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利用者:Vigorous action/作業場

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

作業環境要素とは、職場の作業環境や作業の仕方による労働者の健康に影響を与える可能性のある要因のことである。これらの要因に労働者がさらられることを一般にばく露(ばくろ)という。

労働衛生管理において衛生管理者は、作業者が従事している職場の作業環境及びその環境で個人ごとのばく露に関する作業条件について常に包括的、経時的に理解する必要がある。特に作業環境要素のうち有害なものにばく露することが明らかな場合には作業環境の測定と評価、作業の観察と改善、労働衛生対策のための設備の設置・改善、作業時間の制限などを実施するとこによって労働者の健康影響や、健康障害が発生ししないような措置をとる必要がある。

有害性がよくわからない作業環境要素が存在する可能性があるのであれば、労働者集団における健康指標を追跡、分析するサーベランスを行うなど健康影響を評価し、有害な所見がある場合には原因の追究と有効な対策の実施を検討する必要がある。

一般的作業環境

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温度・湿度

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温度感覚を左右する環境条件は、気温・湿度・気流・輻射(放射)熱の4つの要素によって決まる。

健康障害が発生するかどうかは、これら4つの要素に加えて作業時間・作業強度・服装・個人保護具・水分・塩分摂取量・体調・暑熱に対する順化・皮下脂肪・持病などの要素が関連してくる。

たとえば、熱中症は高湿・高温の風のない炎天下の環境で、さらに作業の初日や急激に暑くなったときに多発する。また、低体温症は低温・低湿で強風の多い環境で多発する。

労働安全衛生規則第587条では、暑熱、寒冷または多湿の職場には半月ごとに1回定期的に、気温、湿度、輻射熱の測定が義務化されている。また、事務所衛生基準規則第7条では、中央管理方式の空気調和装置を設けている事務室では2ヶ月以内ごとに1回定期的に温度(室温・外気温)・湿度・一酸化炭素、二酸化炭素含有率の測定を行う必要がある。

また事務所内の気温が10℃を下回る場合暖房するなどの適当な温度調節を行わなければならない。空気調和設備を設けている場合には、室内温が17-28℃・相対湿度が40-70%になるように調整するように求められている。

温度や湿度をエアコンにより調整するときには、設備本体やエアコンのコントローラーによる設定温度ではなく、作業場所の温度を測定して調整する。気流の理想は作業者に万遍にゆっくり変化するようにすることである。

暑熱の場合外気温との差が7℃以上になると身体の温度調節機能に著しい負担がかかることから、不要な熱源をカットする・スポットクーラーの導入や大型換気扇などによる対流促進や上方排気・炎天下の場合における日陰の確保などの工夫も検討する必要がある。

これらのように気温・湿度・気流・輻射熱の湿熱要素を評価するためには、要素をひとつづつ測定することが一般的である。しかし、それらの総合評価の方法として湿球黒球温度(WBGT)をもちいて暑熱条件を表すこともできる。

屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合

WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度

屋外で太陽照射のある場合

WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

厚生労働省では熱中症の予防については、「職場における熱中症の予防について」(厚生労働省 平成21年6月19日付け 基発第0619001号)および「熱中症の予防対策におけるWBGTのかつようについて」(厚生労働省 平成17年7月29日付け 基発第0729001号)の通達において熱中症のリスクを評価する指標として、作業負荷に応じたWBGT基準値が示されておりWBGTを用いた暑熱環境の評価を行うことを推奨している。

空気環境・換気

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空気環境には温度や湿度などの物理的条件以外に、二酸化炭素、粉じん、ホルムアルデヒドなどの様々な化学物質や細菌、ウイルス、ダニなどの生物も存在する可能性がある。
室内の空気は屋外に設置した設備で外気と喚起しながら給排気されていることがビルなどの場合多く見かけられるが、温度調整や加湿の効率を保つために一定の割合で循環されている。このような場合換気量、循環空気量の割合、室内の人員数によっては二酸化炭素濃度が徐々に上昇することもある。