学習方法/高校政治経済

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基礎学習[編集]

基本的に、公務員試験の専門科目(憲法・行政法・労働法・政治学・経済原論・社会政策・国際関係など)を簡単にした内容が政治経済の科目です。なので、公務員試験の参考書(市販でもOK)や清水書院の用語集の内容を全て完璧に抑えれば、満点近く取れると思います。KADOKAWA出版の黄色本「面白い程分かる」でも参考文献にこれらの科目の本を原点としています。あくまで問題集はこれらを覚えているかの確認にすぎません。最も、高校生は数学や物理の演繹科目で非常に時間を取られます。そこで、中学生の内から、政治経済・公共を高速で覚え完成させるのです。

重点内容[編集]

入試対策[編集]

共通テスト対策[編集]

大学入学共通テストの過去問を見ると、「価格の弾力性(2017年センター試験「政治・経済」本試験)」「ロバート・ダールのポリアーキー論(2021年共通テスト「政治・経済」本試験)」などのように、大学レベルの経済学・政治学の用語が設問文中に登場しています。こういう分野は、検定教科書では、紹介してない場合もあります。だからといって、大学の「政治学」「経済学」のテキストや大学生向け就職対策本を使う必要はありません。共通テストでは、そうした問いは誘導があります(消去法で解ける・明らかにおかしな表現が混じっている・図で直観的に解けるなど)。

そのため、まずは基礎的な用語の暗記と理解を優先しましょう。

その上で、テクニックで解くために過去問演習を進めるようにしましょう。

私立大学対策[編集]

論述対策[編集]

国公立大学二次試験対策[編集]

後で述べるとおり、国公立大学二次試験で「政治・経済」が選択できる大学はごくわずかです。そのため、各大学の対策を参考にした方がよいでしょう。

入試傾向[編集]

国公立大の入試傾向[編集]

共通テストでの選択[編集]

大学入学共通テストでは、地歴公民のうち2科目がよく要求される場合があります。このうち、共通テストで公民科目を選択する場合は『倫理・政治経済』という科目が、国立大ではよく要求されます[1]

なお、共通テスト公民科目で「現代社会[2]」が選択できるかは、大学によります。傾向として、旧帝大などのいわゆる難関大では、文系・理系問わず「現代社会」受験を認めてない場合もあります。文系学部はほぼすべての国公立大学の学部で「現代社会(公共)」は選択不可だと思っていた方がよいでしょう。また、先に述べたように理系学部の受験でも、共通テストで「倫理・政治経済」が要求されている場合がありますので、履修計画を建てる際は気をつけてください[3]

二次試験[編集]

多くの国公立大の二次試験では、受験科目は国語と英語の2教科です。加えて、教員養成系の大学などで、国・英と地歴を要求する場合もあります(数学選択の場合もあり)。たとえ経済学部や商学部でも、二次試験で「政治・経済」を要求されません。2022年現在、国公立二次試験で「政治・経済」を選択できるのは高崎経済大学や東京学芸大学などごく一部に限られています。

そのため、国公立大学受験生の場合、「政治・経済」は共通テストまでの学習と思っていいでしょう。ただ、公立大学によくみられる総合選抜で「政治・経済」の知識があれば少し有利になるかもしれません。

私立大学の傾向[編集]

私立大学文系学部では「政治・経済」を選択可能な受験科目の一つとしていることがあります。全国的に著名な大学は大体受験科目に設定されていますが、地元密着型の小規模大学にはないことも珍しくありません。

一方で、私立大学に特有の「地歴・公民」に異様な知識量を求める傾向もあります。

関連科目[編集]

政治体制については「歴史総合」および「世界史探究(旧・世界史B)」の近代以降の歴史が大きく関わってきます。特に市民革命以降のヨーロッパ史やアメリカ史はよくチェックしておきましょう。理解が深まりますし、大学以降で学ぶ政治史や政治思想、政治理論を深く知るのに必要です。

経済分野では中学数学程度の計算を求められます。文系私立大学コースだと高校で数学はほとんどやらなくなるかもしれませんが、一次方程式や一次関数は復習しておいた方がいいでしょう。なお、主流の経済学(近代経済学)は数学を駆使しますので、もし経済学部への進学を考えているのでしたら最低でも文系数学(数学I・II・A・B)はしっかりと勉強しておきましょう。


以下未整理[編集]

高校の定期テスト対策でも、参考書を読んで問題練習しておけば、良いでしょう。

「砂川事件」など、裁判の判例で、違憲審査が議論になった判決など、よく入試で問われます。(「砂川事件」などの自衛隊関連の事件、ほかには津地鎮祭訴訟、三菱樹脂事件、生活保護問題の朝日訴訟など)

これらの判例は、検定教科書では表などで一覧で紹介されているだけの判例ですが、しかし入試では頻出です。大学入学共通テストですら、問われます (※ 2017年度共通テスト政治経済で確認)。

学会の通説なども入試では問われる[編集]

たとえば憲法の各条文の解釈や、あるいは経済問題の解釈などで、その分野の学会の通説なども、よく入試で問われます。大学入学共通テストでも、そういう出題があります。これは、検定教科書には客観性を重視して通説が書いてない場合があるので、参考書や大学入学共通テスト過去問で勉強してください。


法律の条文は入試に出しづらい[編集]

政治経済の教科書の巻末に、労働基準法や教育基本法など、いくつかの法律の条文があります。

しかし、法律の条文は、入試に出しづらいのです。なぜなら、法改正により、条文の内容が変わる可能性があるからです。

2017年共通テスト第一問で、民法についての文章が出題されましたが、しかし、実際に受験生が解かされた内容は、民法とは全くの別物でした。

その問題では、設問文では「市場ではモノの売買の際には契約が結ばれる」とあり、「市場」に下線aが引かれていました。

そして問2で、「下線部aについての記述として最も適当なものを」選べという問題で、 完全競争市場や、寡占市場や、消費財市場についての選択肢があるのです。

でも、民法でいう「契約法」って、そういうのじゃないでしょ・・・?

「市場の独占」とか「寡占」とかは、独占禁止法とかの範囲ですよね。(たぶん、文科省かどこかから、大学入学共通テスト問題の作成委員に対して「民法について出題せよ」という通達があったが、しかし普通科高校では学生に民法の内容は教えられてないから、こんな変な事態になっている。)

このように、日本の現在の普通化高校の教育制度では、民法や刑法の具体的な内容を問うことは出来ません。


裏を返せば、歴史的事実は、入試に出しやすいという事になります。すると、たとえば裁判の判決などが、入試に出しやすい事になります。

憲法訴訟の判例と、その判例の根拠となった法学的な考え方(「プログラム規定説」などの用語)が、おそらく検定教科書や参考書に書かれているのでしょうから、それを覚えてください。

このほか、過去の重要法案の可決に関する出来事と、その時のその法案の政治学的根拠または経済学的根拠などが、政治史・経済史として検定教科書や参考書などに書かれているでしょうから、それを覚えてください。

高校「政治経済」としての法律についての学習は、法律そのものの考え方を覚えるよりも、法制史(ほうせいし)として現代史と関連づけて覚えるほうが、入試対策的には安全でしょう。


高校の公民科目では、授業時間の制約で、あまり分析的なことを教えられない。[編集]

政治や法律の、分析的に深い見方については、民法や商法や国際法などの法律の専門知識の教育が必要ですが、しかし、授業時間数が不足しており、そのような法律の専門教育は不可能です。


また、経済や金融の分析については、複式簿記(ふくしきぼき)などの帳簿(ちょうぼ)の見かたや、商法・会社法などの経済に関連する法律知識が必要です。しかし、これらについても、授業時間が不足しており、そのような専門教育が不可能です。


かといって、もし政治経済の授業時間数を大幅に増やして民法やら複式簿記などを教えたら、こんどは、世界史・日本史などの他の科目の授業時間数が不足するだろうし、数学や英語など他教科の時間も減ってしまうでしょう。


大学の授業とは、かなり違う[編集]

経済学部との違い[編集]

大学の経済学部の入学後の授業は、高校の政治経済の教科書とは、かなり違います。

受験生がせっかく政治用語や経済用語を覚えても、大学の経済学部に入学したあとの授業では、数式などを駆使した、まったく違う手法で経済学を勉強することになります。また、数学Ⅲの知識も独学でもいいですから、絶対に覚えなくてはなりません。

 なぜなら、積の微分法や対数微分法を使った学説がマクロ経済学後半で登場するからです。

それだったら、高校生はあまり用語の深入りには期待せず、おそらく大学側としては、高校生には高校の世界史や地理などもふくめて、高校の社会科を全般的に学んで欲しい・・・というわけでしょう。

法学との違い[編集]

法学部や政治学部の授業も、高校の政治経済の教科書とは、かなり違います。法学部では、まずは民法や刑法などの、特に基本的な法律と考えられる2つか3つの法律を中心に学び、その民法と刑法を取っ掛かりにして、次に会社法や商法、労働基準法などの、ほかの様々な法律について、学んでいきます。

つまり、民法と刑法を中間経由して、その他の法律を考えてゆくわけです。大学では法律を、

1: 民法 & 刑法
2: 会社法、労働基準法などの比較的、日常的な法律
3: 独占禁止法、国際法などの、より発展的な法律

のように、段階的に学んでいきます。

で、日本の「民法」の条文数ってのは、条文が1000条くらいあります。しかし、高校では、民法や刑法の各条文の考えかたを、いちいち学んでる余裕がありません。

なので、高校では、中学で学んだ憲法の知識をヒントにして、いっきに独占禁止法とか労働基準法とか国際法とかを学んでいきます。

なお、大学の法学部では、条文の言い回しや番号(「第◯◯条」とか)を覚える必要はありません。そのため、高校でも条文の言い回しや番号を覚える必要も、まずありません。なので、高校の『政治経済』の検定教科書の巻末に書いてある民法などの条文の抜粋は、暗記は不要です。


政治経済を学ぶ意義と、意義とはちがう現実[編集]

高等学校学習指導要領の政治経済の目標には、

広い視野に立って,民主主義の本質に関する理解を深めさせ,現代における政治,経済,国際関係などについて客観的に理解させるとともに,それらに関する諸課題について主体的に考察させ,公正な判断力を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

とあります。 文部省の期待では、この科目によって、民主主義の担い手としての人材としての見識が身につけられることが期待されているようです。

しかし、現実には、授業時間数の不足など、上述した理由のため、その期待どおりの分析的な授業は、不可能です。


今後の学習[編集]

高等学校の政治経済は、政治学や経済学のうちの、ごく一部分の、きわめて初歩的な範囲にすぎません。

高校卒業後の進路や職業などに応じ、適切な分野を、今後も学習を継続していく必要があります。



脚注・引用[編集]

  1. ^ おそらく、高校での単位数の問題もあり、4単位科目の『世界史』などと2単位科目の『政治経済』『倫理』とのバランスをとるため、大学入学共通テストでは、このようになっていると思われます。
  2. ^ 2024年度より「公共」。「現代社会」も移行措置として2年続きます。
  3. ^ 理系学部の場合「地歴・公民」で1科目なので、「倫理・政治経済」を履修していなければ「地理B」「日本史B」「世界史B」からの選択となります。