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初級システムアドミニストレータ/標準化

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
お知らせ

初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)は2009年(平成21年)度春期の試験を最後に廃止されました。ただし、初級シスアドの後継であるITパスポート試験基本情報技術者試験にも、標準化に関する問題が出題されています。

ITパスポート試験や基本情報技術者試験の合格を目指される方はしっかり学習してください。

標準化

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開発プロセス、取引プロセスの標準化

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ISO9000シリーズ

会社組織、特に製造業者のうたい文句として出てくるISO9000シリーズ(JIS Q9000シリーズ)という言葉ですが、これは品質管理・品質保証の国際規格です。ここに挙げる3点で構成されています。

  • ISO9000 品質マネジメントシステム-基本及び用語
  • ISO9001 品質マネジメントシステム-要求事項
  • ISO9004 品質マネジメントシステム-パフォーマンス改善の指針

ソフトウェア開発に絡む部分は、以前はISO9000-3と呼ばれる規格でしたが、今日ではISO9001に統合されています。

共通フレーム(SLCP-JCF98、共通フレーム98)

たとえば、ソフトウェアハウスにソフトを注文するとします。その時、注文する側と作り手とで、用語(たとえば「システム要求分析」とは、どこからどこまでの範囲を指すのか)の意味解釈で食い違いがあってはトラブルの元です。

そこで、ソフトウェアの取引をする際に使える、作業範囲や作業項目の明確な基準が作られました。ソフトウェアライフサイクルプロセス(設計からコーディング、テスト、納入、保守)の国際規格(ISO/IEC 12207)をもとにして産まれた「共通フレーム」がそれです。なお正式名称は「共通フレーム98 SLCP-JCF98:ソフトウェアを中心としたシステム開発及び取引のための共通フレーム」と呼びます。

環境およびセキュリティ評価の標準化

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ISO14000シリーズ

「環境ISO」とも呼ばれます。ISO14000シリーズ(環境JIS)は環境管理・監査システムを認証するための国際規格です。

ISO/IEC 15408 情報技術セキュリティ評価基準

情報セキュリティ製品や情報システムが、技術的にどれ位セキュリティ的に強いかを表すレベル(EAL)を名乗るための要件をまとめたものとして策定されました。これは日本語にも翻訳され、JIS規格(JIS X5070)にもなっています。

ISO/IEC 17799

情報セキュリティ運用対策の規格です。ISO/IEC 15408は技術的な尺度でしたが、こちらは人や組織の運用管理対策です。これも日本語に翻訳され、JIS規格(JIS X5080)になっています。

ISMS制度

「ISMS適合性評価制度」と呼ばれ、ISO/IEC 17799をもとにした会社組織への評価認定制度です。情報処理試験センターの上位組織でもある情報処理推進機構(IPA)が普及につとめています。

情報システム基盤の標準化

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規格・標準

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国際標準(ISO、IEC、IEEE)
ISO(International Organization for Standardization)
国際標準化機構と訳されます。工業分野の世界的な標準化団体で、世界各国の標準化団体(日本からはJIS規格で有名な日本産業標準調査会)が参加しています。

なお、略称がIOSではない理由は、ISOのページに記されています。

IEC(International Electrotechnical Commission)
国際電気標準会議と訳されています。“ISO/IEC”という名で始まる規格は、IECとISOが共同で策定したものです。
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)
米国電気電子技術者協会と訳され、アイトリプルイーと読みます。イーサネットなどのLANを策定するIEEE802委員会や、画像などの高速なシリアル伝送規格のIEEE1394などで有名です。
国内標準(JIS、ANSI)
JIS(Japanese Industrial Standards)
JISマークやJIS規格でおなじみの、日本産業規格のことです。日本産業標準調査会が策定する規格ですが、ISOなど海外で策定された規格を日本語訳にして採用することもあります。
ANSI(American National Standards Institute)
米国規格協会と訳されています。RS-232Cインタフェースは、ここの規格です。またデータベース設計に出てくる用語「3層スキーマアーキテクチャ」も、この組織から発祥しました。

データ交換の標準化

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EDIFACT
国連が音頭をとり、ISO規格にもなっているEDI(電子データ交換)標準の一つですが、あまり普及していないのが実状です。なおEDIFACTとは、United Nations Directories for Electronic Data Interchange for Administration, Commerce and Transportの略です。
全銀協手順全銀手順
全銀協標準プロトコル
全銀協(全国銀行協会連合会)が策定した、金融情報をオンラインで交換するためのプロトコル名です。
XML(eXtensible Markup Language)
XMLのくわしいことは「#ファイル形式の標準化」の節を参照して下さい。EDIFACTにかわって、電子商取引の標準になろうという技術の本命です。
JSON
JavaScript のリテラル表現を利用したデータ記述言語。プログラミング言語を問わず利用できる。
YAML
構造化データやオブジェクトを文字列にシリアライズするためのデータ形式。

ソフトウェアの標準化

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RFC文書(Request For Comments)
RFC文書とは、インターネット技術を標準化している組織IETF(Internet Engineering Task Force)がとりまとめる、インターネット技術(TCP/IPプロトコル群など)の策定などに使われる文書のことです。RFC文書には番号が付けられていて、たとえばSMTPだとRFC821、HTTPだとRFC2616という番号の文書に、それぞれのプロトコルがくわしく説明されています。
ジョークRFC
毎年4月1日に出てくるRFC文書は、ちゃんと通用するRFC番号もついていて、もっともらしい体裁を整えた文書ですが、内容はジョークで固められています。筆者の個人的には1998年4月1日付のRFC2324(HTCPCP:Hyper Text Coffee Pot Control Protocol)が気に入っています。ジョークRFCで笑うにはそれなりのTCP/IPの知識が要りますが、興味がわいた方は「ジョークRFC」で検索してみて下さい。

データの標準化

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コードの標準化

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コンピュータ内部での文字データの扱いは、文字ごとに割り振られた番号で管理しています。この番号を「文字コード」と呼びます。以下にあるように、文字コードの付け方(文字コード体系)は何種類もあります。同じ番号であっても文字コード体系が違えば、表示されるのは別の文字となることがあります。これが、よくネットなどで起こる「文字化け」の正体です。

ASCIIコード
アスキーコードと発音します。7ビットで構成されているので、128種類(アルファベットなら充分)の文字や制御文字に番号を割り振ることができます。なお日本で独自にあと1ビット足して、256種類の文字に対応したものが、半角カタカナも含めたいわゆる「半角文字」です。
EBCDIC
エビシディックと発音します。メインフレーム(汎用コンピュータ)用の文字コードで、8ビットで構成されています。EBCDICは今後は出題されないでしょう。
シフトJIS
日本の一般的なPCが対応している文字コードです。半角文字と全角文字を混在して扱うこともできます。
ISO-2022-JP
日本語の文字コード(シフトJISなど)を、インターネットでの利用をしやすくするために一部変更した文字コードです。一般的なPCから電子メールを送る場合は、この文字コードが使われます。
Unicode
ユニコードと発音します。各国ごとにバラバラに策定されていた文字コードを、アルファベットも漢字もハングル文字も平仮名も、世界で共通の番号体系で割り振ろうという動きから誕生しました。すべての1文字を2バイト(または4バイト)で表します。なおWindows2000以降のWindowsや、Java言語はUnicodeを標準でサポートしています。
文字化けとその原因(OS依存文字、メール件名部分の半角片仮名)について
少し前まで「電子メールの件名に、半角カタカナを使ってはダメ」と言われた頃がありました。それを知らずにメールを送ると、メール本文までもが文字化けすることがあったからです。今日ではメールソフトの改良が進んでそのような事も無くなりましたが、今でもマナーとして、件名に半角カタカナを使うのは避けた方が無難です。また、WindowsのPCで作成した文書に、特殊な文字(全角丸囲み英数字など)が含まれていると、MacOS上のアプリケーションソフトでは文字化けする事があります。Windowsユーザは、このような特殊な記号文字を使う事は、できるだけ避けましょう。
バーコード体系
JANコード
今日、スーパーなどで商品をレジ打ちする際には、POSレジに商品のバーコードを読み込ませるスタイルが一般的になりました。お店で手に入る一般的な商品に与えられているバーコードの番号体系は、日本では「JANコード」(Japan Article Number)と呼ばれています。日本のメーカの製品だとバーコードの番号は49または45で始まりますが、この先頭部分に用いる数字は国際的に取り決められている[1]ため、原則としてJANコードのバーコードは世界の小売店で通用します。
QRコード(2次元バーコード)
一般的なバーコードが縦シマ模様なのに対し、2次元バーコードは面状に記録されています。そのため見た目は、方眼紙のマス目をまだらに塗りつぶしたような模様になります。通常のバーコードに較べて、記録できる情報量が飛躍的に増え、冗長化されているので多少汚れても読んでくれる、といったメリットがあります。
ISBNコード
書店に並ぶ本のほとんどには、ISBNコードと呼ばれる番号が付けられており、ISBNコードを基にしたバーコードも印刷されているのが普通です。この番号も、国際的に取り決められた番号体系です。
チェックディジット
バーコードの末尾の数字はチェックディジットと呼ばれ、チェックディジットより手前の数値を、ある算出式[2]で求めた値が記されています。これは、各数値が正しく読み取られたかどうかを簡単に検査するために用いる値です。

ファイル形式の標準化

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「上位互換性」「下位互換性」について

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たとえば、Word2007で文書を作っていて、その文書をWord2007フォーマットで保存したとします。ところがまわりの人たちがWord2003しか持っていなかったとしたら、どうでしょうか。そのままではファイル形式が違うため、まわりの人たちは私の作ったファイルを開くことができません。
ですがWord2007には、古いファイル形式でも保存できる機能がついています。このように、古いシステムにも気を遣って設計がなされていることを、下位互換性と呼びます。
逆に、Word2003で作成された文書ファイルはWord2007では問題なく開くことができます。このような場合を「上位互換性がある」と呼びます。

MPEG(Moving Picture Experts Group)
DVDなどに採用されている、動画圧縮の規格です。
JPEG(Joint Photographic Experts Group)
カラー静止画圧縮の規格です。非可逆圧縮(圧縮すると元の画像の画質が壊れる形式の圧縮)です(可逆圧縮形式もサポートしているが、可逆圧縮は特許などの関係でほとんど利用されていない。)。
GIF(Graphic Interchange Format)
カラー静止画のフォーマットです。圧縮もなされますが、この圧縮アルゴリズムの特許使用料を米国ユニシス社が主張した事から、このフォーマットは一部では嫌われています(米国内では2003年6月20日にLZWの特許が失効し、日本国内でも2004年6月20日に特許が失効)。
PNG(Portable Network Graphics)
カラー静止画のフォーマットです。多くのWebサイトでこのフォーマットの画像が使われています。圧縮もなされ、しかも可逆圧縮(元の画像データの品質を壊さずに圧縮)ができます。
BMP(BitMaP)
カラー静止画のフォーマットです。画像データを圧縮せずそのままのデータで保存するため、データのサイズも大きなままです。
TIFF(Tag Image File Format)
カラー静止画のフォーマットです。データの先頭部分にタグをつけられ、そのタグにファイルの形式を書き込むことができます。なお情報処理試験にはほとんど出題されていません。

マークアップ言語

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HTML(HyperText Markup Language)
ホームページを記述するためにも使われる、最も一般的なマークアップ言語です。あらかじめ用途の決められたタグを埋め込みながら記述していきます。初級シスアド試験では、ごく簡単なHTMLが書けるレベルの出題がなされます。
XML(eXtensible Markup Language)
近年、出題比率が高くなっている用語です。HTMLのタグの用途はあらかじめ決められているのに対し、XMLの場合はユーザ側でタグを規定し、その意味を定義することができます。たとえば「<売上高>」というタグをユーザが作り、「<売上高>10000</売上高>」といった使い方もできる、という意味です(もちろん、予め双方で、このタグの意味を取り交わしておく必要もあります)。この柔軟さから、XMLは電子商取引に役立つ技術として本命視されています。
SGML(Standard Generalized Markup Language)
HTMLやXMLの基になったマークアップ言語です。文書のタイトルや見出しといった、文書の構造を記述するタグをつけていく形の、文書記述言語として策定されました。
TeX
テフまたはテックと発音します。初級シスアドにはまず出題されません。理工系の大学を出た方などにはおなじみのTeXですが、複雑な数式を含んだ文書(論文やレポートなど)を、すっきりしたレイアウトで印刷したい際に強みを発揮し、特に文の中に数式をのように用いる際に有利です。
PDF(Portable Document Format)
たとえばマイクロソフト社のWordで作成された文書ファイルを他人に配布する時は、読み手側のPCにもWordがインストールされていないと読むことができません。ですがWordで作った文書を、アドビ社の「Acrobat」というソフトを使って、PDFと呼ばれるファイル形式に変換してから配布すると、アドビ社の「Adobe Reader」というソフトさえPCにインストールされていれば、そのPDFファイルを開くことができます。

【特徴】

  • 元のWordファイルに比べて、ファイルサイズを小さくできる。
    • ネットからのダウンロードに向く
  • ワープロソフトで作った罫線や絵、レイアウトも変換できる。
    • 同じワープロソフトを持っていなくても、そのファイルを閲覧できる
  • 一度変換すれば、元のソフト(MS-Wordなど)での修正が困難となる。
    • 改ざんがなされにくい

なお、情報処理技術者試験センターが公表する資料の多くもPDFのフォーマットです。

CSV形式
たとえば、表計算ソフトでこのようなデータを作ったとします。
消費税 1.05    
売上 30000 20000 50000
税込金額 31500 21000 52500
これをCSV形式(CSV:Comma Separated Value)で保存すると、以下のようなデータになります。
消費税,1.05,,
売上,30000,20000,50000
税込金額,31500,21000,52500
表のレイアウト情報や数式などが一切省かれた、最低限のテキストデータのフォーマットです。このフォーマットであれば、どんなに古い表計算ソフトとでもデータのやり取りができます。また、何らかの集計や統計をとるソフトウェアが、集計結果を手軽に表計算ソフトに取り込んでもらうためにと、CSV形式のファイル出力をサポートしている場合もあります。

音声データ

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MP3(MPEG1 audio layer 3)
MPEGは動画圧縮の規格ですが、同時に音声データ圧縮の規格も策定されています。その、音声データの規格の部分だけを利用したものがMP3です。MP3は、音楽データを圧縮してのネット配信や、オーディオ製品に応用されています。
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)
初級シスアド試験での出題比率は低いです。MIDIは、電子楽器同士や、PCと電子楽器をつなぐインタフェースと、そこを流れるデータフォーマットの規格です。なお今日のPCのOSには、MIDIデータファイルから音楽を直接再生できる機能がついているものが一般的です。

SI(国際単位系)

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アンペア、ワット

中学校の理科で、「V(電圧) = R(抵抗) × I(電流)」と習いました。このIが、電流を意味するアンペア(A)でした。また、電圧(V)と電流(A)を掛けると、ワット(W)が求まります。

【例題】
ノートPCのバッテリーに、10V 2000mAhと書いてあった。この場合、消費電力10WのノートPCを何時間駆動できると考えられるか。
【考え方】
まずこのバッテリーは、10Vの電圧で2000mAの電流を流す(20W)と、1時間で力尽きてしまう、と読みます。
  • もし10Vで1000mA流す(10W)なら、計算上は2時間もちます。
  • もし10Vで500mA流す(5W)なら、計算上は4時間もちます。
  • もし10Vで200mA流す(2W)なら、計算上は10時間もちます。

本来ならバッテリー特性は消費電力によって変動するはずなのですが、そんな細かいことは気にせず、単純計算で解きます。答は、2時間です。

ルーメン

光の明るさの単位です。システムアドミニストレータは、コンピュータを快適に使うためにオフィスの明るさにも気を配らないといけないようですが、具体的に「何ルーメンの明るさが適切か」といった出題は、まず出ません。


関連項目

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  1. ^ EAN国コード
  2. ^ 偶数桁の総和の3倍と奇数桁の総和を足した数の下一桁の10に対する補数