例3
とおけば,
となるから,割り算を実行すると,
となる.手順は次のとおりである. を で割るというのは, を掛けると となる式を求めるということであるから,
が微分演算であることを思い出すと,答えとして を得る.次に,
を被除数 から引き, を得る. を で割ると,上と同様に考えて, となる.
以下同様.
験算
今度もうまくいった.初期値は である.
例3の計算の中で, で割るという演算を抜き出してみると,
である.これらの事実から次のことが分かる. で割るということは,積分する(あるいは原始関数を求める)ということにほかならぬ.つまり,
(1.4)
を意味することが分かる.
このことを念頭において,例3の計算を次のように少し修正してみよう.
積分を先にすませておくのである.
と変形しておいてから,割り算を実行する.
よって,
を得る.これは前に述べたものと定数 だけ異なっているが,やはり解であることは験算するまでもなく明らかである.
ただし,初期値は である.定数の差は不定積分に伴う積分定数のとり方に依存する.同じ解が欲しければ,
としておけばよい.積分定数の選び方によって解が異なるということは,欠陥ではなく長所である.色々と異なる初期値を持った解が得られることを示唆しているからである.
我々の前途に光明を投じてくれているのである.
例4
を上述の方法で解いたとき,常に割り切れ,その積が解となっていることを示せ.
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記号 は左辺を右辺で定義することを表す.