学習方法/高校地学

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履修すべきか?[編集]

大学入試で地学を受験科目として採用していない大学も多いので、地学を入試対策として学ぶ必要があるのか各人検討してから学習すること。大学入試科目として「地学」を採用している大学は、国立大学と一部の公立大学、そして一部の私立大学のごく一部の学部に限られる。ただし、私は東大一本です!みたいな人は「地学」を選択しても全く問題ない[1]。 最近は特に文系受験生の、センター試験での地学基礎選択者が増加し[2]、やっと地学にも日の目が当たってきた。理系でも、物理地学選択に対する制約は以前より少なくなった[3]

しかしながら地学教員の数及び地学が学べる高校が異常に少ないため、地学を学習しにくいのが現状である。また、高校で全く習わない場合もあり、独学で地学を学習する場合には、教科書の購入そのものが大変なこともある。「地学」の参考書自体も少ない[4]

地学では使わない知識[編集]

天体や鉱物の名称の暗記は、高校地学でも大学での専攻地学でも必要とされない。高校までの検定教科書に書いてあるような有名な天体や鉱物を覚えておれば十分だろう。

学習方法[編集]

理系[編集]

学習者が少ないため、特に「地学」(基礎を付さない科目)の受験参考書・問題集の種類が少ないのが現状である。このため、検定教科書および入試過去問を使うことになるだろう。入試方法や受験大学によって入試対策の方法が異なる部分もあるが、まずは(特に高校1年生~2年生)は教科書レベルの内容をしっかり理解することが大切だろう。

入試過去問を用いた問題演習を行うこととなるだろうが、大学によって出題内容・形式が異なる[5]ので、それを踏まえた上で各自の必要に応じて問題演習を重ねると良いだろう。

文系[編集]

センター「地学基礎」のみを受験する場合は、近年、センター対策の参考書・問題集が多数出版されているので、教材確保について心配することは少ないだろう。

教材について[編集]

検定教科書[編集]

高校で地学を履修している生徒は授業で使用している教科書を利用すれば良いだろう。独学で大学受験に臨むものは、各自で購入した方がよいかもしれない。詳しくは小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法を参照。なお、「地学」の検定教科書を発行しているのは啓林館と数研出版のみである。

副教材など[編集]

  • もういちど読む 数研の高校地学

数研出版から発行された「地学基礎」・「地学」の教科書をもとに編集された書籍である。ただし大学生や社会人向けの書籍であること、「地学基礎」と「地学」の区別が表示されていないことなどには注意する必要がある。

  • ひとりで学べる 地学(清水書院)

大学受験参考書の1つで、「地学基礎」と「地学」どちらの範囲に含まれるか表示されている。なお、各章の末尾に実力確認問題があり、問題演習も行える。

  • ニューステージ 新地学図表(浜島書店)

資料集である。

※この他、センター「地学基礎」受験者(主に文系)については、センター対策の副教材(参考書)などが市販されている。

問題集[編集]

  • センサー地学(啓林館)

「地学」の問題集で唯一出版されているものである。

問題集が他にないので、大学入試の過去問を用いるのも一つの手ではある(1年生・2年生には厳しいかもしれないが)。ただし全国大学入試問題正解シリーズ(旺文社)には地学はないので、必要な大学の過去問を1つずつ用意する必要がある。過去問データベース(東進)でも地学の問題が掲載されていない大学もある(筑波大学・首都大学東京など)。

  • センター試験過去問・各大学の赤本(教学社)

この他、Web上で公開されている問題集もある。各自の学習にどの程度役に立つかはわからないが、適宜活用するのもよいのかもしれない。

特に理系地学選択者にとっては問題集の選択肢が少ないゆえ学習は特に大変だろうが、最後まで諦めずに頑張ったうえで各自の目標に到達できることを、陰ながら応援している。

数学が苦手な高校生の進路[編集]

「数学が苦手だが、地学が好きで大学でも勉強したい。地形がらみの仕事をしたい。」という人は、地理学科[6]か教育学部の理科系を目指すのが安全なのかもしれない。ただ、これはあくまで安全策であり、大学進学後に何を勉強・研究するか正しく把握したうえで、進路を熟慮し受験勉強に臨むことも大切[7]なので、数学が苦手であろうと、大学でも地学を勉強したいという強い意志をもつ人が理学部地球科学科を志望する選択肢を否定しているわけではない。ただし、大学進学後も数学・物理・化学などの知識や計算は不可欠[8]なので、少しでも苦手に思う場合は人一倍の努力(やる気・根気・年期)を続けること。

大学の地学(余談)[編集]

大学の場合[編集]

大学での専攻の場合の地学では、応用物理学みたいなことを行います。高校の理科・数学で習った解析方法を除けば、地学に使える解析方法が、応用物理以外に、他に、あまり、無いのです。

なぜなら化学などと違い、「実用的な新素材を作り出す」(計算はともかく)、という事が、地学では、できません。よって地学の多くの分野では、計算などによって、解析をして理論的に計算していかざるを得ないのです。

研究者が天体観測をするにしても、高価な観測装置が無いと、観測できません。その観測装置の原理を理解するにも、応用物理があると、好都合です。(しかし、観測装置を作るまでの知識は不要。そういうのは製造業の仕事である。)

結局、大学も、税金をもらって研究してるわけですから(公立私立を問わず)、国政選挙の有権者である、親とか先祖の世代が、こういう、地学マニアを排する教育方針に納得してるのでしょう。

もっとも外部の社会から見れば、たとえば「じゃあ、大学での地学の公式の暗記にも、地学研究者以外になる人には、社会からすれば、たいして需要が無いんじゃないか? そんなに実用性を重視するなら、機械工学や電子工学でも教育すればよいだろ。そんなに観測装置の原理を重視するなら、その機器に用いられる機械工学や電子工学を教育すれば良いだろう。なのに、工学をあまり修めない。結局、地学の学会の趣味の、偏った知識だ。地学の学者が批判してる地学マニアと、五十歩百歩じゃないか?」とも思いが脳裏をよぎりますが、われわれウィキブックスの知ったことでは、ありません。だいたい、地学の学科なんて、日本の大学には、ほとんど、ありません。

地学などの理学部の大学教育では、「物理学が根本の原理」だと重視するわりに、機器の原理の機械工学も電子工学も勉強しないことを疑問に感じない科学者が日本には多いと感じますが、まあ、国民がそれを納得してるんだから、大衆たちの好みに会わせたほうが、あなたたち読者は学問の商売をしやすいと思います。

大学の地学専門では、物理学の難解な数式が出てくる[編集]

大学で地学を専門的にあつかう学科では、物理学の数式が多く出てきます。それも、たとえば気体の流体力学などの、高校物理では習わない分野の難解な公式が、多く出てきます。(なお、高校でも工業高校などで、液体の流体力学については、簡単な場合を扱う。)

ほかにも、地盤や岩盤の強度の計算なども、あるかもしれません。 このような大学の事情もあり、大学での地学の研究室の所属は、物理学科に地学の研究室が所属している場合もあります。 どちらかというと応用物理学や計算物理学などの手法を用いて、地球科学や惑星科学を研究している研究室が多いでしょう。このため、物理の計算問題の公式暗記に苦手意識を感じる人は、進路では、大学地学には進まないほうが良いでしょう。数学が好きだけど、計算問題を覚えるのは苦手、嫌い、好きじゃないという人は、応用物理学である地球科学には近づかないほうが良いでしょう。

もっとも、これ(流体力学の計算など)は、地学を専攻する場合の事情であって、専攻外の場合には、そこまでの計算力を要求されません。たとえば大学低学年あたりの選択理科で習う地学は、高校の地学の復習に、ちょっと、高校では習わない博物学的な話題を付け加えた程度でしょう。 なぜなら、仮に大学1年生にテストで流体力学やら岩盤力学とかを出題しても、まず学生が解けないからである。


地学用の物理は暗記科目[編集]

さて、もし大学で地学を専攻しようとするなら、難解な物理の公式が多いので、まずは大学受験の物理の計算問題をスラスラと解けるようにする必要があります。 その上で、大学入学後に、物理のさまざまな公式を暗記して計算問題を解けるようにする必要があります。 大学の物理学科も、公式の暗記が必要です。工学部などと比べると、物理学科では公式の理解も要求されるかもしれませんが、それは「工学部と比べたら」という条件つきです。所詮、大学でも学生レベルの理科は暗記科目です。

地学の研究手法[編集]

おそらく、地学のほとんどの研究手法は、高価な実験設備を用いた何かの自然現象の再現実験か、あるいは高価な測定器を用いた測定か、あるいは高性能のコンピューター計算機を用いた数値計算によるシミュレーション実験などに、頼る方法があります。核融合の理論だとか流体力学などの難解な数式も駆使して予想をされた理論を、最新の高価な簡素装置で実験して検証する、というのが地学の研究手法です。

工学と違い、高卒には居場所が無い[編集]

工学と違い、「身近な部品パーツなどを組み合わせて、実際に制作してみる」という製造業的な研究方法が、地学などの自然科学では使えません。

その一方で、数学や理論物理とも違い、計算力や数学センスだけで、叩き上げていく、という事もできません。

はっきり言って、地学の研究職は、理学部の中でも、学歴主義が断トツでしょう。たとえば製造業の企業名を考えれば分かります。「化学メーカー」はあっても、「地学メーカー」という呼び方を聞きません。中小企業名でも、なんとか化学工業株式会社は聞いたことがあっても、なんとか地学工業株式会社を寡聞にして聞きません。せいぜい、土木工事関係の社名で、なんとか地質(ちしつ)工業株式会社を聞くくらいです。

特に地学の場合、化学のような「さまざまな素材や温度や圧力の組み合わせを試して、新素材を作る」的な開発が、あまりできません。

仮に、材料系の製造業などが鉱物などにさまざまな素材や圧力を加えて新素材を新発見したところで、たぶんその業績は「地学」というよりも「化学」などと見なされて高く評価されるでしょう。また、そのような材料を大学で研究開発するにしても、化学科のほうが開発しやすいでしょう。地学科だと、材料開発には、あまり役立たない事にも、多くの時間を取られます。たとえば台風のメカニズムやら気象のメカニズムやらを、どんなに解析しても、よほどの画期的な新発見でもしないかぎり、新素材の開発には、台風の研究は、まず役立たないでしょう。


よって、高卒レベルの計算力で、地学の研究職になるのは、まず無理です。実験予算も、町工場レベルの費用では、まったく足りません。地学の最新の研究の多くは、国家プロジェクトみたいに億円規模の税金を使って、高価な観測設備を買って、東京大学などの国立大学で研究する必要があります。また、「高卒叩き上げの地学研究者」なんてのも、まったく聞いたことがありません。高卒の社長は世間にいても、高卒の地学研究者は、いないでしょう。

工業高校には「地学科」なんてありませんし、高専にも「地学科」なんてありません。 工業高校に、たとえ「工業化学科」はあっても、「工業地学科」なんて無いのです。


どんなに頑張って野山を探検して化石を探して掘ったりとか(それは古生物学だが)、どんなに市販の天体望遠鏡で天体観測をしたりとかをしても、大学では学業などとしては認められないでしょうし、学会でも「学問的な業績」とは認められないでしょう。

学歴主義の業界ほど、英語が必要[編集]

どうしても、仮に、日本では評価されないタイプの努力によって、仮に画期的な新発見したことがあって、それを学問的な業績として認められたければ、海外の大学に期待したほうが早いでしょう。そう推論すると、英語を勉強する必要があります。そうすれば、英語の大学受験レベルの勉強も必要ですから、大学入試でそこそこの成績を取れるはずですから、学費の点を無視すれば、平均的な理系大学の入試には合格するはずです。

「海外の大学に期待したほうが早い」というのは、実際に、日本国内の物理学や化学などの各分野の大学研究者の業績ですら、日本の学会よりも先に、海外の学会で業績を認められる、という場合すらも、実際に、あります。

化学産業のある化学科とは違い、地学には「地学産業」なんてありませんから、在野の地学研究者が市場競走で学者としての実力を認められるなんて、ありえません。なので研究者は、どこかの国の大学などの公共の研究機関を、頼らざるを得ません。

地学用の物理には、理解するまでの時間が足りない[編集]

そして、地球科学や惑星科学でも、物理学と同様に、このような物理の公式の暗記や、計算問題の解法の暗記が必要になります。 たとえば流体力学が、気象や河川などの解析で必要になるので、公式の暗記が必要でしょう。あるいは恒星などの中心での核融合にしろ、暗記が必要です。とても学生時代のたったの数年間という短時間では、あまりこれらの分野の理解はできず、結局、これらの分野の公式を暗記する必要があります。

たとえば流体力学なら、工学部の機械工学科の学生での流体力学の学習は、配管内の水流の流れのような比較的簡単な場合の流体力学を学ぶだけでも2年間くらいを掛けます。それでも流体力学の初歩にすぎず、学業を深めるため、さらに専攻に応じて、空気などの気体の流体力学を自動車などへの応用の観点から学びます。その工学技術者の就職後の専門分野で流体力学が必要な場合は、卒業後にも流体力学を勉強しつづける事になります。

一方、大学地学では、流体の他にも、核融合だとか、鉱物の化学反応とか、色々と学ばないといけません。どう考えても、物理学や地球科学での流体力学の教育時間は、本来の流体力学の理解に必要な時間よりも、不足しています。よって、流体や核融合などの公式を理解するだけの時間が地学では不足しており、よって公式を暗記する必要があります。

べつに、地学の専攻だけに限らず、化学を専攻する学科でも、物理の教育時間は不足しています。たとえば化学では、古典物理すら、まだ身についていない学生に、量子力学にもとづく量子化学の理論を教えます、このように、理学系の学科では、必要な公式を理解させるまでの時間が、かなり不足しています。それらの分野の基礎になる物理の時間が、足りてません。

さらに、地学では、こういう公式の理解のための時間不足についての大学の対応が、ほとんど考えられておりません。そもそも大学に地学科のある大学自体が少ないです。また、高校側でも、高校地学では、物理的な数式を駆使した解析が乏しいため、高校側の進路指導などでも、説明不足なのかも、しれません。

脚注[編集]

  1. ^ 東京大学は科類によらず、センター試験・2次試験ともに理科は物理・化学・生物・地学から自由に選択できる。
  2. ^ 新課程(2013年度から年次進行)で地学I・地学IIから地学基礎・地学と科目名及び内容が変更された。文系受験生がセンター試験で受験する地学基礎の学習範囲は従来の地学Iより狭いうえ、センター試験で理科基礎は2科目課されるのが要因である。生物基礎と組み合わせる受験生が多い。
  3. ^ センター試験では、2011年までは地学と物理の試験時間割が重なっていたため物理地学選択が不可能であったが、2012年に理科の科目選択の制約がなくなった。
  4. ^ センター地学基礎対策の参考書・問題集はある程度出版されているが、(基礎を付さない)「地学」の参考書・問題集はあまり出版されていない。
  5. ^ 前期試験に関して言うと、東京大学では計算問題の数が多く、天文分野からの出題も多いが、筑波大学では記述問題の比重が大きく、天文分野からの出題は比較的少ない。
  6. ^ 地理学科は大学により設置学部が大きく異なることに注意を払う必要がある。東日本では主に理学部に、西日本では主に文学部に設置されているが、例外もあるので、進学を検討している大学でどの学部に設置されているかは各自確認しておくこと。
  7. ^ 仮に工学部の土木工学科に進んでも、地球内部構造や天文学などは勉強しない。土木工学科は、土木構造物(鉄筋コンクリートのビル、ダム、橋梁など)に関する理論や計算などを学習するところで、計算力も強く求められる。仮に土木工学で河川を勉強するとしても、橋梁の構造計算にあたって河川の流体計算を勉強するためであり、地球の河川の成り立ちを調べるわけではない。まして河川の生態系については土木工学では深くは勉強しないだろう。
  8. ^ センターのみ必要だったり、そもそも受験で不要だったりする科目があっても、大学進学後に新たに学ぶ必要のある内容は数多い。