病理学/消化器
口腔
[編集]奇形
[編集]先天性異常として、口に奇形が出来やすい。
唇の奇形として、いわゆる「兎唇」と言われる、上唇裂がある。
また口腔内の奇形として、口蓋裂がある。
口の奇形は、外見の奇形の中でも発生頻度が高い[1]。
概要
[編集]口の中にも、癌や腫瘍は出来る。
- ※ 扁桃は、呼吸器の単元でも扱ったが、口腔の単元でも扱う。
歯原性腫瘍
[編集]- エナメル上皮腫
※ 「親知らず」とは異なる。 エナメル器に類似した腫瘍が出来る場合がある。20~30歳代に多い。下顎の臼歯部[2][3]に多い。
アフタ口内炎
[編集]原因は不明。 ストレスや、ビタミンB群[6]など栄養バランスの崩れなどが提唱されている。
ベーチェット病の症状のひとつとして、アフタ口内炎が表れる。 なおベーチェット病の主な症状は、アフタ口内炎、皮膚結節紅斑、外陰部潰瘍、ぶどう膜炎の4つである[7][8]。
白板症
[編集]口腔カンジダとは別に、舌や口腔内の粘膜に白色の膜が生じる病気があり、白板症という。
原因は不明[9]。
40歳以上に生じやすく、性差はやや男性に生じやすい[10][11]。
感染症
[編集]口腔カンジダ
[編集]カンジダ属の感染症により、舌や口腔内の粘膜に白色の偽膜を生じる。
白板症とは異なる。
単純疱疹
[編集]単純ヘルペスウイルスの感染および潜伏感染したウイルスの活性化により、水疱が生じる。
- ※ ヘルペスは発症していないだけで、多くの人に感染している。
- ※ 「おたふくかぜ」とは異なる。
- 一般的に「おたくふかぜ」と言われる病気は、ムンプスウイルスの感染によるものであり、耳下腺を冒す。
- 「おたくふかぜ」について、詳しくは耳下腺の単元で扱う。
放線菌症
[編集]放線菌は口腔内の常在菌であるが、炎症を起こす場合もあ。
手足口病
[編集]コクサッキーウイルス[12]、エンテロウイルスの感染により発症。主に幼児に感染する。
口腔粘膜、手掌[13]、足背[14]に、小水疱などを形成する。
耳下腺
[編集]流行性耳下腺炎
[編集]流行性耳下腺炎は、一般的に「おたくふかぜ」と言われる病気であり、ムンプスウイルスの感染によるものであり、耳下腺を冒す。
流行性耳下腺炎の症状は、6歳程度の幼児に多く見られる。 大人が発症すると、ときに卵巣炎や精巣炎を併発して不妊になる場合がある。
ワルチン腫瘍
[編集]好酸性上皮細胞と、リンパ間質組織からなる腫瘍。耳下腺に多い。
唾液腺
[編集]シェーグレン症候群
[編集]慢性唾液腺炎と、乾燥性角膜炎を症状とし、40歳以上[17]の中年女性に多い。
ミクリッツ病
[編集]両側唾液腺の腫脹をきたす。
免疫関連の疾患と考えられ、IgG4関連疾患であるとさえている[22][23]。
過去にはシェーグレン症候群の一亜型とされてきた[24]。(※ 『シンプル病理学』でも、シェーグレン症候群がミクリッツ病の症状の一つだと説明。)
その他
[編集]唾液腺に結石を生じることがあり、これを唾石病という。
悪性腫瘍
[編集]口腔の悪性腫瘍は、90%以上が扁平上皮癌である[25][26]。
喫煙や飲酒習慣が、危険因子として挙げられる。
ヒトパピローマウイルスやエプスタイン・バーウイルス[27]などの関与も考えられている。
好発年齢は50歳以上である[28][29]。男性に多い[30]。
「癌真珠」といわれる特徴的な腫瘍を形成する。
食道
[編集]先天奇形
[編集]- 先天性食道閉鎖症など
先天性の奇形として重篤なものとしては、食道が閉鎖、閉塞または気管支との瘻孔(ろうこう)がある。 胎生期での、食道と器官の分離がうまくいかないことで、起きる。
新生児は生後ミルクを飲むことが出来ない[31]。
食道アカラシア
[編集]食道下部括約筋の弛緩不全し、[32][33] それにより、下部食道が狭窄し[34]、口側食道が拡張する[35][36]。
よって、食物の食道から胃への移動が困難になる[37][38]。
マロリー・ワイス症候群
[編集]嘔吐や咳などにより、食道と胃の境界部あたりに、食道の長軸方向の数cm程度の亀裂が生じる病気。
炎症など
[編集]逆流性食道炎
[編集]胃酸により、下部食道が傷害されている。
後述の「バレット食道」を生じることもある。
バレット食道
[編集]食道下部の粘膜が、円柱上皮粘膜に変化する[41]。
- ※ 『標準病理学』では「腺上皮」に置換と説明。
癌の発生母地になると考えられる。
腫瘍など
[編集]食道の扁平上皮乳頭腫
[編集]他の臓器の乳頭腫とは異なり、食道の乳頭腫では通常はパピローマウイルスとの関連は見られない[42][43]。
食道癌
[編集]50~60歳程度の中高年の男性に多い。発生部位は、中部食道に最も多い。
内視鏡検査だけでは発見が困難であり、ヨード散布による不染帯の検査が必要である[46][47]。
胃
[編集]急性胃炎
[編集]急激に腹痛や嘔吐などの起きる胃炎であるが、原因はアルコールなど外因性のものや、ストレスなど、比較的に原因の明らかであるものによる場合が多い[48][49]。
その他、誤飲などで、強酸や強アルカリなどの腐食性物質を飲んだ場合をいう「急性腐食性胃炎」があるい[50][51]。
この他、アレルギー性の胃炎として、食物や牛乳などによるアレルギー胃炎がある[52]。
ヘリコバクター胃炎
[編集]ヘリコバクター・ピロリ(いわゆる「ピロリ菌」)の感染により、胃炎の症状が表れる人もいる。
ただし、日本では成人の多くが感染しているが、症状の表れない人も多い。
自己免疫性胃炎(A型胃炎)
[編集]胃底腺の萎縮。
- ※ 調査中.
化学性胃炎
[編集]主に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による胃炎を「化学性胃炎」と言う。
胆汁による胃炎も、「化学性胃炎」という。
その他
[編集]寄生虫のアニサキスによる胃炎がある。
胃ポリープ
[編集]過形成ポリープ
[編集]ヘリコバクターピロリ胃炎を伴う(ともなう)胃で、粘膜の過形成のポリープが見られる事が多い。
胃底腺ポリープ
[編集]ピロリ感染の無いにもかかわらず、発症する。
胃癌
[編集]50歳以上[57][58]の中高年に多い。やや男性に多く[59][60][61]、男女比は 2:1 である[62][63]。
早期癌
[編集]胃において、粘膜あるいは粘膜下層にとどまった癌を「早期胃癌」あるいは「早期癌」という。
予後は良い[66]。
進行癌
[編集]胃において、固有筋層に癌が浸潤しているものを言う[67][68]。癌の大きさは問わない。
- ※ 『標準病理学』、『シンプル病理学』、『スタンダード病理学』、ワンポイントだと、進行癌1~4型および早期癌1~3型の分類図がある。
- なお、進行癌で分類不能のものは「5型」に分類する[69]。
4型の進行癌では、胃壁が硬化しているので、「硬癌」、「スキルス胃癌」とも言う。「スキルス」とは「硬い」という意味。
その他
[編集]管状腺癌と乳頭腫癌を「分化型」という。
非上皮性腫瘍
[編集]消化管間質腫瘍(GIST)
[編集]かつては平滑筋腫瘍だと思われていたが、間質腫瘍である事が分かった。
- ※ 予備知識: 筋層内にあるカハール介在細胞は、蠕動運動のペースメーカの役割を持つ
GISTは、カハール介在細胞に関連する間質細胞から発生する。チロシンキナーゼに関連するc-kit遺伝子の変異を有する。
悪性リンパ腫
[編集]胃の悪性リンパ腫のほとんどはB細胞リンパ腫である[70][71]。T細胞リンパ腫は稀(まれ)である[72]。
;MALTリンパ腫 MALTとは、粘膜関連リンパ組織(mucosa- associated lymphoid tissue)の略称>[73]>[74]。
- ※ 標準病理学は末尾を「リンパ装置」としている(「粘膜関連リンパ装置」)。
MALTリンパ腫の患者の多く(79~90%[75]程度)に、ピロリ菌の感染が認められる。
さらに、ピロリ菌の除菌により症状が寛解する事例も多い[76][77]ので、ピロリ菌がこの病気の原因であると考えられている。
腸
[編集]先天異常
[編集]メッケル憩室
[編集]胎生期の卵黄腸管が残っている症状。
回盲の末端部より10~100cm口側の位置の回腸にある。
ヒルシュプルング症
[編集]腸管のアルエルバッハ神経叢やマイスナー神経叢が先天的に欠損するため、 腸管が蠕動できない。
その他
[編集]詳しくは腫瘍の単元で述べるが、家族性大腸腺腫症も遺伝子異常なので、先天異常である。
感染症
[編集]腸に感染する細菌には、大腸菌、結核菌、赤痢菌、サルモネラ菌などがある。
腸結核
[編集]肺結核に伴い、二次的に腸で結核が生じる事も多い。腸管に「輪状潰瘍」といわれる潰瘍を形成する。
赤痢菌
[編集]血液と粘液の混ざった下痢便(粘血便)が出る。激しい腹痛と発熱も伴う。
志賀毒素(ベロ毒素)と呼ばれる猛毒を産生し、大腸粘膜を破壊するだけでなく、一部は傷口から血液に運ばれて腎臓や脳にも作用し、溶血性尿毒症症候群などの重篤な合併症を引き起こす。
日本では患者数は減ったが、それでも年間1000人くらいの患者が日本国内で発生している[80]。
国内患者のうち半数以上は海外からの輸入感染である[81]。
赤痢アメーバ
[編集]※ 赤痢菌とは異なる
※ 「アメーバ赤痢」[82]ともいう。
※ 『標準病理学』では扱っておらず、『標準微生物学』であつかわれる。
赤痢アメーバは腸管に寄生する。
大腸に潰瘍を形成する。
下痢便として、イチゴゼリー状の粘血便が出る。
合併症として、肝臓に膿瘍をつくることもある。
大腸菌
[編集]- ※ 標準病理学では、総論の第4章 感染症(83ページ目あたり)で扱っている。
- ※ 標準微生物学では、Escherichia coli. で索引を調べると、エシャリキア属として載っている。(『大腸菌』で索引を探しても見つからない。)
- ※ 『シンプル病理学』、『スタンダード病理学』には記載なし。
- ※ 微生物学的には、大腸菌およびエシャリキア属はグラム陰性桿菌に分類されるが、そういった事の説明は微生物学の教科書にゆだねる。
大腸菌は、腸内に常在し、消化を助けたりビタミン合成などの働きをしている[83]。 これら常在型の大腸菌とは別に、病原性の大腸菌も知られており、この病原型の大腸菌が問題視される。
「O-157」も病原性大腸菌のひとつであり、腸管出血性大腸菌というもののひとつである。なお、O分類は、血清学による分類であり、O抗原と言うものの分類で、大腸菌の場合はO抗原の分類だけでも170種類ある。
- ※ 170種類は膨大すぎるので、本科目では深入りしない。
腸管出血性大腸菌は赤痢菌と同様にベロ毒素を産生する。
患者のうち、2~7%程度[84]が、溶血性尿毒症候群を起こす[85][86]。
サルモネラ菌
[編集]鶏卵や牛肉につく[87]食中毒[88]による胃腸炎の原因菌として有名である。
- ※ なお、鶏肉・豚肉の食中毒は主にカンピロバクター。魚介類の食中毒は主に腸炎ビブリオ。[89]
なお、腸チフス菌およびパラチフス菌もサルモネラ属である[90][91]。
ビブリオ属および腸炎ビブリオ
[編集]魚介類の食中毒の原因菌として、腸炎ビブリオ菌が有名である。
なお、腸炎ビブリオ菌とは別の菌だが、コレラ菌もビブリオ属である。
腸炎ビブリオ菌の生息には NaCl が必要なので、魚介類から感染しやすい[92][93]。
ただし、別の菌であるコレラ菌は、NaCl がなくても生息する[94]。
コレラの症状は、激しい下痢であり、「米のとぎ汁」のような水様便が下痢便として出る[95][96]。なお、コレラ菌は毒素としてコレラ毒素[97][98]を産生している。このコレラ毒素により、激しい下痢症状が引きおこされている[99]。
なお、腸炎ビブリオの症状は、下痢や腹痛など[100]。
炎症
[編集]潰瘍性大腸炎
[編集]直腸から潰瘍が始まり、大腸の全体に潰瘍が進展していく症状。 大腸のみを侵し[101]、小腸は侵されない[102][103]。炎症性ポリープが多発する[104][105]。
原因は不明。
30歳以下の若年者に多いが、子供から老年者まで起きる[106]。粘血便が出る [107][108]。
合併症として、原発性硬化性胆肝炎を併発する事もある[109][110]。
10年以上経過すると、癌化率が上がると言われている[111][112]。
自己免疫疾患かと疑われているが[113]、不明。治療として、抗炎症薬やステロイド剤や免疫調整剤などが使われる [114][115]。
クローン病
[編集]潰瘍が、腸内に、位置的には非連続に発生する(飛び石状[116])。潰瘍をともなう炎症性病変である。10~20歳代の若年者に多い。
免疫不全と遺伝子異常が疑われているが、原因不明。ベーチェット病とは異なる[117][118]とされる。
腹痛、下痢、体重減少などで始まる[119][120]。経過中、大出血をきたすこともある[121]。
消化管外の合併症として、関節炎、脊椎炎、皮膚症状、口腔内アフタ、虹彩炎などの合併症が見られる[122][123]。
ベーチェット病
[編集]- ※ 未記述.
腫瘍
[編集]家族性大腸腺腫症
[編集]- (英: familial adenomatous polyposis)
「家族性大腸ポリポーシス」[124]ともいう。常染色体優性遺伝である。
第5染色体にあるAPC遺伝子の変異により発症する[125][126]。
絨毯(じゅうたん)のように[127]、1個あたり数ミリメートルほどのポリープが無数に出来る症状を言う[128][129]。
大腸腺腫ではポリープの個数が100個以上になる場合をポリポーシスと呼ぶと定義している[130][131]。
中高年までには[132]、ほぼ100%[133]、癌化する[134][135]。
癌は大きいポリープに発生している[136][137]。
児童のころから多数のポリープが出来ており、20歳代には50%が癌化する[138]。
したがって治療としては、身体的に成長した時点で、腸管の切除の手術を行う[139]。
そもそも異常の起きているAPC遺伝子が、元来は癌抑制遺伝子である[140][141]。
Peutz-Jeger症候群
[編集]「ポイツ・イェーガー症候群」[142]と読む。
遺伝性であり、常染色体優性遺伝[143]である。
過誤腫性のポリープが出来る。
若年性ポリポーシス
[編集]主に大腸に発生する。幼児、小児に発生しやすい。
ポリープ表面に びらん が見られる事も多い[144][145]。
虫垂炎
[編集]急性虫垂炎の原因は、一説には糞石や胆石などによる閉塞または細菌感染とされるが[146][147]、しかし閉塞によらない虫垂炎も確認されており、真の原因は不明である[148]。感染の原因となる、もとの原因も明らかではなく不明である[149]。
虫垂そのものの位置は盲腸から突出した位置にあり[150]、虫垂の形状は ひも状の形状をしている[151]。
炎症が(比較的に軽ければ、)右下腹部痛[152]や発熱などの症状だが、炎症が重いと穿孔などを起こし化膿性腹膜炎や敗血症[153]などを併発する。
10~20歳の若年者に多い[154][155]。ついで老年期に虫垂炎が見られる[156]。
肝臓
[編集]肝性の黄疸
[編集]- ※ 黄疸の一般論については『病理学/代謝障害#ビリルビンと黄疸』で説明済み。
黄疸はビリルビン代謝の異常による病気であるが、肝臓がビリルビン代謝に中心的な役割をしており、 黄疸は原発部位により
- 肝前性黄疸
- 肝性黄疸
- 肝後性黄疸
の3通りのいずれかに分類される。
- 肝前性黄疸
肝前性黄疸は、非抱合型(間接)ビリルビンが過剰に増加したせいで起きる黄疸のこと。溶血性貧血によって、肝前性黄疸が起きる場合が多い[157][158]。
肝前性黄疸は、肝臓そのものには病変が無い場合が通常[159]。
- 肝性黄疸
いっぽう、肝性黄疸は、肝臓そのものに病変があるせいで、黄疸が起きた場合を言う。肝性黄疸の原因は多様で、ウイルス肝炎や、薬物などの肝細胞障害など、いろいろとある[160][161]。 このためか、肝性黄疸は、いくつかの種類がある。
肝性黄疸の種類にも寄るが[162]、抱合型(直接)ビリルビンが増加している場合が多い[163][164][165]。
体質性黄疸を、肝性黄疸に含める場合もあるが>[166]、含めない場合もある[167]。
- ※ 体質性黄疸については『病理学/代謝障害#ビリルビンと黄疸』を参照せよ。
- 肝後性黄疸
主に、胆のうの、結石、炎症、癌などによる閉鎖・閉塞や狭窄による黄疸である。直接ビリルビンが高くなる場合が通常[168][169]。
糖原病
[編集]- ※ 一般論は『病理学/代謝障害#糖原病』で説明済み。
- ※ 糖「尿」病とは異なる。
肝細胞、骨格筋、心筋に、糖原病によるグリコーゲンの過剰な蓄積が見られる[170][171]。
糖原病には、いくつかの型があり、肝臓に障害を及ぼすのは0型[172]、1型、2型、3型、4型、6型、8型[173]である[174][175]。
肝硬変を来たす型もある。
アミロイドーシス
[編集]- ※ 一般論は『病理学/代謝障害#アミロイドーシス』で説明済み。
代謝異常
[編集]褐色萎縮
[編集]結核、悪性腫瘍などの[176]消耗性疾患により、肝臓が萎縮し、褐色調を呈する[177][178]。
脂肪変性
[編集]- fatty change
酸素欠乏、貧血、うっ血などにより、肝臓内に脂肪が出現する。
鉄代謝障害
[編集]血鉄素が沈着し、肝臓は赤錆色(赤褐色)を呈する。クッパー細胞などに銅が沈着する。
銅代謝障害
[編集]ウィルソン病は常染色体劣性遺伝である。肝臓に銅が沈着する。肝臓のほか、脳、角膜に銅が沈着する。また、セルロプラスミン(銅タンパク)の合成が低下する。
肝性脳症
[編集]肝臓が障害が酷くなると、昏睡などの意識障害を起こす。原因は、アンモニアが肝臓で分解されずに、脳や中枢神経に影響を及ぼすために起きると考えられている[179][180]。
- ※ 『標準病理学』では、(『肝臓』の単元ではなく)脳・神経の単元で説明されている。
胆嚢や胆管など
[編集]胆石症
[編集]胆道系に、結石が出来る症状。
結石の主成分として、コレステロールが主成分のものと、ビリルビンカルシウムが主成分のものがある。
結石が出来る部位としては、胆嚢に出来るのが最も多い[181][182]。
患者に胆石があっても、無症状の場合も多い。症状が悪化すると、疝痛や、胆道閉塞による黄疸などをきたす。
胆嚢炎
[編集]胆嚢炎の原因のほとんどは、胆石によるものである(90%[183]以上)[184][185]。右季肋部の痛み。
閉塞にともなうなんらかの粘膜障害[186]や、浮腫[187][188]がある。
胆嚢癌
[編集]50歳以上[189]の中高年の女性に多い。また、胆嚢癌患者の60~90%[190][191]が、胆石症を併発している。
初期には症状を示さない[194][195]。発見は、胆嚢癌の症状によるものよりも、胆石の診察にともなって見つかることが多い[196][197]
膵臓
[編集]- ※ 「膵」と省略する場合もあるが、この単元の見出し名は『標準病理学』でも『スタンダード病理学』でも「膵臓」
先天異常
[編集]膵胆管合流異常
[編集]- ※ 未記述.
輪状膵
[編集]十二指腸下行脚を囲むように膵組織が発生する形成異常。
炎症
[編集]膵炎
[編集]急性膵炎と慢性膵炎とに分けられるが、急性・慢性の両方とも原因はアルコール多飲や胆石によるものが多い。特に慢性膵炎では、アルコール多飲が、原因の最多である[198][199]。
- ※ サイトカインによるショックや障害などの可能性も考えられているが、『標準病理学』と『スタンダード病理学』とで説明が食い違っている。
- 『標準病理学』では、慢性膵炎をサイトカインの障害で考えている。一方、『スタンダード病理学』では、急性膵炎をサイトカインのショックで考えている。
- 急性膵炎
急性膵炎では、膵酵素であるアミラーゼ、リパーゼ、トリプシンの血中濃度が高くなる[200][201]。
- ※ 『スタンダード病理学』では尿中の酵素も濃度が高くなると書いてある。
膵臓の場合、その内部に消化酵素を持っているので、急性膵炎では自己消化による炎症[202][203][204][205]なども起きているとされている。
- (※ 医学書では、膵臓の冒頭のほうに自己消化の理屈が書いてあり、自己消化のため特異的な症状になると書いてあるけど、しかしその「特異」症状の具体的な症例は医学書に書いて無さそうなので、本wikiでは最後のほうで紹介することにした。)
自己免疫性膵炎
[編集]高齢男性に多く、主訴として閉塞性黄疸をきたす。IgG4が上昇する。
膵外にもIgG4関連の病変をともなうことが多く、唾液腺炎、胆管炎、後腹膜炎など、それらの臓器に炎症性の病変をともなう事が多い。
膵癌
[編集]膵癌は高齢者(50~80歳[206]程度)に多い。膵癌の5年生存率は2%[207]または7%[208]と言われており、予後は悪い。男女比 1.6:1[209] と、やや男性に多い[210]。
上皮性のものと非上皮性のものがあるが、膵臓癌では上皮性の腫瘍の場合が多い[211][212]。
膵頭部に癌ができている場合、閉塞性黄疸をきたす場合が多い[213][214][215]。
脚注
[編集]- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』、128ページ
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『ワンポイント3』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準微生物学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『シンプル病理学』
- ^ 『標準病理学』
- ^ 『スタンダード病理学』
- ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
- ^ 『標準病理学』
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