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変形菌の採集・標本作製

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

現在のところ、変形菌の同定は子実体によらなければ困難である。そのため、変形菌を採集し、同定や分類学の研究に供する標本を作製することは、ほぼ子実体を採集し、その標本を作製することと同義である。また、分子生物学的研究に供する培養株を新たに野外から得る場合も、通常は子実体を採集し、そこから取り出した胞子を培養することになる。また、微小な子実体を作る変形菌の子実体を得る方法として、後述の湿室培養法が用いられる

採集

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器具

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  • 道具箱
    取っ手があって手で提げられる道具箱を用意し、これに以下の器具を収納する。内部がトレーで二段式になっているものは上の段が採集品の一時収納に使えるので便利である。
  • 標本箱
    日本変形菌研究会が特注制作し、1個40円で販売しているマッチ箱状の標本箱が便利である。白ボール紙製で外箱、内箱、台紙の3部分からできており、現地で折って組み立てられるようになっている。箱には採集地、採集日時、採集者指名を記入しておくこと。
    市販のプラスチックケースを用いたり、厚紙で自作する場合は、幅5cm、長さ10cm、高さ2㎝程度の大きさまでを目安にすると良い。また、内部にコの字に折った貼り付け台紙をはめ込んでおくと、後の観察に便利である。
    野外での一時収納用に菓子折りやプラスチック製の弁当箱を用意してもよい。
  • ルーペ
    微小な子実体を探したり、見つけたものが間違いなく変形菌の子実体かどうかを確認するため、20倍程度のものが好ましい。
  • ピンセット
    できれば30㎝程の大型のものが使いやすい
  • ナイフ
    子実体が付着した腐朽木や樹皮を削り取るのに用いる。鞘がついた果物ナイフが使いやすい。
  • はさみ
    子実体が付着した枯葉や小枝を切断するのに用いる。剪定鋏身が使いやすい。
  • 接着剤
    台紙に標本を貼り付けるのに用いる。
    • 酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤 - いわゆる木工ボンド
      乾燥は遅いが湿った基質であっても固定でき、仕上がりも美しい。
    • 合成ゴム系接着剤
      速乾性に優れ、すぐに台紙に固定できるが、湿ったものの固定には適さない。
  • 粘着テープ
    紙製の絆創膏やドラフティングテープのようなもの。仮収納ケースの底に標本を貼り付けるのに持ちいる。
  • 筆記用具(鉛筆)と野帳(フィールドノート)
    採集データの記録

子実体の発生場所

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多くの種類は、高温多湿の梅雨の時期に変形体が成長し、梅雨明けの晴れ間が増えてくる頃に子実体をつくりはじめる。また、雪解けや秋の時期に子実体をつくる種も存在する。 主に落ち葉の表や低木の枝等に発生するが、ここでは通常の例も含め、子実体の発生場所を挙げる。

・植物の葉の裏表

・切り株

・雪が解けつつある場所の枯れ枝等(主にルリホコリなど)

・シイタケの榾木

・広葉樹や針葉樹の落ち葉

・倒木

・クリの"いが"(主にシラタマウツボホコリ)

・野菜の実

・キノコの表面上

これ以外にも多くの場所に子実体をつくる。見つけるときのコツはなく、ベテランより初心者の方が多く、早く見つけるということもしばしばある。 先入観にとらわれずに、広く見ていくと見つけやすいかもしれない。

湿室培養法

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標本作製

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乾燥標本

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プレパラート標本

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