制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/解の構造と一般解/一つの例

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一般論に入る前に,まず一つの例を与える.

(3.20)

の解を,特に初期値を指定しないで求めてみよう. Laplace 変換すると,

について整理すると,

となる.この式の右辺は の 2 次式である. をとくに指定しないので,一般には高々 2 次式の多項式となる. これを とおこう.すると,

とまとまる.これを部分分数に展開すると,

ここで初期値を指定していないので は未定の定数である.この原像は,

(3.21)

となる.すでに述べたことであるが,3 階の微分方程式は一般に 3 個の未定定数を含む. このような解を一般解と呼んでいる.“一般”という意味は を適当に選ぶことによって,どのように初期値を与えてもそれを満たす解が 式 (3.21) から作れるという意味である. そのことを確かめよう.初期値を,

と与えると,

(3.22)

とならなければならないが,この係数の作る行列式は

3 行目に 1 行目を加えて,

となり,これは がどんな値であっても,決して とはならない. よって式 (3.22) を満たす が一意に確定する.このことは,

(3.23)

式 (3.20) の解であって, しかも 1 次独立であることに起因する.このことの詳細は次節に示すこととし,ここでは 式 (3.23) が 1 次独立であることを示しておこう.

(3.24)

から を導けばよい.それにはまず 式 (3.24) を作用させるとよい.このとき の項は消えて,

となる.次に,

において とおくと を得,ついで を得る. このように,3 階の線形微分方程式は常に 3 個の 1 次独立な解をもち,その 1 次結合が一般解となるのである. 一般の場合の証明も,この例とほぼ同様にして示される.


例77

次の微分方程式の一般解を求めよ.

解答例



例78

次の微分方程式の一般解を求めよ.

解答例



例79

次の微分方程式の一般解を求めよ.

解答例



例80

一般解は Laplace 変換によらずとも,特性多項式を見れば直ちに分かる.どうしてか.

解答例