恒星
恒星は太陽のように自ら光や熱を放出する天体のことである。また、太陽以外では地球からはほとんど位置を変えない。夜空に見える星々はほとんどが恒星である。
星座
[編集]星座はいくつかの恒星を結んだもので、それに似た神話上の動物や人物にちなんで名付けられている。北半球、南半球でしか見えないものもあるが、それらを含めて総計88個の星座がある。
星座の中では明るい順にα星、β星、γ星...と呼ばれる。もちろん例外があり、見かけ上の配列で順を決めることもある。このような名称をバイエル名という。例えばデネブははくちょう座でいちばん明るいのではくちょう座α星ともいう。
また、フラムスティード名という名称が用いられることも多く、バイエル名がない時に使われる。フラムスティード名は観測において西から1番、2番...と付けられている。例えばベテルギウスはオリオン座α星とも言われるが、オリオン座58番星とも言われる。
フラムスティード名でも名称が付けられなかった星はその他のカタログ番号呼ばれる。最も多いのはヘンリー・ドレイパーカタログ(HD星表)で、20万もの恒星を収録しているため、よく用いられる。また、他にも輝星星表(HR)やボン掃天星表(BD)などが使われている。
恒星の明るさと距離
[編集]恒星は太陽系外に多数あるためいちばん近いものでも4.3光年離れている。そのため明るさは地球から見た時の視等級と10パーセク[1]離れたときの明るさを基準にした絶対等級がある。
ここで絶対等級M、視等級mの差は距離d(単位はパーセク)で決まることが分かっており、
M-m=5-5log10dと表せることが分かっている[2]。
右図では太陽を黄色い点、地球を青い点とし、距離を測りたい恒星をピンクの点としている。太陽、恒星、地球のなす角をp、太陽から恒星の距離をrとする。p=1''[3]とすると太陽から地球までの距離はrに比べれば無視することが出来る。つまり、pとrは反比例すると考えられる。
pr = d(dは定数)
しかしこのままではdが不明の値であるため使いにくい。p=1''のとき、r=3.26光年であることが分かっているが計算がしにくいため、rの単位をパーセクにして計算する。すると、
pr = 1となる(p[秒]、r[パーセク])
恒星の温度
[編集]物体は表面温度が高い場合、熱の放射量が多くなったり、色が変わったりする。天体でも物体の温度と放射される色や光の波長は変わる。これをウィーンの変位則という。光の波長λ[m]、絶対温度T[K]とすると
λT = 2.9×10-3
が成り立つ。温度が高いほど青く低いほど赤いのは波長が短いほど紫に近づき、長いほど赤に近づくためである。
表面温度T[K]の物体が毎秒その天体1m2から放射するエネルギーは
E = σT4
で表されることが分かっている。なお、σはシュテファン・ボルツマン定数といい、5.67×10-8W/(m2・K4)である。この法則をシュテファン・ボルツマンの法則という。
恒星全体の出す量は半径をRとすると4πR2である[4]から、恒星が宇宙に放射するエネルギーLは
L = 4πR2・E
で表せる。
恒星の大きさ
[編集]恒星には太陽と同じくらいのものや太陽の100倍もの大きさのものもある。これは恒星の種類によって異なっている。詳しくは恒星の分類で述べる。
脚注
[編集]- ^ 1パーセク=3.26光年
- ^ logとは対数のことである。詳しくは解析学基礎/指数関数と対数関数を参照。
- ^ ''は角度の単位で秒と読む。1秒=3600分の1度である。
- ^ 小学校で球の表面積の公式を習った読者なら知っているだろうが、半径Rの球の表面積は4πR2である。