民事訴訟法/多数当事者訴訟

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共同訴訟[編集]

多数当事者訴訟[編集]

訴訟は必ずしも原告1人と被告1人との一対一である必要は無い。

共同訴訟」という制度では、複数の原告または複数の被告が、ひとつの訴訟に参加する事もできる。

原告の意思によって訴えの始めから併合される場合を訴えの主観的併合という[1]。 共同訴訟の起きる要因は主に、

(1)訴えの主観的併合にもとづくものか、
(2)継続中の訴訟に第三者が途中から参加して原告または被告として加わる共同訴訟参加(52条)にもとづくものか、
(3)裁判所が弁論を併合したもの、

である[2]

なお、これに対して「訴えの客観的併合」とは共同訴訟とは異なり、「訴えの客観的併合」とは複数の請求がひとつの訴えから出てくる場合であるので、主に請求の併合に関するものである(136条)[3]

なお、共同訴訟において、判決の内容の統一を図る必要がある場合には、そのことを「合一確定の必要がある」とも言う[4]。 また、合一確定の必要があるかないかによって共同訴訟は「通常的共同訴訟」と「必要的共同訴訟」に分類される。

以下の通常共同訴訟などは、共同訴訟における主観的併合の類型でもある。

通常共同訴訟[編集]

通常共同訴訟は、合一確定の必要とされていない種類の共同訴訟である。

通常共同訴訟によって、証拠を共通とする事ができるので、裁判を効率化できる(共同訴訟人間の証拠共通)。 より詳細には、通常共同訴訟人では、共同訴訟人の1人がした訴訟行為は、その行為が同陣営の他の共同訴訟人の利益になる場合に限り、同陣営の他の共同訴訟人にも効力が生じる(40条1項)[5]

また、共同訴訟は併合して審理されるので、たとえば審理は同一期日になる。

しかし、共同訴訟人の一人に対して生じた事項は、他の共同訴訟人には影響を及ぼさず(39条)、これを「共同訴訟人独立の原則」という。具体的には、この独立の原則により、共同訴訟人の各人はそれぞれ独立に、請求の放棄、和解、訴えの取り下げをできる。


通常共同訴訟の要件

以下3つの要件のいずれかを満たせば、通常共同訴訟が可能である。 (1) 訴訟の目的である権利または義務が数人について共通であるとき(38条前段)、

(1)はたとえば同じ貸付の債務者および保証人を共同被告とする例が該当する[6][7]


(2) 訴訟の目的である権利または義務が同一の事実上および法律上の原因にもとづくとき(38条前段)、

(2)はたとえば同一の交通事故の複数の被害者が、加害者に対して損害賠償をする例が該当する[8][9][10]


(3) 訴訟の目的である権利または義務が同種であって、事実上および法律上の同種の原因に基づくとき(38条後段)、

(3)はたとえばアパートの大家がそれぞれの賃借人に対して同時に賃料支払請求をする例が該当する[11][12]

必要的共同訴訟[編集]

必要的共同訴訟は法律上、訴訟の目的の合一確定が要請されている(民訴40 I)。では合一確定とは何かが問題になるが、通説では、判決を共同訴訟人の個々人に別々に出す事が許されずに判決をひとつにまとめる事だと解されている[13][14]


固有必要的共同訴訟

固有必要的共同訴訟とは、全員が共同で訴える、または共同で訴えられなければ不適法になるという訴訟であり、次のような類型がある。

(1)他人間の権利関係の変動を生じさせる訴訟

たとえば、第三者の訴える夫婦間の婚姻の無効・取消は、その夫婦を共同で訴えなければ意味を持たない(人訴12条2項)[15][16]


(2)数人共同の管理処分権を行使すべき訴訟

たとえば、数人の受託者のある信託財産に関する訴訟(信託79条)[17][18]、破産手続きにおいて破産管財人が複数選任された場合における破産財団に関する訴訟(破76条)[19][20]


(3)法律上、数人が共同で管理・共有すべき財産に関する訴訟


もし団体の構成員たちが固有必要的共同訴訟をしようとする場合に、構成員のひとりでも反対すると、条文などをそのまま解釈すれば訴訟できなくなる。だが実際は、団体構成員の中にいる反対者を被告に加えるという方法により、とりあえず反対者も法廷での訴訟に関与させるという形式により、要件から反対者が無しという条件を除外しているのが判例である(最判平成20・7・17民集62巻7号1994頁<百選97>)。


類似必要的共同訴訟

類似必要的共同訴訟とは、実体法上は共同で訴える事は要請されていないが、共同訴訟をした以上、合一確定を要請されるべきという訴訟である。

訴訟参加[編集]

補助参加人[編集]

たとえば債務請求訴訟において、その債務の保証人は、その訴訟に当事者の補助として参加できる。

決して誰でも参加できるわではなく、例にあげた保証人のように、訴訟内容と深い関係をもつ人物でないとならない(42条)。

単に友人や家族といった程度では、裁判所は補助参加人としての参加を認めない可能性が比較的に高いだろう。

補助参加人の性質や要件

補助参加人は、自らの固有の請求をもたない。従って、補助参加人は、当事者ではなく、また判決の名宛人にもならない。

補助参加人には、独立的な地位が与えられており、その結果、期日の呼出しや書類の送達なども被参加人とは別に行われる。

しかし、補助参加人の役割はあくまで補助であるので、まず、

・補助参加人は、参加時の訴訟状態を承認しなければならない(45条1項但書)。
・訴えの取下げや、請求の放棄・承諾、和解など、訴訟自体を処分することは出来無い。
・被参加人の訴訟行為と抵触することはできないし、しても効力を発揮しない(2項)。したがって
被参加人が自白した事実を、補助参加人が争うことはできない。
補助参加人が一定の証拠申請や主張をしても、被参加人は撤回をしたり、反対の主張をして、その効力を失わせることができる。

訴訟告知[編集]

独立当事者参加[編集]

たとえば、建物明渡し訴訟で、原告と被告とが所有権を争っているときに、第三者がその建物の所有権は自分にあると主張するとき、この第三者は原告被告どちらの陣営にも属すべきではない。

このように、第三者の主張が、もとの訴訟の原告・被告のいずれの主張とも対立するとき、もとの訴訟が係属中なら、第三者に独立の当事者としての参加できる。このような仕組みを、独立当事者参加という。

この場合、もとの訴訟の原告をA、もとの被告をB、第三者をCとすれば、訴訟は、A対B、B対C、C対Aという三面的な構造になる。

手続

独立当事者参加人が訴訟に参加するための手続としては、条文的には、もとの訴訟の原告および被告に、それぞれ訴状を送って訴えを提起しなければならないとされる(47条3項)。

だが実際には、独立当事者参加人がもとの訴訟の原告または被告の片方と利害が一致していて争いのない場合もあり、このような場合、争いのある残り片方だけに訴状を送れば良いと許容するのが現行法の規定である(47条1項)[21]。(旧法では議論になっており許容説が有力説であった[22]。)

※ 補助参加人だと参加人には独立の請求ができない。なので、もし参加人に独立の請求が必要な場合には、独立当事者として参加するという実務が行われているようである。
  1. ^ 山本、P119
  2. ^ 山本、P119
  3. ^ 安西、P209
  4. ^ 三木、P538
  5. ^ 安西、P220
  6. ^ 三木、P540
  7. ^ 中野、P137
  8. ^ 安西、P217
  9. ^ 中野、P137
  10. ^ 山本、P119
  11. ^ 安西、P217
  12. ^ 中野、P137
  13. ^ 山本、P140
  14. ^ 中野、P137
  15. ^ 山本、P122
  16. ^ 中野、P141
  17. ^ 山本、P123
  18. ^ 中野、P141
  19. ^ 山本、P123
  20. ^ 三木、P548
  21. ^ 安西、P235
  22. ^ 安西、P235