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制御と振動の数学/Laplace 変換/定積分の計算への応用/主値積分

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

次に,定積分の計算において Cauchy の主値の現れる場合を取り扱おう.

は閉区間 内の 1 点 を除いて連続, では不連続としよう. このとき では は連続であるから,これらの区間での積分,

は存在する.そこで,これらの積分の値が の極限でも確定するとき,

(2.36)

とおいて,これを から までの広義の積分あるいは変格積分ということは良く知られている.

例61

[1]

これは明らかに値を持たない.

しかしながら は奇関数であるから,

としたい気持ちを抑えることはできない.そこで広義積分の定義を少し修正して, とおくと,希望どおり,

を得る.

そこで,次の定義を設ける.

[定義:Cauchy の主値積分]

広義積分,式(2.36)において, を独立に とすると極限値は存在しないが, として極限をとると,

(2.37)

は存在することがある.このとき,式(2.37) を Cauchy の主値積分あるいは単に積分の主値といい,

と書く. は principal value の略記号である.

この定義によれば,

である.

例62

事実,

[2]
[3]

となる.

Cauchy の主値積分に関する公式を示そう.

(2.37b)


とおいて Laplace 変換すると,

ここで,被積分関数を部分分数に分解すると,

であるから,

となる.例 62[4]を用いると,この右辺は,

[5]

である.よってこの原像を求めると,

[6]

ここで, とおけば求める結果を得る.


  1. ^


  2. ^ 区間 の間に がないとき,




    ならば ならば
  3. ^
  4. ^
  5. ^ 例56 より

  6. ^


例63

を示せ.

解答例

とおく.この両辺のラプラス変換を取ると,

ここで例62より,

また例56 より,

よって,

この原像は,

よって,


例64

を示せ.

解答例

とおくと,両辺をラプラス変換して,

ここで例62より,

また例56 より,

よって,

よってこの原像は,

よって,