聖書ヘブライ語入門/連語/連語形の形成
7.5 連語形の形成
7.3 の説明で察せられたと思うが、 例えば 7.1 の例文3 の חַכְמֵי לֵב は * חֲכָמִים לֵב の音変化の結果である。 既に見たように、女性形や複数形には不規則な形があるから、もし連語形の形成規則を男性・単数形だけを基本形として述べようとするならば、規則が複雑になり、「不規則形」をさらに増やす結果になる。何よりも実態に即さない。
音規則
7.5.1 女性単数接辞 -ā́ → -át ( ־ָה → ־ַת )
7.5.2 男性複数接辞 -ī́m → -ḗ ( ־ִים → ־ֵי )
7.5.3 無強勢の ē, ā → ə ( ־ֵ, ־ָ → ־ְ )
7.5.4 語末閉音節の ē, ā → a ( ־ֵ, ־ָ → ־ַ )
ただし CōCēC 型名詞では不変。
7.5.5 語末の e(h) → ē(h) ( ־ֶה → ־ֵה )
7.5.6 *CəCə → CiC( ־ְ ־ְ → ־ִ ־ְ ), *CaCə → CaC ( ־ֲ ־ְ → ־ַ ־ְ )
これら以外は原則として変化しない。
例(括弧内は適用規則):
יָשָׁר → * יְשָׁר (7.5.3) → יְשַׁר (7.5.4)
יְשָׁרִים → * יְשָׁרֵי (7.5.2) → * יְשְׁרֵי (7.5.3) → יִשְׁרֵי (yišrē) (7.5.6)
יְשָׁרָה → * יְשָׁרַת (7.5.1) → * יְשְׁרַת (7.5.3) → יִשְׁרַת (yišrat)(7.5.6)
אֲנָשִׁים → * אֲנָשֵׁי (7.5.2) → * אֲנְשֵׁי (7.5.3) → אַנְשֵׁי ('anšē)(7.5.6)
יָפֶה → * יְפֶה (7.5.3) → יְפֵה (7.5.5)
若干の、しかし出現頻度の高い名詞は、不規則な連語形を取るから、個別に記憶しなければならない。
בַּיִת → בֵּית 、 בָּתִּים → בָּתֵּי 、 בֵּן → בֶּן 、 אִשָּׁה → אֵשֶת 、 עָרִים → עָרֵי
以下、単語の説明においては、女性形、複数形の場合と同じく、上記の規則から予測出来ない不規則連語形だけを記載する。