経済主体とその活動
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経済は誰のもの?
[編集]経済は全ての人間のために存在する、全ての人間の共有物です。国会議員だけのものでも、社長だけのものでも、大人だけのものでもありません。なぜなら、経済を作っているのが全ての人間だからです。
経済主体
[編集]家計・企業・政府という3つの経済主体によって国民経済が成り立っています。国民経済は同じ経済体制をとる1国内での経済活動のことです。また、自国の国民経済と外国の国民経済が物や金の取引をすることを貿易といいます。
家計
[編集]家計は欲望の充足を図るために消費・貯蓄をする主体です。企業に労働や資本などを提供し、その対価として受け取る賃金や利子などの所得を貯蓄にまわしたり、企業が生産した財物を消費したりするのに使います。家計は、企業に比べ弱い立場にありました。そこで、アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソン(R. M. Nixon)は1969年の特別教書で消費者の4つの権利を提唱しました。
- 安全な商品を提供される権利
- 商品に関する情報を知らされる権利
- 商品を自由に選ぶ権利
- 消費者が意見を政策に反映させる権利
日本には消費者である家計を保護するために消費者保護基本法(1968年制定)があります。しかし、消費者保護基本法は表現が抽象的で、懲罰既定が無かったため他の先進国に比べて消費者保護行政に遅れをとりました。現在、製造物責任法(1995年施行)、消費者契約法(2001年施行)などの立法とともに、消費者保護行政や消費者教育が重要視されています。
消費者問題
[編集]食品・医薬品の欠陥は後を絶ちません。
安全な商品
[編集]商品の安全性を分かりやすく消費者に示すため、様々な基準が定められています。ただし、これらの基準が変わっても商品を販売できなくなるということはありません。
- 日本工業規格:工業標準化法(1949年制定)に基づく鉱工業製品の基準。合格するとJISマークをつけられる。
- 日本農林規格:農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(1950年公布)に基づく建材や加工食料品の基準。合格するとJASマークをつけられる。
- グッドデザイン賞:財団法人日本産業デザイン振興会が主催する。受賞するとGマークをつけられる。
- おもちゃの安全基準:社団法人日本玩具協会のおもちゃの安全基準(1971年制定)に基づく玩具の基準。合格するとST(安全玩具)マークをつけられる。
- ウールマーク:ザ・ウールマーク・カンパニー(国際羊毛事務局)が定めた国際基準。
消費者保護行政
[編集]企業
[編集]企業は生産をする主体です。家計から提供された労働や資本を活用して、財物の生産手段を組み立て、生産します。生産した財物は販売し、利潤を得ます。企業は利潤追求の度合いの強さ、あるいは公共性の高さから公企業・公私合同企業・私企業の3つに分けられています。
- 公企業:政府が出資・貸し付けをして設立した法人。
- 日本郵政公社、林野、国立印刷局。
- 公団:政府、地方自治体などが出資して設立する特殊法人形態の公共法人。日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団などで、多くは廃止・民営化が進められています。
- 地方公営企業:地方公共団体が経営する企業。上下水道、電気、交通、ガスの各事業や公立病院など。
- 公私合同企業
- 株式会社形態:日本たばこ産業株式会社(JT)、日本電信電話株式会社(NTT)、国際電信電話株式会社(KDD、現KDDI)など
- 特殊法人形態:日本銀行、日本赤十字社、
- 私企業
株式会社の仕組み
[編集]株式(株)を発行して資金を集める企業形態を株式会社といいます。株式会社では他の企業と異なり、必ず所有(所有者・株主)と経営(経営者)が分離されています。
世界で最初の株式会社は、17世紀にイギリスやオランダ、フランスに設立された東インド会社と見られています。東インド会社は東南アジアなどの地域で入手した香辛料を船でヨーロッパに運び売っていました。この船を建造するための資金が必要になったため、利潤を出資額に応じて出資者に分配する仕組みを編み出し、これを条件にした資金調達に成功したのです。もし利潤が無ければ出資者には分配金どころか出資金も帰ってきませんが、それ以上の損失はありません。これを有限責任といい、出資者を有限責任社員といいます。
現代では株式をできるだけ多くの人に購入してもらうため、ほとんどの株式のやりとりが証券会社を通されています。証券会社は顧客(株を買う人)の注文を受け株式市場で買い集めます。株式市場には、それぞれの株式市場の上場条件を満たした、株式を買ってもらいたいと思っている株式会社が上場しています。最近の株式市場は、制度変更やインターネット証券の普及から個人投資家が増加しており、株式会社側も自社の株式に対する個人投資家の見方を気にするようになっています。
大企業と中小企業
[編集]全国におよそ510万社ある企業のうち99.4%が中小企業です。w:中小企業基本法では中小企業を次のように定義しています。
資本金 従業員数 製造業 3億円以下 300人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 小売業 5000万円以下 50人以下 サービス業 5000万円以下 100人以下
なお、製造業・卸売業は20人以下、小売業・サービス業では、5人以下の企業を小規模企業者と定義しています。中小企業は下請け、輸出(繊維・雑貨・精密機械 等)、小売りをする企業が多く、現代経済には欠かせない存在となっています。しかし、大企業との間で所得・生産性・賃金面での格差が大きく、日本企業における二重構造として問題になっています。
*日本では、企業復興の名のもと、小泉内閣から1円株式会社、有限会社の廃止が決まった。
有限会社は存在してる有限会社は存命とし、社の改変は自己資金に基ずくものとし、
1円株式会社は、株式が1000万資本から1円に改変された。*
現代の企業
[編集]近年の企業の合併と買収(M&A、Mergers and Acquisitions)は、一部門の専門性を高めるため他部門を売ったり、不得意分野を買い入れるなどどちらの企業も得をすることが多くなっています。2005年には株式会社ライブドアによる株式会社ニッポン放送の合併と買収が注目を集めました。
企業の社会的責任
[編集]特に大企業には社会的責任(Corporate Social Responsibility)があるという考え方のもと、利潤を追求せずに社会的活動を行うことが求められています。アメリカ合衆国では企業の社会的貢献(フィロソピー(philanthropy))の一環として芸術・文化活動を支援する取り組み(メセナ(mecenat))が一般化しています。
政府
[編集]政府は経済活動を調整する主体です。家計と企業から租税を徴収し、教育・社会保障などの公共サービスを社会全体に提供します。また、租税の徴収により所得の再分配も行います。