「中学校社会 公民/国際社会における国家」の版間の差分
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== 国家の三要素 |
== 国家の三要素 == |
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現在(2014年)、世界にある独立国の数は200近くです。 |
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=== 国家の三要素 === |
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現在(2023年)、面積、人口、言語、文化などが異なる200近くもの独立国家があります。世界中の人々は、基本的にどこかの国家に属しています。この国家に属する人々のことを<big>'''国民'''</big>(こくみん)といいます。また、国家には、'''領土'''(りょうど)・'''領海'''(りょうかい)・'''領空'''(りょうくう)などの<big>'''領域'''</big>(りょういき)があります。さらに、国家には、領域に対する支配や国民との関わりなどの国内の政治について、外国からの干渉(かんしょう)を受けることなく、独立して決めるという<big>'''主権'''</big>(しゅけん)を持っています。このような三要素('''国家の三要素''')を有する国家を、<big>'''主権国家'''</big>(しゅけんこっか)といいます。独立国には、この主権が欠かせません。 |
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=== 国家主権とは === |
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国家の主権('''国家主権''')とは、外国からの干渉を受けない権利であり、国家は、他の国家の国内での決定に干渉してはいけません('''内政不干渉の原則''')。また、国家の領域に無断で立ち入ることは許されません('''領土不可侵の原則''')。さらに、主権国家には、外国からの武力による侵略などの急迫不正(きゅうはくふせい)の侵害(しんがい)に対して、軍事力を使って防衛する'''自衛権'''(じえいけん)が認められています。 |
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世界中の人々は、どこかの国家に住んでいるか、どこかの国家に属しています。 |
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国際社会は、このような主権を持つ国々を中心に構成されています。国家主権は、どの国にも対等であり、国際社会は、国家主権を尊重し合うことで成り立っています('''主権平等の原則''')。しかし、実際には国益と国益が対立することで、内政干渉が行われたり、領土不可侵の原則が破られたりすることがあります。 |
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国家が、国内の政治について、外国から支配を受けずに、国家が独立を保つことや、国内政策を最終的には自国で決定する権利のことなどを <big>'''主権'''</big>(しゅけん) と言います。独立国には、この主権が欠かせません。 |
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国家の主権は、法律的には、どの国にも対等です。('''主権平等の原則''') |
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国際社会は、このような主権を持つ国々を中心に構成されています。 |
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国家が成り立つには、主権の他にも、<big>'''国民'''</big>(こくみん)と<big>'''領域'''</big>(りょういき)が必要です。国家は、<big>'''領域・国民・主権'''</big>の3つの要素から成り立っています。(国家の三要素) |
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== 主権とは、どのような権利か? == |
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主権とは、外国からの内政への不干渉の権利です。主権は、その国家が、その国の領土と国民を統治することを正当化している権利であり、国内政策を最終的には自国で決定する権利です。 |
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[[File:領土領海領空.svg|thumb|500px|領土・領海・領空と経済水域]] |
[[File:領土領海領空.svg|thumb|500px|領土・領海・領空と経済水域]] |
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'''領土'''</big>(りょうど)・'''領海'''</big>(りょうかい)・<big>'''領空'''</big>(りょうくう)などの、その国の主権が及ぶ場所をまとめて、<big>'''領域'''</big>の(りょういき)と言います。領空とは、領土・領海の上空で、大気圏内です。 |
'''領土'''</big>(りょうど)・'''領海'''</big>(りょうかい)・<big>'''領空'''</big>(りょうくう)などの、その国の主権が及ぶ場所をまとめて、<big>'''領域'''</big>の(りょういき)と言います。領空とは、領土・領海の上空で、大気圏内です。 |
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英語で排他的経済水域のことを Exclusive Economic Zone というので、 略称で '''EEZ''' という場合もあります。 |
英語で排他的経済水域のことを Exclusive Economic Zone というので、 略称で '''EEZ''' という場合もあります。 |
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経済水域の外側の、どの国の領海や経済水域にも属さない海は <big>'''公海'''</big>(こうかい) とよばれ、公海では、どの国も平等に航行や利用が出来ます。(公海自由の原則) |
経済水域の外側の、どの国の領海や経済水域にも属さない海は <big>'''公海'''</big>(こうかい) とよばれ、公海では、どの国も平等に航行や利用が出来ます。(公海自由の原則) |
2023年7月8日 (土) 05:25時点における版
国家の三要素
現在(2014年)、世界にある独立国の数は200近くです。
世界中の人々は、どこかの国家に住んでいるか、どこかの国家に属しています。
国家が、国内の政治について、外国から支配を受けずに、国家が独立を保つことや、国内政策を最終的には自国で決定する権利のことなどを 主権(しゅけん) と言います。独立国には、この主権が欠かせません。
国家の主権は、法律的には、どの国にも対等です。(主権平等の原則)
国際社会は、このような主権を持つ国々を中心に構成されています。
国家が成り立つには、主権の他にも、国民(こくみん)と領域(りょういき)が必要です。国家は、領域・国民・主権の3つの要素から成り立っています。(国家の三要素)
主権とは、どのような権利か?
主権とは、外国からの内政への不干渉の権利です。主権は、その国家が、その国の領土と国民を統治することを正当化している権利であり、国内政策を最終的には自国で決定する権利です。
主権のおよぶ範囲
領土(りょうど)・領海(りょうかい)・領空(りょうくう)などの、その国の主権が及ぶ場所をまとめて、領域の(りょういき)と言います。領空とは、領土・領海の上空で、大気圏内です。
なお、沿岸から約12海里(=約22km)までの海が領海として認められます。また沿岸から200海里(約370km)までの水域(つまり12海里〜200海里の水域)で、領海の外側の範囲の水域のことを経済水域(けいざい すいいき)あるいは排他的経済水域(はいたてき けいざい すいいき)と言います。
経済水域内にある漁業資源や鉱物資源は、沿岸国に権利があります。経済水域は領海と違い、他の国と重なることもあります。 1982年に国連海洋法条約で、沿岸の海岸線から200海里までが排他的経済数域と定められました。
英語で排他的経済水域のことを Exclusive Economic Zone というので、 略称で EEZ という場合もあります。
経済水域の外側の、どの国の領海や経済水域にも属さない海は 公海(こうかい) とよばれ、公海では、どの国も平等に航行や利用が出来ます。(公海自由の原則)
南極大陸や宇宙空間は、どの国の領域にも属しません。
日本の領土をめぐる外交問題
- 北方領土
北海道の東にある北方領土(ほっぽう りょうど)の歯舞群島(はぼまい ぐんとう)、色丹島(しこたん とう)、国後島(くなしり とう)、択捉島(えとろふ とう)の北方4島(ほっぽう よんとう)は、明治時代から国際的にも日本固有の領土として認められていました。しかし第二次大戦の末期に、ソ連(現:ロシア)が日ソ中立条約を破り、またソ連はポツダム宣言での連合国どうしの約束を破り、ソ連が不法に北方4島などへの侵略を開始してソ連軍が北方の諸島に侵入し、この地域を守備していた日本軍と戦闘になった。そして、ソ連は最終的に4島を占領した。
- (※ 歯舞群島など、地名が太字になっているのは、高校入試の社会科の地理分野で出題される可能性があるため。公民分野というよりも、地理的な内容だが、本記事では入試対策として太字にしてある。)
ソ連が崩壊した後もロシアに不法占拠されている。北方領土をめぐる問題が解決してない。 ロシアは日本の北方領土の国後島などを不法に占拠している。
しばしば、周辺の日本の漁船が近づくと、領海を侵したとして日本漁船を銃撃(じゅうげき)・拿捕(だほ)・抑留(よくりゅう)することも起きている。
日本は返還交渉を続けていて、また文化的な交流事業なども続けているが、あまり進展はしていない。
- 竹島(たけしま)
日本の島根県の竹島(たけしま)は、第二次大戦直後に韓国によって侵略され、現在(2014年の時点)は韓国軍が不法に竹島を占拠している状態である。
歴史的には、そもそも竹島は1905年(明治38年)に、国際法に従って竹島が日本国の島根県に編入され、日本固有の領土となった。
しかし第2次大戦後の1952年(昭和27年)、韓国の李承晩(りしょうばん)政権は、一方的に竹島を韓国領に取り込み、また日本海上に韓国は一方的に李承晩ライン(りしょうばんライン)を設定し、違反したとする日本漁船に銃撃(じゅうげき)・拿捕(だほ)・抑留(よくりゅう)などをした。
1954年(昭和29年)には、韓国が竹島に沿岸警備隊を派遣し、竹島を占拠した。
日韓基本条約締結の際の日韓漁業協定の成立(1965年)により、ラインが廃止されるまでの13年間に、韓国による日本人抑留者は3929人、拿捕された船舶数は328隻、死傷者は44人を数えた。
李承晩ラインの廃止以降も、韓国は竹島を占有しつづけている。
日本は、平和的な解決のための手段として、国際司法裁判所へ付託(ふたく)することを1954年以来から提案しているが、韓国政府がこれに応じていない。
なお、竹島の韓国名は独島(トクド)である。
- 尖閣諸島(せんかく しょとう)
沖縄県の、東シナ海上にある尖閣諸島(せんかく しょとう)は、1895年に日本に編入されて以来、日本固有の領土である。このとき、他国の領有の形跡が尖閣諸島には無かったと、日本側は確認したとしている。
しかし、日本のこの島の領有に、1970年ごろから中国(中華人民共和国)、および台湾が反対をしている。 この海域にはこのころ、油田の存在が確認されていて、その問題も絡んでいるのだろうという指摘もある。
そして2010年には、中国の漁船が、尖閣諸島の魚釣島(うおつりじま)の海域で日本の海上保安庁の巡視船に衝突する事件が起きた。
ただし、解決すべき領土問題は存在しない。
国旗と国歌
国旗や国歌は、その国を表しているシンボルです。
自国の国旗を大事にすることと同様に、外国の国旗も大切にすることが国際的な礼儀になっています。
自国を愛して自国の旗や国家などに敬意を払うことも、国際的な礼儀となっています。なぜかというと、外国の人も、その国を愛し、その国の国旗と国家に敬意を持っているからです。
なお、日本では法律で、国旗を日章旗(にっしょうき)とし、国家を 君が代(きみがよ) とすること1999年の国旗・国歌法(こっきこっかほう)の成立で決まっています。日章旗とは、「日の丸」(ひのまる)とも言います。
愛国心とは、国を愛することです。政府を愛することではありません。国を愛することは、自国の歴史や文化などに、敬意や愛着をもち、大切にしていくことです。
国の誇りを守ることとは、今の私たちだけの誇りを守ることではなく、未来の子孫の誇りを守ることです。私達のいまの日本の文化や歴史も、祖先たちが、子孫など未来の日本人のために、受け継いできたものです。
国際法
国際法(こくさいほう)とは、国際社会での平和や秩序を保つためのルールや決まり・合意などのこと。 なお、国際法は主に二つから成り立つ。
ひとつは国家間の長年の習わしによって成立した国際慣習(こくさい かんしゅう)である。例として、公海の自由(公海を船舶が自由に航行できる権利)や外交官の特権などが、国際慣習法である。
もうひとつは、条約(じょうやく)で、国家間でむすばれた約束を文書の形で表したものです。条約には日米安全保障条約の様に2国間のものもあれば、南極条約の様に多国間での条約もあります。 国際連合憲章などの国際機関に関するものも、これに含める場合もある。
国際法には、平和時の通常の国際法とは別に、やむをえず戦争になったときのためにも国際法で戦争の当事国などを律するための戦時国際法(せんじ こくさいほう)もあります。
- 国際司法裁判所(こくさいしほう さいばんしょ)
国と国のあいだで、あらそいがおきたときに、法律的に公平な解決のための裁判をおこなうための機関。国連(国際連合)の機関である。
裁判を始めるには、争っている両国の合意が必要。
オランダのハーグにある。15名の裁判官で構成される。裁判官は加盟国から選ばれる。
主権国家を抑えてまで従えさせる強制力は、国際法そのものには無い。
たとえば国連(国際連合)でも、国連を構成しているのは個々の主権国家であり、それぞれの主権国家以上の力は国連そのものには無い。国連の資金も、どこかの国家が提供しているのである。
このような国際法の限界のため、たとえ国際法があっても、それだけでは、なかなか紛争や戦争が法律的には解決しないのが現状である。実際の戦争や紛争の対処には、各国の軍事力を背景にした外交交渉などが必要であるのが現状である。