ITパスポート試験
このページでは、ITパスポート試験に関する情報や概要、試験内容、対象者像、出題範囲、合格率など、受験を検討している方や学習を進める方に向けた役立つコンテンツを提供します。
概要
ITパスポート試験(IP、Information Technology Passport Examination)とは、平成21年度(2009年度)より実施されている情報処理技術者試験の1つである。試験実施団体は、独立行政法人情報処理推進機構情報処理技術者試験センターである。
平成23年度(2011年度)までは他の試験と同様春期と秋期に実施されていたが、平成24年度(2012年度)よりCBT方式の試験となり随時行われている。
ITパスポート試験が対象とする人材像
対象者像
職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識を持ち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者。
業務と役割
職業人として備えておくべき、情報技術に関する共通的な基礎知識を習得した者であり、担当する業務に対して情報技術を活用し、次の活動を行う。
- 利用する情報機器及びシステムを把握し、活用する。
- 担当業務を理解し、その業務における問題の把握及び必要な解決を図る。
- 安全に情報の収集や活用を行う。
- 上位者の指導の下、業務の分析やシステム化の支援を行う。
期待する技術水準
職業人として、情報機器及びシステムの把握や、担当業務の遂行及びシステム化を推進するために、次の基礎的な知識が要求される。
- 利用する情報機器及びシステムを把握するために、コンピュータシステムやネットワークに関する知識を持ち、オフィスツールを活用できる。
- 担当業務を理解するために、企業活動や関連業務の知識をもつ。また、担当業務の問題把握及び必要な解決を図るために、システム的な考え方や論理的な思考力をもち、問題分析及び問題解決手法に関する知識を持つ。
- 安全に情報を活用するために、関連法規や情報セキュリティーに関する各種規定に従って活動する。
- 業務の分析やシステム化の支援を行うために、情報システムの開発及び運用に関する知識を持つ。
試験方式
試験時間は120分(2時間)で、合計100問出題される。日程や開始時間は会場によりそれぞれ異なる。
各問題それぞれ四肢択一の形式であり、会場のコンピュータで正しいものを選ぶ(2011年度までマークシートによる試験)。
なお素点方式で採点され、1000点満点の配点で、合格するにはストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の各分野別得点が、それぞれに満点の30%以上が必要であり、かつ総合得点が満点の60%以上取れていることが必要である。
出題範囲
試験においては、「ストラテジ系」・「マネジメント系」・「テクノロジ系」の3種類に大きく分類されて出題される。出題範囲は以下の通りになっている。
- ストラテジ系
- 企業と法務
- 経営戦略
- システム戦略
- マネジメント系
- 開発技術
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- テクノロジ系
- 基礎理論
- コンピュータシステム
- 技術要素
難易度
現在実施されている情報処理技術者試験の各区分の中では最も難易度が低く、国家資格全体で見ても難易度は低い部類に属する。また、前身に相当する初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)よりも難易度が下がっているとされる。
参考までに、ITパスポート試験の合格率は40〜50%程度、初級シスアド試験の合格率は30%程度、基本情報技術者試験の合格率は20%台(2006年春期までは10%台だった)である。
しかし、民間検定を含めた一般利用者向けのコンピュータの資格試験としては、難易度が高い部類に属するため注意が必要である(ITパスポート試験と情報セキュリティマネジメント試験はシステム開発者向けの区分ではない)。ITパスポート試験の難易度を民間のパソコン検定と比較するならば、情報活用試験1級(旧J検準2級)、P検2級、日商PC検定試験2級などと同じくらいと言われている(ただし民間検定でもP検1級、日商PC1級はITパスポート試験よりも難易度が高いと言われている)。
また、ITパスポート試験は大学生・社会人の合格率は比較的高いが、高校生以下の学生の合格率は40%未満と低い。これはITパスポート試験ではマネジメントやストラテジといった、学生に馴染みの薄いビジネス系の知識が問われるためである。
注意点として、ITパスポート試験では他の情報処理技術者試験の区分の午前科目に比べて、過去問があまり出題されないということがあげられる。つまり過去問の丸暗記はあまり通用しないため、教科書や参考書などでしっかり内容を理解しておく必要がある。