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聖書ヘブライ語入門/複数/女性形・複数形の形成

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

6.4 女性形・複数形の形成

性・数を表すもっとも典型的な接尾辞は次の表のとおりである。

   単数 複数
男性 ־ִים -īm
女性 ־ׇה -ā וֹת -ōt

これらの接尾辞が付くと、これら自身が単語の主強勢を担うことになるので、 語幹の母音に変化をもたらす(例えば英語の politic[pɔ́lɪtɪk] + al → political[pəlɪ́tɪkəl] と似た現象)。冠詞の場合に述べたように(4.4.1)、ティベリア式母音符号のお陰で知ることのできるこれらの音変化は、意味とは関係ない。 テクストの意味を理解するためには、接尾辞を認定するだけで十分である。ここでは、音変化の代表的なものについてだけ、その規則を述べる。これらの音規則の多くは、性・数の接尾辞以外の接尾辞が付く際にも適用される。矢印の左側の型(この場合、男性・単数形の名詞)は接尾辞が付くと右のように変わる。C は子音、CC は二重子音、V は母音、VV は長母音である。例えば V(V) は V または VV、{CV} は C または V を表す。実例によって理解されたい。

節番号 変化 男・単 女・単 男・複 女・複
6.4.1 CVC → CVVC ṓb→ṭōb- טוֹב טוֹבׇה טוֹבִים טוֹבוֹת 良い
דׇּם דׇּמִים
קוֹל קוֹלוֹת 声(文法的には男性)
6.4.2 CC → CVCC 第二子音が喉音またはrならば→CVVC rb→rabb- רַב רַבׇּה רַבִּים רַבּוֹת 多い
rˤ→rāˤ רַע רׇעׇה רׇעִים רׇעוֹת 悪い
6.4.3 CāCVC → CəCVVC dābā́r → dəbār- חׇכׇם חֲכׇמׇה חֲכׇמִים חֲכׇמוֹת 賢い
זׇקֵן (זְקֵנׇה) זְקֵנִים זְקֵנוֹת 老いた
גׇּדוֹל גְּדוֹלׇה גְּדוֹלִים גְּדוֹלוֹת 大きい
עׇשִׁיר (עֲשִׁירׇה) עֲשִׁירִים (עֲשִׁירוֹת) 富んだ
6.4.4 CCV(V)C → CəCāC mlek →məlāk- מֶ֫לֶךְ מְלׇכִים
נַ֫עַר נְעׇרִים 若者
בֹּ֫קֶר בְּקׇרִים
סֵ֫פֶר סְפׇרִים 書物
6.4.5 CV{CV}CVC → CV{CV}CVVC ṣaddī́q → ṣaddīq- צַדִּיק (צַדִּיקׇה) צַדִּיקִים (צַדִּיקוֹת) 正しい
kōḵā́b → kōḵāb- כּוֹכׇב כּוֹכָבִים
6.4.6 CəCVC → CəCVVC bəḵṓr → bəḵōr- בְּכוֹר בְּכוֹרׇה (בְּכוֹרִים) בְּכוֹרוֹת 長子
בְּאֵר בְּאֵרוֹת 井戸(女)
6.4.7 CōCēC → CōCəC 'ōyḗb- אוֹיֵב אוֹיְבִים
כֹּהֵן כֹּהֲנִים 祭司
6.4.8 -C → -C e → yāp- יׇפֶה יׇפׇה יׇפִים יׇפוֹת 美しい
מַחֲנֶה מַחֲנִים מַחֲנוֹת 幕屋

6.4.1-2 の単音節語にはこの規則に従わず、しかも出現頻度の高い語が多い。既出の単語を含めて主なものを挙げると

אִישーאֲנׇשִׁים 人・男 אִשָּׁהーנׇשִׁים 女・妻 אׇמׇהーאֲמׇהוֹת 女奴隷 עִירーעָרִים 町

以下、本講座で単語を掲げるとき、複数形については、上記の規則から予測できない、いわゆる不規則な形だけを併記する。