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学習方法/高校英語/英検など

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

英語の資格試験

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英語は模試より英検

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2020年代、総合型選抜の足切りのための要件で、「英検2級以上」(または同等のTOEICスコア)などの資格が要求されることがあります。

このため、総合型選抜を狙っている人は、模試の英語の偏差値をやたらとあげる前に、まず英検を取得する必要があります。

20世紀とは、受験の常識が違います。英語の科目に関する限り、「模試より英検」です。

進研模試で偏差値60とかとっても何の資格にもなりませんが、河合塾模試で偏差値53とかとっても何の資格にもなりませんが、英検の合格だと資格になります。


英検3級は、大学入試には使えません。ただし、英検3級をまだ取ってない人は、高校の低学年のうちに英検3級を取ってしまうのも良いかと思います。なぜなら、英検の肩書は、日本国内でなら一生使えますので。それに、英検で自分の英語力を測定する事ができます。

英検準2級も、あまり大学入試には効果が無いし、難しめの大学は(準2級ではなく)英検2級や英検準1級を総合型選抜の足切りにしていますが、しかし、時間の余裕があるうちに準2級を取るのも手です。

たとえ難関大そのものの総合型選抜には準2級が使えなくても、難関大以外の総合型選抜などには使える場合があるので、結果的に労力を難関の志望校に集中させるのに、難関大で直接は要求されない準2級も役立ちます。

受験の外部試験化の傾向

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現在、大学教員の、労働環境の改善などの理由もあって、入試を英検やTOEICなどの外部試験に置き換える事が進んでいます。なるべく採点の手間を減らしたいという事情があります。

大学の教授や準教授などは、研究舎でもあるので、いちいち高校のカリキュラムの変化を追いかけたくはなく、あまり大学入試に教授らは、採点などに時間を掛けたくないのです。なので、もし大学受験生が英検をしてくれると、教授の研究時間も確保できるので、お互いにハッピーなのです。

大学受験で使えるのは、一般的に英検2級からですが、もし3級や準2級すら取得してない人は、なるべく早く、3級や準2級を取得すると、気が利いています。大学側からすると、英検をもってないアナタが、果たして英検3級の実力なのか、それとも英検5級も合格できないのか、なんの判別もつかないのです。

たとえ高校受験で偏差値50の高校に合格しても、地域の実情がバラバラなので、本当に英検3級の実力があるのか、大学側からは不明なのです。

なので、英検を取得してくれると、最低限の英語力が保証されるので、とても、評価しやすくなるのです。

こういう大学など評価者側の都合があるので、3級でも良いので、英検を取得しておくと、とても都合が良いのです。


なお、(英語ではなく国語の)漢字検定は、国語全体の学力でなく漢字しか測定できないので、導入している大学は少なめです。

(英語ではなく数学の)数学検定は、大学側が、なにか不満があるのか、導入している大学は少なめです。(制度的には導入している場合もあるが、英検と比べて数研の同じ級の評価が低いのが実態。)

たとえ今の時点では、大学受験で英検準2級が使えなくても、たとえば将来的に大学を再受験したり、あるいは就職後に会社を辞めて、ふたたび大学に戻って学ぶ場合などに、英検準2級が使えるように社会の情勢が変化している可能性もあります。

英検2級が「高校卒業レベル」というのはデマである

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デマで「英検2級が高校卒業程度」と言うのは不正確であり(公式がそう宣言しているかもしれませんが、デマです)、正しくは、「英検2級の単語のうちの一部を、平均的な大学入試問題が採用している」です。

今度、2025年に「英検準2級プラス」という、従来の英検準2級と英検2級とのあいだに新設の級ができます。

その公式サンプル問題を見てみると、単語で yelling という[1]、普通の単語集に乗ってない単語があります。桐原4500/5500にも無いし、東京書籍4500にもない単語です。旺文社1900にしか yelling はありません。なお、yell は「叫ぶ」という意味の動詞であり、スポーツの応援の「エール」はこの語です。

ほか、narrow 「狭い」という、桐原4500や東京書籍4500には例文の書いてない、単語紹介しかない単語が、英検準2プラスで出題されています。

英検2級ではなく、そのひとつ前の英検準2級プラスでもう、この難しさです。

このように、英検は、準2級あたりから、だんだん大学受験単語集に無い独自の単語が増えてきます。

英検は、べつに大学受験生のためだけの試験ではないので、大学受験では出ないような単語も英検には含まれています。義務教育である中学校レベルの英検5級や4級では、そのような英検独自の語彙は無いですが、しかし英検2級の前後からは増えてきます。

このため、英検対策は学習すべき単語は増え、人によっては受験単語集よりも英検対策のほうが難しくなります。サンプル問題を見た感じ、英検準2級プラスで、もう高校卒業レベルです。少なくとも、2025年以降の英検準2級プラスはもう、2001年くらいのマーチ理系や四工大には合格できるレベルの英語力です(最近のマーチ理系や四工大がどうかは知りません)。

正直、大学受験で英検を推薦要件や総合型選抜などに採用している大学は、こういった事をどのくらい把握できているか不安ではあります。

英検2級の単語集よりも前に高校単語集・熟語集

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基本的に、「高校卒業程度」とされる英検2級の単語集は、すでに高校英語の3000語の単語集、および熟語集、および高校英語の文法書を読んだ人を前提としています。

いちいち英検用の熟語集とか文法書を買おうとすると、値段が高いか、そもそも教材が見つからないでしょう。

英検の対策の教材を出している旺文社やアルクなどは、立場上、他社の教材を宣伝できません。しかし、せめて高校英語の必修レベル(「新共通テスト」対策レベル)の熟語集や文法書も読んだうえで、英検対策のスタートラインです。

なお、2級どころか、パス単準2級ですら、おそらくですが、けっしてパス単だけを読むのを想定しているのではなく、基本的には、高校生が学校で配布されるだろう桐原書店や東京書籍の単語集などを読んだうえで、その上で英検用にチューニングするための教材としてのパス単です。

文法問題・語法問題も、けっして難関大のやたらと難しい問題を解く必要は無いですが(あくまで英検対策としての話です)、せめて高校受験レベルの平均的なレベルの文法問題や語法問題は、解けるようになるべきです。できれば、やや難しめの私立高校などの入試英語も解けるようにしておくと良いでしょう。

社会人などで、たとえ文法の理解がボロボロで公立高校受験の英語の文法問題すら出来なくても、十年ちかい毎日の英語学習の持続とパス単とNHKの英語番組などの勉強で、単語力とリスニング力などだけで英検の2級や準1級などを取ってしまう人もいますが、しかしそれは、オススメできないです。なぜなら、まず年月が掛かり過ぎて、高校生には実行が不可能です(高校は3年間しかありません)。また、文法が分からないので辞書を引きまくりますので、それも時間のロスです。またどのみち、大学などの英語学科に進学すると、英語学科である以上、文法も課題に出されますし、最低でも高校必修レベルの文法力は必要です。

英検1級について

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英検1級の単語は、使用頻度の割と高いものから低いものまで、色々とあります。英検1級を目指すよりも、英検準1級までを再受験してスコアを挙げていくなど別の手法を検討したほうが良いかもしれません。

ネットの大人向けの英検対策塾の記事は、宣伝も多いので、割と平易な単語ばかり紹介したりしますが、しかし実際にはそうでない単語も多く英検1級本にあります。

英検1級の「大学卒業程度」というのは、英米の大学でしか習わないような使用頻度のひくい語もある、という意味です。けっして、「日本の大学生が習得して当然」という意味ではないのです。そういうのは準1級まで、です。


なお、英検1級の単語集は、英検の単語全部をカバーできていません。たとえば、英検1級に「三日月」 crescent が出たことがあるらしいのですが、しかしパス単の1級と準1級を見ても、書いてないです。もしかしたら、2級までの単語集にあるのかもしれませんが、しかしそれを買って調べるのは手間です。大学受験用の単語集でも、基本的には三日月はカバーしていません。

単語数が多すぎて、市販の書籍ではカバーしきれないのです。もしカバーすると、本が分厚くなり、値段も高くなるので、おそらく売れないのでしょう。

一般入試対策ではTOEIC対策などには手を出さないほうが安全

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英語能力を測る国際的な試験のTOEFLやTOEICなどは、高校生の学習用には作られていません。そもそも日本人に内容を合わせていません。

それにTOEICとTOEFLのどちらとも、試験の目的が、日本の高校英語の教育目的とは違います。

TOEICとTOEFLのどちらも目的は、英米への留学や海外生活のためなどの語学が目的です。日本の大学入試や、日本の大学での英語論文読解などの目的には、TOEIC・TOEFLなどは合わせていません。TOEFLとかTOEICとかで、ハイスコアを目指すのは、大学受験対策とは目的がズレています。

なお、そもそもTOEICをつくったのは日本の通産省(当時)であり、通産省がアメリカの非営利テスト開発機関、ETS(Educational Testing Service)に依頼をして、日本がつくったテストです。

よって、TOEICの出題内容は、アメリカ国内での実用とは若干、ズレていますので、てっきり実用英語だとは勘違いしないようにしましょう。また、てっきりTOEICは(OECDあたりの)「国際機関のつくった試験である」などと勘違いしないようにしましょう。

さらに、TOEICの参考書などにある「高校生レベルは◯◯点」などの数値も、じゃっかん、疑わしいので、あまり鵜呑みにしないようにしましょう。

  • 平均点
なお、高校生のTOEICの平均点は、年度にもよりますが、2018年の時点では、高校生の平均点はおおよそ350~400点くらいです。なおTOEICの満点は990点です。

ネット上では「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説が出回っており、英検2級が高校英語レベルを出題範囲として想定していることから、あたかも「高校を卒業したら TOEIC 600 点で当然」みたいな言説が出回っていますが、しかし2018年の統計などをもとに考えれば、この言説はデタラメです。

また、「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説の根拠も、よくよく調べてみると、2001年くらいに英検2級保持者にTOEICの点数をアンケートしたところ TOEIC 400点~800点あたりに得点がバラついたという統計を、とりあえず平均値をとって600点としただけにすぎないのが実態です。

高校の数学で統計値の「分散」という概念を習います。分散を知らないと、統計詐欺にダマされてしまいます。

  • TOEICは事実上は文系向けの試験である
世の中には、文系の大人が多く、その影響で、学生でも理系科目をサボってまで英語の勉強をして、英語の成績を上げる人がいます。TOEICの平均点も、そういう文系の人間を基準に算出されてしまいます。
一般入試や国公立受験、理系の学部などを目指す人は、けっして、そういう文系の大人や、文系しかできない学生を多く含むTOEIC平均点を、参考にしてはいけません。
  • 4択問題と難易度
TOEICの各問題は基本的に4択問題ですので、デタラメに選択しても、990点満点(約1000点)中のうちの4分の1である約250点を取れます。

さらに、欧米で英米への留学希望者むけのテストなどとして知られている英語検定試験はTOEFLです。

TOEICは、日本と韓国で流行っている英語検定です。

また、英検は日本人用の試験ですが、しかし高校生用には試験が作られていません。中学生・高校生なども意識して英検は作られているでしょうが、しかし、中高生だけを意識してはいません。

英検を入試対策で使うなら、志望校合格などが保証されないかぎりは、なるべく英検1級までに止めるのが無難です。

  • 推薦入試などの評価事項になることも

ただし、推薦入試ではTOEICやTOEFL、英検などの成績が考慮される場合もあります。

  • 難関大学への対策用としての場合

大学によっては、入試で高校レベルを超えた、かなり難しい英語を出す場合もあります。そういう大学に対応する場合、市販の受験参考書では太刀打ちできないかもしれません。このような場合、しかたなくTOEFL対策や英検1級対策などの参考書が必要な場合もあるかもしれません。

  • 就職活動でのTOEIC評価について

ただし、大学生の就職活動では、企業にTOEICなどの点数を聞かれることもあります。就職活動時のエントリーシートに、最初からTOEICなど成績の記入欄がある場合もあります。また、外国大学への留学の際に、TOEICなどで一定以上の成績を修めることが必須の要件とされる場合も多いです。たとえ英語圏以外の国の大学への留学でも、TOEICやTOEFLなどの成績が必須要件として必要な場合があります。

なので高校生でも、TOEIC受験の機会があれば、受験をするのも良いでしょう。 ただし、TOEICの成績が良いからと言って、けっして、それだけで企業が「即・採用」をするなんて事はありません。


高校生の段階では、TOEICなどの語学検定については、もし受験できるなら、視野を広げるような目的で検定を受けるのが良いでしょう。

  1. ^ 公益財団法人日本英語検定協会 『Grade Pre-2 Plus_サンプル.indd - 2025rw_sample1.pdf』 2024年04月16日に確認.