出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
一般論に入る前に,まず一つの例を与える.
(3.20)

の解を,特に初期値を指定しないで求めてみよう.
Laplace 変換すると,
![{\displaystyle s^{3}{\mathcal {L}}[x]-x(0)s^{2}-x'(0)s-x''(0)-\{s^{2}{\mathcal {L}}[x]-x(0)s-x'(0)\}+s{\mathcal {L}}[x]-x(0)-{\mathcal {L}}[x]=0}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/3a1817db4d2c201c34403b9365f74ae1d3716209)
について整理すると,
![{\displaystyle (x^{3}-s^{2}+s^{1}){\mathcal {L}}[x]=x(0)s^{2}+\{-x(0)+x'(0)\}s+\{x(0)-x'(0)+x''(0)\}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/482b598f3028056bd3bc99b5301a4f9e16f1eb9f)
となる.この式の右辺は
の 2 次式である.
をとくに指定しないので,一般には高々 2 次式の多項式となる.
これを
とおこう.すると,
![{\displaystyle {\mathcal {L}}[x]={\frac {q(s)}{(s-1)(s^{2}+1)}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/49d4881b0f4b9c14f4255ef108747759458798c7)
とまとまる.これを部分分数に展開すると,

ここで初期値を指定していないので
は未定の定数である.この原像は,
(3.21)

となる.すでに述べたことであるが,3 階の微分方程式は一般に 3 個の未定定数を含む.
このような解を一般解と呼んでいる.“一般”という意味は
を適当に選ぶことによって,どのように初期値を与えてもそれを満たす解が
式 (3.21) から作れるという意味である.
そのことを確かめよう.初期値を,

と与えると,
(3.22)

とならなければならないが,この係数の作る行列式は

3 行目に 1 行目を加えて,

となり,これは
がどんな値であっても,決して
とはならない.
よって式 (3.22) を満たす
が一意に確定する.このことは,
(3.23)

が式 (3.20) の解であって,
しかも 1 次独立であることに起因する.このことの詳細は次節に示すこととし,ここでは 式 (3.23) が 1 次独立であることを示しておこう.
(3.24)

から
を導けばよい.それにはまず 式 (3.24) に
を作用させるとよい.このとき
と
の項は消えて,

となる.次に,

において
とおくと
を得,ついで
を得る.
このように,3 階の線形微分方程式は常に 3 個の 1 次独立な解をもち,その 1 次結合が一般解となるのである.
一般の場合の証明も,この例とほぼ同様にして示される.
例77
次の微分方程式の一般解を求めよ.

解答例
例78
次の微分方程式の一般解を求めよ.

解答例
例79
次の微分方程式の一般解を求めよ.

解答例
例80
一般解は Laplace 変換によらずとも,特性多項式を見れば直ちに分かる.どうしてか.
解答例