恒星の分類
Main Page > 自然科学 > 天文学 > 恒星 > 恒星の分類 恒星の分類では恒星を分類する方法について紹介する。
基礎知識の導入[編集]
まず以下の説明において必要な知識を導入する。

太陽光をプリズムに通すと光は分散し虹色の光が見られる。このとき見られる虹色の線をスペクトルという。

太陽光のスペクトルを詳しく見ると暗い筋が多数見える。このような線を発見者の名にちなんでフラウンホーファー線または吸収線、暗線という。例えば右図でFの位置は水素のフラウンホーファー線である。
スペクトル分類[編集]
恒星のフラウンホーファー線の現れ方で分類できる。温度が高くなると水素のフラウンホーファー線が見られ、低くなると重元素のフラウンホーファー線が見られやすくなる。スペクトル分類では高温のものからO、B、A、F、G、K、Mの順である。高温のものほど青く、低温のものほど赤いためOは青くMは赤い。
さらに分類するときは温度の大きさで区別し、アルファベットの後ろに0~9で付ける。0ほど温度が大きく、9ほど温度が小さい。
また、温度以外でも光度で分類することもある。例えばいちばん明るい極超巨星という星では0、いちばん暗い白色矮星という星ではVIIに分類される。
ふつうはこれらをまとめて表すMK分類という分類法が使われており、K型主系列星はK5Vなど表したりする[1]。
HR図[編集]

右図は恒星の分類を表した図である。このような図をヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図)という。縦軸は絶対等級、横軸はスペクトルを示しているため、上ほど明るく、右ほど温度が低い。
右図を見ると0 - VIIまでの範囲がある。以下にその名称を示し、有名な例を挙げた。
- 0 - 極超巨星 - ピストル星
- I - 超巨星 - リゲル
- II - 輝巨星 - カノープス
- III - 巨星 - ミラ
- IV - 準巨星
- V - 主系列星 - 太陽
- VI - 準矮星 - カプタイン星
- VII - 白色矮星 - シリウスの伴星
また、光度による名称の分類の他にも、他とは離れた位置にあるものには名前が付いている。例えばスペクトルはO型が最も左にあると言ったが、それよりも左に位置するW型のWR星(ウォルフ・ライエ星)がある。WR星は輝線が顕著に見られ、更に酸素や窒素、炭素の輝線が見られると、WO型、WN型、WC型のように細分化される。
また、逆に最も右にあるMよりも右にはL型やT型がある。この範囲には褐色矮星という十分な大きさがなく、恒星になれなかった天体やまだ恒星になる前の初期段階のYSOなどがある。
連星と多重星[編集]
2つの恒星が重心を共有してその重心を回っている恒星を連星という。連星の明るい方を主星、暗い方を伴星という。
連星の中でも実際に2つが見える実視連星、暗い恒星により光度が変わる食連星、視線速度の変化で発見される分光連星がある。
連星と似て非なるものに二重星があり、これは方向が同じために重なって見えるものである。二重星以外にも3つ以上が重なった多重星もある。
食連星のスペクトル線はドップラー効果で波長にずれがあるため、公転周期を求めることができる。ここでケプラーの第三法則を使うと
(a:平均距離、T:公転周期、G:万有引力定数、M:主星の質量、m:伴星の質量)になることが分かっている。主星と伴星の共通重心の距離が分かればmをMで表せるのでMが求められる[2]。
連星は質量が分かるが、質量と光度の関係を調べると光度は質量の3から4乗に比例する。これを質量光度関係という。これは質量が増えるというのはすなわち核融合反応が活発になるということである。