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気候学/大気と放射

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

大気の構成[編集]

地球の大気は、主に以下の成分で構成されています。

  • 窒素:約78%
  • 酸素:約21%
  • アルゴン:約0.9%
  • その他のガス:約0.1%

これらのガスの他に、水蒸気二酸化炭素オゾンなどの微量成分も含まれています。

大気の構成は、高度によって変化します。対流圏と呼ばれる地上から約10kmまでの高度では、窒素と酸素が主要な成分を占めています。成層圏と呼ばれる10kmから50kmまでの高度では、オゾン層が形成されています。中間圏と呼ばれる50kmから85kmまでの高度では、原子状の酸素と窒素が主要な成分を占めています。熱圏と呼ばれる85km以上の高度では、原子状の酸素が主要な成分を占めています。

放射エネルギー[編集]

放射エネルギーは、電磁波の形で伝わるエネルギーです。太陽光、地表からの熱、人工的な電磁波など、様々なものが放射エネルギーに含まれます。

放射エネルギーは、波長によって分類されます。波長が短いほどエネルギーが高く、波長が長いほどエネルギーが低いです。

太陽放射と地球放射[編集]

太陽放射は、太陽から地球に届く放射エネルギーです。太陽放射は、主に可視光近赤外線から構成されています。

地球放射は、地球から宇宙空間に放出される放射エネルギーです。地球放射は、主に赤外線から構成されています。

地球の温度は、太陽放射と地球放射のバランスによって決まります。太陽放射が地球に到達する量よりも地球放射が宇宙空間に放出される量の方が多ければ、地球は次第に冷えていきます。逆に、地球放射が宇宙空間に放出される量よりも太陽放射が地球に到達する量の方が多ければ、地球は次第に暖かくなります。

大気による放射の吸収と散乱[編集]

大気は、太陽放射地球放射の両方を吸収 and 散乱します。

  • 吸収:大気中のガス分子は、特定の波長の放射エネルギーを吸収します。例えば、水蒸気は赤外線を、二酸化炭素は長波長の赤外線を吸収します。
  • 散乱:大気中の粒子(エアロゾルや雲など)は、放射エネルギーをあらゆる方向に散乱します。太陽光のうち、青色や紫色などの短波長の光は、大気中の粒子によって散乱され、空が青く見える原因となります。

大気による放射の吸収と散乱は、地球の気候に大きな影響を与えます。

  • 温室効果:大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスは、地球放射を吸収し、再び地球に向けて放射します。このため、地球の表面温度は、大気がなければ約33℃低くなるとされています。
  • アルベド:地球が反射する太陽放射の割合をアルベドといいます。雲や雪などの白い物体はアルベドが高く、太陽放射を多く反射します。逆に、森林やアスファルトなどの黒い物体はアルベドが低く、太陽放射を多く吸収します。アルベドは、地球の熱収支に影響を与えます。

大気と放射の相互作用は、複雑なメカニズムによって起こります。これらのメカニズムを理解することは、気候変動などの地球環境問題を考える上で重要です。