病理学/血液・造血器・リンパ節

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前書き[編集]

赤血球は、骨髄にある造血幹細胞から作られる。(「肝」細胞ではなく「幹」細胞なので、誤字に注意。)

さて、白血球やT細胞とB細胞も、同じく骨髄の造血幹細胞から作られる。

なお、説明の簡素化のため「白血球」と言ったが、好中球、好酸球、好塩基球のことである。

リンパ球とは、T細胞およびB細胞のことである。


※ このため、「造血」などの単元では、医学書でも、赤血球や血小板と言った血液成分だけでなく、白血球やリンパ球も扱う。

貧血[編集]

医学における「貧血」とは、正常なヘモグロビンの血液濃度が低下して、正常範囲のヘモグロビン濃度には足りない事を言う。

しかし便宜上、出血などによって血液自体が不足している場合でも貧血という場合がある[1]

なので『シンプル病理学』では、『貧血』とは、血液中の赤血球またはヘモグロビンが減少する事、という風な定義をしている。

※ この単元では、特に断らないかぎり、『貧血』とは、血液中のヘモグロビン濃度が病的に低い事だとする。(出血については、科目『救急医学』などの話題だろう)
※ たとえ、血栓など循環障害による虚血やチアノーゼなどが起きていても、ヘモグロビン濃度が低くなければ、上記のような定義では『貧血』とは呼ばない[2]


成人男性の健常者は、ヘモグロビン濃度 14~18g/dLである[3]。なので成人男性ではヘモグロビン濃度が 約12.5g/dL以下から貧血とみなされる[4]

成人女性の健常者は、ヘモグロビン濃度 12~16g/dLである[5]。なので成人女性ではヘモグロビン濃度が 約11.5g/dL以下から貧血とみなされる[6]


貧血の種類[編集]

貧血には、下記の種類がある。

赤血球の喪失による貧血[編集]

(便宜上なのか、)出血によって赤血球を喪失した場合も「貧血」といい、医学書ではそのまま「赤血球の喪失による貧血」などのように言う。


鉄欠乏性貧血[編集]

鉄はヘモグロビンの主な原料なので、鉄が欠乏するとヘモグロビンが合成されずに貧血になる。


食事において、鉄摂取が不足すると発生しやすい。 成長期や妊娠において、鉄需要の増大により、鉄欠乏性貧血が発生しやすい。

なんらかの鉄吸収阻害の障害があると発生しやすい。

慢性出血による「貧血」は、これに含める。(※ 濃度はともかく、どのみち体内の鉄分も不足する。)


再生不良貧血[編集]

骨髄にある、造血幹細胞の異常であり、予後は悪い。骨髄が低形成であり、脂肪で骨髄が置き換えられている(「脂肪髄」という)。

赤血球のみでなく、白血球や血小板も減少している(「汎血球減少」という)。


巨赤芽球性貧血[編集]

赤芽球とは、造血幹細胞から派生した、赤血球のもととなる細胞である[7]

ビタミンB12欠乏あるいは葉酸欠乏でも起きる。

症状は、(赤芽球ではなく)赤血球が巨大化、または赤血球の奇形などの症状である[8]


原因としては、赤血球の成熟に必要なDNAがビタミンB12不足などで合成されず、RNAやタンパク質だけが合成されていった結果、 赤血球の巨大化や奇形などが生じている[9]と考えられている。


なお、ビタミンB12は小腸で吸収されるが、 胃粘膜から産生される内因子がビタミンB12の吸収に必要なので、胃切除の手術などで、発生しやすい。

悪性貧血とは、なんらかの理由で(たとえば自己免疫疾患として内因子を抗体が攻撃してしまう機構が考えられている[10][11])、その結果として胃の内因子が作られなくなり、巨赤芽球性貧血を起こす事を言う。

遺伝性球状赤血球症[編集]

赤血球は健常なら、円盤状である。

しかし、遺伝性球状赤血球症では、赤血球が球状である。常染色体優性遺伝である。

この病気だと、赤血球の寿命が短く、そのため間接ビリルビンの上昇を示す。

溶血性貧血に分類される。

※ なんらかの理由で、赤血球が破壊されてしまっていると考えられている。

白色人種に多い[12]

※ 医学では「コーカソイド」などとは言わず、「白色人種」と言う。

ビリルビンが増加しているため、黄疸が見られる[13][14]

発作性夜間ヘモグロビン尿症[編集]

血管内溶血により、ヘモグロビン尿が発生する。 赤血球の膜に異常があり、この異常により溶血が起きやすくなっている。

「夜間」と名前が入っているが、実際には発作が起きる時刻が夜間とは限らない[15]

近年、この症状の原因がPIG-A遺伝子(ホスファチジルイノシトールグリカン-クラスA)の異常である事が明らかになった。

鎌状赤血球症[編集]

ヘモグロビンの構造異常であり、原因は、突然変異により、βグロビンの本来ならグルタミン酸であるべき部分がバリンに置換している事。

この構造異常により、溶血性貧血を起こす。

常染色体劣性遺伝である。

白血病[編集]

白血病は、造血細胞の腫瘍性疾患である[16][17][18]

※ 分類上、白血球の数や状態は、その症状が「白血病」かどうかとは、あまり関係ない。
※ 歴史的には、1800年代に白血病の先駆的な研究をしていたウィルヒョウの研究していた白血病患者の腫瘍の種類が、たまたま、おそらくは、骨髄の白血球系統の腫瘍だったためか、患者血液では白血球が異常に増加しており、ウィルヒョウが血液分析をすると血液中に白い部分が見えたので、「白血病」という名前になっているらしい。
※ 『シンプル病理学』改訂第4版(2005年)を見ると、「白血病」について「白血球系」の「腫瘍」と限定しているのは、こういう歴史的なウィルヒョウの当初の事例のこと。現代では、白血球に限定せず、骨髄の造血細胞の腫瘍一般を「白血病」とする。
※ このため、もし赤血球の異常であっても、原因が骨髄腫瘍であれば、「白血病」に含める。その他、B細胞やT細胞などのリンパ球も、その前駆細胞はもとをたどれば骨髄で作られる造血幹細胞なので、よって「白血病」には、骨髄腫瘍が原因の場合でのB細胞およびT細胞と言ったリンパ球の異常の場合も含む。)

白血病は、腫瘍化した細胞の起源から、骨髄性白血病とリンパ性白血病との2種類のいずれかに分類される。


なお、白血病の分類として、French-American-British分類(FAB分類)がある。

急性白血病では、FAB分類が主に用いられている。

その他の分類として、WHOが白血病の分類を出しており、たとえばWHO分類の第4版が2008年に出された。

名称 所見
急性骨髄芽球性白血病 M0, M1, M2         
急性前骨髄腫性白血病 M3
急性骨髄単球性白血病 M4
急性単球性白血病 M5a, M5b
赤白血病 M6
急性巨核芽球性白血病 M7

急性[編集]

急性骨髄性白血病では、FAB分類のよりM0からM7までの8型に分類される。

急性骨髄芽球性白血病

FAB分類では、M0からM2までである。


急性前骨髄腫性白血病

M3である。

(※ 調査中:) 「アウエル小体」というのが認められる[19][20][21]


急性骨髄単球性白血病

M4である。

急性単球性白血病

M5である。M5aは単芽球の未分化型。M5bは分化型。


赤白血病

M6。赤芽球の増殖が顕著。骨髄の赤芽球性の腫瘍だと考えられている[22]

急性巨核芽球性白血病

M7。


慢性骨髄性白血病[編集]

※ 医学書では、造血幹細胞の腫瘍の異常だとしているが、それだと急性との区別がつかないので、当wikiでは定義の説明を差し控える。詳細は医学書で確認せよ。

現在、「慢性骨髄性白血病」と言われている症状では、ほとんどの患者にフィラデルフィア染色体(Ph1染色体)という異常染色体が見られる。

フィラデルフィア染色体は、第22番染色体および第9番染色体に由来している。フィラデルフィア染色体とは、第22番染色体のBCR遺伝子 と 第9番染色体のABL遺伝子 が相互に転座したもの。

一説には、この転座のため、異常にチロシンキナーゼ活性が強まっているのが、慢性骨髄性白血病の発症に関わっていると考えられている。[23][24][25]

※ もともと、BCR遺伝子およびABL遺伝子はチロシンキナーゼの活性に関わっている。

この異常のため本症例の患者では、顆粒球が著名に増えていおり、好中球、好塩基球、好酸球が多い[26]

経過中、急性白血病の病症に転化する場合もあり、急性転化という。

かつては予後不良の病気であったが、イマチニブの発明とその投与により、予後は改善されてきた。

「骨髄腫」[編集]

まぎらわしい事に、「骨髄腫」とは骨髄の腫瘍ではない。

「骨髄腫」とは、癌化したB細胞によって異常な免疫グロブリン抗体(「Mタンパク」という)が産生され続けてしまうという病気である[27][28]

※ 定義上、必ずしも異常B細胞の産生の場所は骨髄でなくても良いが、「骨髄腫」でも普通は骨髄でB細胞の前駆細胞が産生されるハズ>[29]

健常な免疫グロブリン抗体とは異なり、Mタンパクは単クローン性である。

また、尿中に、免疫グロブリンの軽鎖の二量体を多く含むタンパク質であるベンスジョ-ンズ タンパクが多く出現してくる。

また、骨のX線写真(いわゆる「レントゲン」)で、骨に穴が空いたような像がよく見られ、これを「打ち抜き像」という。 骨が破壊・融解されて、打ち抜き像が発生している。


患者は中年以降に多く、40歳ごろから発症してきて、[30][31]。 ピークは60歳代である[32]と言われている。


性比では、男性に多い[33][34]


マクログロブリン血症[編集]

※ 『標準病理学』には、マクログロブリン血症の記載は無い。

マクログロブリンとは、免疫グロブリンのIgM抗体のこと[35]

ヒトの免疫グロブリンでは、 5つある抗体のうち、最も分子サイズの大きいのがIgM抗体なので、IgM抗体には「マクログロブリン」という別名がある[36]

マクログロブリン血症とは、B細胞の腫瘍により、IgM抗体ばかりを産生する症状。

突発性血小板減少紫斑病[編集]

血小板が減少する。

急性型と慢性型がある。小児は急性型であり、ウイルス感染のあとに見られる事が多く、6ヶ月[37]以内で自然治癒しやすく予後は良い。

成人には、6ヶ月を超える慢性型が多い。

原因として、血小板に対する自己抗体が作られてしまっていると考えられている。自己免疫疾患のひとつと考えられている[38]。脾臓で抗体に覆われた血小板が貪食されていると考えられている。

本態性血小板血症[編集]

血小板が増加しており、WHOの診断基準では45万/μLを超えるものを言う[39]

巨核球の増生も見られる。

症状として、繰り返す血栓症[40][41]、および出血症状がある[42][43][44]

本患者の骨髄には細胞成分が多く[45]、造血細胞が増加している[46]。骨髄では脂肪成分が激減していて少ないが[47]、ある程度は脂肪成分が残存しているる[48]

血友病[編集]

※ 単元『病理学/先天異常#X連鎖劣性遺伝病』で血友病の遺伝性については説明ずみ。

血液凝固因子(第VIII因子(8)や第IX因子(9)[49] )の欠損や異常のために血が固まりにくい病気であり、そのため怪我などをして出血したとき、止血されにくく治りにくい病気である。

血友病Aと血友病Bがある。第8因子の欠乏しているものが血友病Aである。第9因子の欠乏しているものが血友病Bである。

日本では、血友病Aのほうが発生頻度が大きく[50][51]、だいたい A患者:B患者 の比率が 5:1 の比率だと言われている[52]

薬害問題では過去に、血友病の非加熱製剤がAIDSの感染源になった社会問題が起きた事がある[53]

骨髄異形成症候群[編集]

骨髄異形成症候群は、WHO分類でもFAB分類でも、幾つかの病例に分類される。

※ おそらく、この症候群は一つの病気ではなく、幾つかの病気をまとめたものだと考えられる。
※ 『標準病理学』はWHO分類、『スタンダード病理学』はFAB分類で説明。

かつてより「前白血病」などと呼ばれていた。

WHO分類とFAB分類のともに、不応性貧血(RA)と、鉄芽球系の不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、がある。


その他[編集]

シェーンラインヘノッホ紫斑病
※ 『標準病理学』には記載なし。
結核

結核が骨髄に見られる場合もある[54]

※ 白血病の紹介が続いたが、このページは、けっして腫瘍のページではなく、血液・造血器・リンパ節のページなので、感染症でも骨髄やリンパに影響の出てくるものなら紹介する。『標準病理学』でも同様の考え。

急性リンパ性白血病[編集]

リンパ芽球の腫瘍性の増殖である。

※ 『シンプル病理学』に急性リンパ性白血病などリンパ系の白血病の記載なし。

B細胞やT細胞を明言せず、単に「急性リンパ性白血病」と言った場合、普通、B細胞性のものを言う。

※ T細胞性の白血病には、後述のように「T細胞性リンパ芽球性白血病」という別の病気がある。

B細胞性リンパ芽球性白血病[編集]

小児に多い[55][56]

FAB分類ではL1型に分類される。

T細胞性リンパ芽球性白血病[編集]

小児のリンパ性の白血病の多くはB細胞性であるが、15%[57]~20%[58]ほどはT細胞性の白血病の小児患者もいる。

また、成人では、T細胞性リンパ性の白血病の患者が多い。

FAB分類ではL2型に分類される。

リンパ節[編集]

※ 「リンパ腫瘍」とは異なります。「リンパ腫」とは、文脈にもよるが、T細胞やB細胞などといったリンパ球の腫瘍です。
一方、この節で取り上げるのは、「リンパ節」というリンパ管の経路中にある組織 に病状の出る疾患です。
リンパ節

そもそもリンパ節とは、リンパ管の経路中にある、大きさがおおむね、米粒大から大豆大までの瘤のような膨らんだ部分。 そのリンパ節の中に、器官組織がある。

※ 詳しくは(たぶん)生理学の科目で説明する。

リンパ節はそもそも、免疫を助ける機能をしているため、リンパ節の異常と正常との区別がしづらい。

この単元では主に、腫瘍や先天異常などで、リンパ節の機能が働いてない事例と、結核など感染症に対するリンパ節炎を分けて取り上げる。

※ 『標準病理学』は、結核などのリンパ炎を取り上げていない。『シンプル病理学』『スタンダード病理学』は結核などのリンパ炎を取り上げている。

リンパ節の炎症性・反応性の症状[編集]

結核[編集]

結核で、リンパ節の炎症が見られる。肺門リンパ節が冒されやすい。

他の結核と同様、乾酪壊死やラングハンス巨細胞が見られる場合が多い。

まぎらわしい別の病気として、サルコイドーシス(別の病気)との鑑別が難しい。

サルコイドーシス[編集]

原因不明の、肉芽腫性の疾患。

リンパ節のほか、肺、皮膚、心臓、肝臓、脾臓など全身の各組織に腫瘍が発生する。

(※ 結核と似ている症状だが、しかし結核ではないので、)ツベルクリン陰性である[59]

患者は、20~40歳代に多い[60]

トキソプラズマ性のリンパ節炎[編集]

Toxoplasma gondii の感染によって見られる。

※ 資料不足のため、本wikiでは説明を省略。
『スタンダード病理学』および『シンプル病理学』に記載あり、
※ 「リンパ濾胞」の「胚中心」がどうのこうのと、関連書には書いてある。

組織性壊死性リンパ節炎[編集]

原因不明。「菊池病」、「菊池・藤本病」などとも言う。

若年者(10~30歳代[61])に多く、性差はやや女性に多い。

感冒様症状の発熱がある。

主として頚部のリンパ節で腫脹がある。

組織学的に、壊死像が見られる。

皮膚病性リンパ節炎[編集]

※ 資料不足のため、本wikiでは説明を省略。
『シンプル病理学』には見当たらない。
『標準病理学』および『スタンダード病理学』に、それらしい病気の解説あり。

キャッスルマン病[編集]

※ 『標準病理学』、『スタンダード病理学』、『シンプル病理学』に書いてあるけど、
説明のポイントが3冊とも大きく違っており、現在のところ文献3冊からは全体像が不明。

悪性リンパ腫[編集]

悪性リンパ腫

欧米と日本の違いは下記の通り。

欧米では、ホジキンリンパ腫が多い。
日本では、非ホジキンリンパ腫ではT細胞性リンパ腫およびNK細胞性リンパ腫が多い。
日本では、節外性リンパ腫が多い。

なお、「良性リンパ腫」という病名は無い[62]

分類として、ホジキンリンパ腫と、非ホジキンリンパ腫の2つに大別される。

非ホジキンリンパ腫には、T細胞性のものとB細胞性のものとNK細胞性のものがある。

ホジキンリンパ腫[編集]

Pel-Ebstein型の発熱を繰り返す。

※ 標準病理学だとEの次がpの「Epstein」になっているが、これは誤植だろう。『シンプル病理学』および『スタンダード病理学』では(Pel-)「Ebstein」である。

かつては「ホジキン病」と呼ばれていたが、

近年では、大部分はB細胞性のリンパ腫である事が分かり、 WHOの分類でも「ホジキンリンパ腫」と命名されている。

※ 分類上、リンパ性白血病との区別とが困難なようで、WHOの分類では包括的にリンパ性白血病とまとめて分類している。[63]

多核の「リード・スタンバーグ細胞」や、単核の「ホジキン細胞」と呼ばれる細胞が観察される。

分類として、

  • 古典型、
  • リンパ球減少型、
  • リンパ球増加型、
  • 混合細胞型、

などに分類される。

成人T細胞白血病/リンパ腫[編集]

「成人T細胞白血病/リンパ腫」(Adult T-cell leukemia / lymphoma 、略称: ATLL)で、ひとつの病名。

ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)の感染による。

なお、このヒトT細胞白血病ウイルスI型はレトロウイルスである。レトロウイルスとは、逆転写酵素を持つウイルスのこと。

日本では九州、沖縄に成人T細胞白血病/リンパ腫は多発し、成人に多い。

症状では、リンパ節腫脹、肝腫、脾腫、高カルシウム血症、が見られる[64][65]


大別して、型は

くすぶり型、
慢性型、
急性型、
リンパ腫型、

の4病型に分類される。

急性型とリンパ腫型の予後は悪い[66][67]

発症年齢のピークは60歳代である[68][69]


感染経路として、母乳[70]を介した母子感染[71][72]が考えられているが、 その他の経路として性行為[73]も考えられている。

発生頻度に男女間の性差は特に見られない[74]


バーキットリンパ腫[編集]

アフリカに多い、小児のリンパ腫である。

エプスタインバーウイルス(EBウイルス)が影響していると言われている。

赤道アフリカやニューギニアでは、90%超[75]で、エプスタインバーウイルスに感染している。

しかし、他の地域ではそうではない(10~30%程度[76])。

多数の核分裂像を伴う[77][78]

病型は大別して、

アフリカ、ニューギニアの現地型である endemic型、
自己免疫疾患やAIDSなどの「免疫不全型」、
突発型・散発型である sporadic 型、

の3病型に分類される。

また、EBウイルスの感染率はそれぞれ、

現地型であるendemic型で90%超、
sporadic型は10%程度、
免疫不全型で30%程度、

である[79][80]


[編集]

健常者では100g~150g程度である。

老朽化した赤血球は、脾で貪食される。

また、脾は胎生期における造血組織[81]

形成異常
  • 無脾

脾が形成されない場合を言う。

  • 多脾

脾が複数個ある場合を言う。

  • 副脾

正常の大きさの脾の周囲に、小さな脾臓が出来ている場合があり、これを「副脾」という。


胸腺[編集]

胸腺に胚中心を伴ったリンパ濾胞が過形成しているものは、重症筋無力症と関係があるとされている。

アジソン病、バセドウ病(甲状腺機能亢進症のひとつ)でも、同様にリンパ濾胞の過形成が見られる[82][83]


胸腺の腫瘍

「胸腺腫」とは何かについて、

胸腺の腫瘍すべてを「胸腺腫」と呼ぶべきだという流儀(『標準病理学』はこちら)と、
胸腺上皮細胞の腫瘍を「胸腺腫」と呼ぶべきだという流儀(『スタンダード病理学』はこちら)

の2通りがある。

※ 『シンプル病理学』では「胸腺上皮腫瘍」という用語もある。

脚注[編集]

  1. ^ 『標準病理学』、P307、節『赤血球喪失による貧血』
  2. ^ 『スタンダード病理学』
  3. ^ 『スタンダード病理学』
  4. ^ 『標準病理学』
  5. ^ 『スタンダード病理学』
  6. ^ 『標準病理学』
  7. ^ 『標準病理学』、第8版、P515
  8. ^ 『スタンダード病理学』
  9. ^ 『スタンダード病理学』
  10. ^ 『標準病理学』
  11. ^ 『シンプル病理学』
  12. ^ 『スタンダード病理学』
  13. ^ 『スタンダード病理学』
  14. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  15. ^ 『標準病理学』
  16. ^ 『シンプル病理学』
  17. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  18. ^ 『標準病理学』
  19. ^ 『シンプル病理学』
  20. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  21. ^ 『標準病理学』
  22. ^ 『スタンダード病理学』
  23. ^ 『スタンダード病理学』
  24. ^ 『標準病理学』
  25. ^ 『シンプル病理学』
  26. ^ 『標準病理学』
  27. ^ 『標準病理学』
  28. ^ 『スタンダード病理学』
  29. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  30. ^ 『スタンダード病理学』
  31. ^ 『シンプル病理学』
  32. ^ 『スタンダード病理学』
  33. ^ 『スタンダード病理学』
  34. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  35. ^ 『標準病理学』
  36. ^ 『スタンダード病理学』
  37. ^ 『標準病理学』
  38. ^ 『スタンダード病理学』
  39. ^ 『標準病理学』
  40. ^ 『標準病理学』
  41. ^ 『スタンダード病理学』
  42. ^ 『標準病理学』
  43. ^ 『スタンダード病理学』
  44. ^ 『シンプル病理学』
  45. ^ 『スタンダード病理学』
  46. ^ 『標準病理学』
  47. ^ 『標準病理学』
  48. ^ 『スタンダード病理学』
  49. ^ 『スタンダード病理学』
  50. ^ 『スタンダード病理学』
  51. ^ 『標準病理学』
  52. ^ 『スタンダード病理学』
  53. ^ 『スタンダード病理学』
  54. ^ 『標準病理学』、第5版、328ページ、
  55. ^ 『標準病理学』
  56. ^ 『スタンダード病理学』
  57. ^ 『標準病理学』
  58. ^ 『スタンダード病理学』
  59. ^ 『スタンダード病理学』
  60. ^ 『スタンダード病理学』
  61. ^ 『標準病理学』
  62. ^ 『標準病理学』
  63. ^ 『スタンダード病理学』
  64. ^ 『標準病理学』
  65. ^ 『シンプル病理学』
  66. ^ 『標準病理学』
  67. ^ 『スタンダード病理学』
  68. ^ 『標準病理学』
  69. ^ 『スタンダード病理学』
  70. ^ 『標準病理学』
  71. ^ 『標準病理学』
  72. ^ 『シンプル病理学』
  73. ^ 『標準病理学』
  74. ^ 『スタンダード病理学』
  75. ^ 『標準病理学』
  76. ^ 『標準病理学』
  77. ^ 『標準病理学』
  78. ^ 『スタンダード病理学』
  79. ^ 『標準病理学』
  80. ^ 『シンプル病理学』
  81. ^ 『標準病理学』
  82. ^ 『シンプル病理学』
  83. ^ 『スタンダード病理学』