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日本史/現代/戦後/令和時代

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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令和時代(れいわじだい)とは、2019年5月1日から現在に至るまでの時代を指す。

令和時代の始まり

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令和時代は2019年5月1日、譲位に伴い今上天皇に皇位が継承されたことで始まった。昭和から平成への改元と異なり、天皇の崩御に伴う改元ではなかったため、自粛ムードなどは発生せず祝賀ムード一色の改元となった。元号は2019年4月1日に「令和」と決定し、初の国書由来の元号となった。即位の日は臨時の祝日となったため、同年のゴールデンウィークは10連休となり、史上最長であった。ゴールデンウィーク中の5月4日には皇居で御即位一般参賀が開催され、多くの人々が即位を祝った。5月下旬にアメリカ合衆国のトランプ大統領が来日、大相撲を観戦し「アメリカ合衆国大統領杯」を授与した。6月には大阪でG20サミットが開催された。日本での開催は初めてであった。7月には京都アニメーションで放火事件が発生し、36人が死亡して戦後最悪の殺人事件となった。9月には房総半島台風、10月には東日本台風が日本に上陸し、42年ぶりの命名台風となった。即位関係の行事は10月に即位礼正殿の儀、11月に祝賀御列の儀などが行われた。

COVID-19の流行

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2020年1月16日、厚生労働省は前年末に中国・武漢市で発生が確認されていた新型コロナウイルスによる肺炎(2月にWHOによりCOVID-19と命名)の患者が国内で初めて確認されたと発表された。1月30日にはCOVID-19は感染症法に基づく指定感染症に指定され、感染者に対して強制的に隔離を行うことができるようになった。同時期には、政府がチャーター機で封鎖された武漢から日本人を帰国させた。2月に入ると、横浜港に停泊していた豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が確認され、そこからの二次感染等も相まって次第に中国への入国歴が無い者の感染が増加した。2月中旬には宮内庁が天皇誕生日の2月23日に予定されていた一般参賀の中止を決定し、この頃から大規模なイベントは開催中止が相次ぐようになった。2月27日、政府は全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校に対し、3月2日から春休み終了までの休校を突如要請した。教育現場には混乱も見られたが、ほとんどの学校がこれに従った。また、休校となった児童や生徒が殺到することを懸念したレジャー施設でも休業の動きが相次いだ。3月に入ると、大相撲春場所が無観客での開催となるなどスポーツ分野にも大きな影響が出始めた。このような状態を踏まえ、2020年3月13日には新型インフルエンザ対策として定められていた特措法の適用対象にCOVID-19を加える改正法が成立し、緊急事態宣言を発令できるようになった。同年7月からの開催が計画されていた東京オリンピック・パラリンピックに関して、政府は当初予定通りの開催を計画していたが、3月後半には諸外国でロックダウンが次々に始まり、選手の練習も行えない状態になったことを考慮し、聖火リレーが始まる前々日の3月24日に開催の1年延期が決定した。

3月下旬からは欧米から帰国した者などから感染が拡大したことも加わり新規の陽性者数が急増した。全ての国からの新規の入国が原則として禁止され、南関東の1都3県では3月末の週末に不要不急の外出を控えるよう呼びかけられた。しかし、政府はこの段階では緊急事態宣言を出す状態には無いと認識していた。4月1日、政府はマスク不足への対策として繰り返し利用できる布マスクを1世帯あたりに2枚配布することを発表した。この布マスクは「アベノミクス」をもじってアベノマスクとも呼ばれたが、配布が概ね終了した6月にはマスク不足は既に解消していた。また、所得が減少した世帯に対し30万円を支給するなどの支援策も併せて発表された。支援策は後に1人10万円の支給に改められた。4月7日、東京都と6県に対し5月6日までを期間とする緊急事態宣言が発表された。感染の原因となる他人との接触を8割減らすことが求められ、不要不急の外出の自粛が要請された。学校もこの期間は引き続き休校とされ、商業施設やレジャー施設などの休業が要請された。その後、4月16日には緊急事態宣言の範囲が全国に拡大され、うち13都道府県が特定警戒都道府県に指定された。4月下旬には新規の感染者数は減少に転じた一方で、ゴールデンウィーク中の感染再拡大も懸念され、ゴールデンウィーク中も自宅で過ごすことが呼び掛けられた。この時期、休校に伴う授業の遅れが懸念され、その対策として学校の年度始まりを9月にする9月入学も検討されたが、影響が大きいとして見送られた。5月4日には緊急事態宣言の5月31日までの延長が決まった。同日、政府の専門家会議は緊急事態宣言解除後も長くCOVID-19と付き合っていく(ウィズ・コロナ)必要があるとして症状が無くてもマスクを着用すること(ユニバーサル・マスキング)などを盛り込んだ新しい生活様式を発表した。5月14日には39県で、5月21日には京都府・大阪府・兵庫県で、5月25日には残る4都道県で緊急事態宣言は解除された。6月1日までにほとんどの学校で休校は解除された。感染者数は減少したものの0になったわけではなく慎重な緩和が必要とされ、都道府県を跨ぐ移動の自粛要請が解除されるのは6月19日まで待つこととなった。しかし、イベントなどの厳しい人数制限は続いた。7月22日には緊急事態宣言に伴う移動の自粛で大きな打撃を受けた観光業の振興策としてGo Toトラベルキャンペーンが始まったが、折しも感染拡大の第2波が拡大しており、東京都を対象から除外するなど感染症対策と経済対策との間で難しい舵取りを迫られた。8月には第2波はピークを迎え、感染者数は第1波を上回ったが、第1波と比べ若い世代の感染が多かったために重症者は少ない水準に留まった。

8月28日、当時の安倍晋三首相が退陣を表明、9月16日に菅義偉が新たな首相として就任した。菅はCOVID-19のワクチンの確保に尽力し、国民全員に2回の接種を行えるだけの分量のワクチンを提供する契約を製薬会社と結んだ。2020年9月には感染は小康状態となり、ビジネス上の往来に限って渡航制限の緩和が始まった。また、10月1日には東京発着の旅行もGo Toトラベルキャンペーンの対象となるなど、経済再開に向けた動きが加速した。しかし、11月に入ると再び感染が拡大し、第3波と呼ばれるようになった。Go Toトラベルキャンペーンが感染拡大の原因になっているとして批判されるようになり、12月28日を以て停止された。12月31日には東京都で新規の陽性者が初めて1000人を超え、年が明けた2021年1月2日には南関東1都3県が緊急事態宣言の再発令を要請した。これを受けて、1月7日に2月7日までの期間で緊急事態宣言が再発令された。これに伴いビジネス上の往来における渡航制限も再び強化された。ただし、1年近くに及ぶ流行により経済が疲弊していることを考慮し、2020年の場合ほど厳しい休業要請は行われず、学校に対しても一律の休校は求められなかった。1月13日には新たに7府県に緊急事態宣言が発令された。これと前後して独自の緊急事態宣言を発令する都道府県も相次いだ。また、医療機関の逼迫に伴い入院できずに自宅などで死亡する患者も多発した。同時期にイギリスに由来する変異株(のちにアルファ株と呼ばれることになる)が日本国内でも確認され、この変異株は感染力が強いこともあり更なる感染拡大が懸念された。2月1日に緊急事態宣言は栃木県を除き3月7日までの延長が決定した。2月13日には、隔離の拒否などに対して刑事罰を設けると共に緊急事態宣言の前段階として蔓延防止等重点措置を新設することが盛り込まれた改正特措法が施行された。これに伴い、COVID-19の法的な扱いは新型インフルエンザ等感染症に分類され、より強力な対応が可能となった。

2月17日、医療従事者を対象とするCOVID-19のワクチン接種が開始された。2月28日を以て関東以外の緊急事態宣言は解除されたが、3月5日には関東の緊急事態宣言が21日まで延長された。予定通り3月21日には関東の緊急事態宣言が解除されたが、同じ時期に関西などではアルファ株による再度の感染拡大(第4波)が始まっていた。4月5日には5月5日を期限として大阪府、兵庫県、宮城県に対する蔓延防止等重点措置が適用された。3月25日には東京オリンピックの聖火リレーが始まっていたが、一部地域では聖火リレーが中止になるなどの混乱が発生した。4月12日には高齢者に対するワクチンの接種も始まっていたが関東地方での感染拡大もあり、4月21日には東京都・大阪府・京都府・兵庫県に対する緊急事態宣言が5月11日までの日程で発令された。4月末にはアルファ株の割合が半数を超える中、5月7日には同月31日までの緊急事態宣言の延長が決定し、福岡県に新たに緊急事態宣言が発令された。同日、政府は1日100万回のワクチン接種を目標とする考えを表明し、歯科医師もワクチンを接種することが認められた。また、東京と大阪には自衛隊による大規模接種会場が設置された。しかし感染拡大は止まらず、5月16日には北海道・岡山県・広島県、5月23日には沖縄県に緊急事態宣言が追加され、インド由来で毒性のより強いデルタ株も国内で確認されるなど、状態は混迷を極めた。5月28日には緊急事態宣言の6月20日までの延長が決定した。6月に入ると職域接種などにより現役世代でもワクチン接種が加速し、目標とされていた1日100万回の接種が達成された。6月20日には沖縄県を除いて緊急事態宣言が解除されたが、オリンピックでの感染症対策が喫緊の課題となった。7月9日にはオリンピックが無観客で開催されることが決定(関東以外で開催される一部の試合を除く)し、12日には東京都に8月12日までの日程で緊急事態宣言が発令された。

かくして、「第5波」の最中の7月23日、延期されていた東京オリンピックが開幕した。東京オリンピックでは選手村と会場の行き来を除いて関係者の外出を厳しく制限するバブル方式が採用されるなど感染症対策が徹底されたが、それでも関係者の感染者の発生を完全に防ぐことはできなかった。8月2日には埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府にも緊急事態宣言が追加された。感染者の急増のため、感染者の隔離先として確保されていた宿泊施設が逼迫し重症化リスクの高い者を除き自宅療養が原則とされた。また、首都圏を中心に救急車による搬送が困難となる事態も相次いだ。東京オリンピック閉幕後の8月20日には北関東など7都県に新たに緊急事態宣言が発令された。さらにパラリンピック開催中の8月27日には8道県に緊急事態宣言が追加された。結局、9月9日には19都道府県において9月末までの緊急事態宣言延長が決定した。9月にはミュー株やイータ株など新たな変異株も国内で確認され、感染拡大への懸念は強まった。ワクチンを接種した者が感染するブレイクスルー感染も全国各地で発生していたが、9月30日には緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置が全て解除された。緊急事態宣言は結果的に、これを最後に発令されることは無かった。また同日、日本国内でのワクチンの接種率が70%に達した。10月2日、首相が菅から岸田文雄へと交代した。10月に入ると感染状況は落ち着き、11月1日にはスポーツイベントで収容人数の半分までの入場が認められ、飲食店の営業時間の制限も撤廃されるなど、更なる感染症対策の緩和が進められた。ワクチン接種完了者を対象とした入国制限の緩和も進められ、10月31日に行われた総選挙では自民党が勝利した。11月には新規感染者が最初の緊急事態宣言以降最も少ない水準となり、最もゼロコロナに近い状態となった。しかし、11月下旬になると南アフリカで感染力が極めて強い上にワクチンによる免疫を回避するオミクロン株が急激に拡大し、これを受けて政府は11月30日から外国人の入国を一斉に禁止した。ところがその当日、オミクロン株の感染者が国内で初めて確認され、翌日から日本人を含め日本に入国する国際線の予約を停止するなど更なる対策の強化が図られることとなった(12月4日に撤回)。12月1日から医療従事者を対象とする3回目のワクチン接種(ブースター接種)が始まった。2021年中は急激な感染の拡大が起きることは無かったが、各地でオミクロン株への備えが進められた。

2022年に入ると感染者のほとんどはオミクロン株による感染となり、第6波が発生した。1月9日に沖縄県・山口県・広島県で蔓延防止等重点措置が始まった。この措置には1月21日に13都県が追加された。1月22日には全国の新規感染者が5万人を超え、1月27日には蔓延防止等重点措置に更に18道府県が追加された。2月5日には和歌山県も同措置の対象となった。同月、5歳から11歳のワクチン接種が始まった。措置は度々延長されたが、3月1日には外国人の新規入国が再開された。3月21日には全ての都道府県で蔓延防止等重点措置が解除された。結果的にはこれが最後の蔓延防止等重点措置となった。同時期には欧米諸国で次々に規制が撤廃され、日本でも4月10日には1日の入国者の上限を1万人に引き上げるなど制限の緩和が進んだ。4月24日には人口の半数がブースター接種を終えた。同年のゴールデンウィークは3年ぶりに行動制限を伴わないものとなった。5月25日には4回目のワクチン接種が開始され、6月10日からツアーでの外国人観光客の受け入れが再開された。屋外でのマスクの着用は原則として不要との考えが示される一方で感染症は再拡大し(第7波)、7月末には1日の全国の新規感染者数が20万人を超え世界一となったが、ワクチン接種により重症者は減っていたため緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置は発令されなかった。8月頃から医療界を中心に新型インフルエンザ等感染症としての扱いを見直すべきとの意見が出始め、9月8日には感染者の療養期間が7日間に短縮され、9月26日には重症化リスクが低い者の全数把握が簡略化された。10月11日には外国人の入国者数が無制限になり、全国旅行支援も開始されるなど経済的な復興の動きも加速した。11月に入っても行動制限は行われない一方で、第8波の感染拡大が始まりインフルエンザとの同時流行を懸念しての対策は進められた。12月に入るとCOVID-19を感染症法上の五類感染症に位置付ける動きが盛んになった。その傍ら、中国ではゼロコロナ政策の緩和により感染者数が急増し、12月30日から中国の入国者を対象に検査を行うなどの水際対策も取られた。2023年1月8日には中国からの国際線を受け入れる空港を制限するなど更に措置が強化された。

COVID-19による死者数が史上最多を更新する中ではあったが、政府は春からの五類感染症移行に向けて検討を続け、1月27日には5月8日の移行を決定した。マスクの着用に関しては2月10日、3月13日から個人の判断に委ねる方針が固まり、3月1日には中国からの入国者に対する水際対策が緩和された。予定通り、3月13日にはマスクの着用が個人の判断に委ねられたが、感染症対策以外のメリットをマスク着用に見出す国民が増えていたこと、花粉症のシーズンの只中であったことも重なりすぐにマスクを着けない人が増えた訳では無かった。3月26日には自衛隊による大規模接種会場が閉鎖され、4月1日からは学校でのマスク着用も原則不要とされた。4月29日には水際対策が撤廃となり、5月8日、予定通りCOVID-19は五類感染症に移行した。これにより感染者の隔離義務は無くなり、季節性インフルエンザと同様の対応となった。全数把握は定点把握に切り替えられ、感染者数は週に1回の発表となった。一方で、無料でのワクチン接種や医療費の補助に関しては2024年3月31日まで続けられた。

アフターコロナ

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2023年5月19日から20日にかけて広島でG7サミットが行われた。COVID-19の教訓を受け、2023年9月1日に内閣感染症危機管理統括庁が発足した。12月には自民党で政治資金パーティーの収支報告書未記載問題(いわゆる裏金問題)が発覚し、2024年元日に発生した能登半島地震への対応の遅れもあり自民党の支持率は大きく低下した。このため岸田首相は9月末の自民党総裁任期満了を以て首相を退任し、10月1日に石破茂が首相となった。