となる。
例 の和、つまり を求める。
より
が成り立つ。
また、特殊な例として、二項係数 は を一つに決めれば、 の多項式で表される数列となる。ここで
とおくと、 各 は 次多項式で、 に対し、その値は
に一致する。上の関係から
が成り立つ。
m角数 について以前触れたが、より一般に高次元の図形と関係づけられる整数列が存在する。
最も単純な例として、立方体状に並べられた点の個数は
で表される。立方体に関連付けられることから 立方数 という。
次に、正四面体状に並べられた点の個数はどうなるか。そこで次のように正四面体状に球を積んでいくことを考える。まず最上段に1個、それを囲む形で、その次の段に3個の球を三角形状に配置し、それを囲む形で、その次の段には
1+2+3=6個の球を三角形状に配置していく。
同じようにして k 段目には 個の球を三角形状に配置すると、右図のような形となる。このようにして n 段積んだときの球の個数は、先程示した二項係数の関係式から、
となる。そこでこの形の数を四面体数あるいは三角錐数という。三角錐数は小さい方から 1, 4, 10, 20, 35, 56, ... となる。
次に、四角錐(ピラミッド)状に並べられた点の個数を考える。
今度は右図のように最上段に1個、その次の段に22=4個、その次の段に32=9個、と何段かの正四角錐の形に積んだときの、球の総数を数えることになるが、n 段積んだ時の球の個数は 個に一致するから、先程示したように
に一致する。そこでこの形の数を四角錐数という。四角錐数は小さい方から 1, 5, 14, 30, 55, 91, ... となる。