聖書ヘブライ語入門/音節構造・アクセント・シェワー/アクセント/句読符号
表示
前述のようにティベリア式マソラ符号は,主に聖書の朗唱のためのものであるから,音調を示すための様々な「アクセント符号」を持つ.しかもその方式は,散文と韻文(箴言,詩篇,ヨブ記32-426とで部分的に異なり,かなり複雑である.しかし我々にとって重要なのは,これら「アクセント符号」によって,語アクセントの位置をしることができ,文の区切りが示されることである.その意味で重要な「アクセント符号を二つだけ挙げておく.
- 3.2.3.1 シルーク(סִלּוּק)
- 3.2.3.2 アトナハ(אַתְנָחָה)
シルークやアトナハの付いた語形は休止形と呼ばれ,丁度フェルマータ(fermata《休止》)の付いた音のように,次にくる小休止を予想して重々しく発音されるため,母音が長くなるなど,非休止形とは異なる形をとることが多い.例えば,
אֶ֫רֶץ 'éreṣ,
מַ֫יִם máyim,
לׇקַח lāqaḥ,
יֹאכַל yōḵal,
の休止形はそれぞれ、
אָ֑רֶץ ā́reṣ,
מָ֑יִם mā́yim,
לָקָ֑ח lāqāḥ,
יאׁכֵ֑ל yōḵēl,
となる。休止形はこのようにアトナハを付けて、示される。休止形では、母音が変わるだけでなく、アクセントが移動する場合もある。例えば、
אָנכִׁי 'ānōḵī́
נָ֣תְנׇה nā̀tənā́
וַיׇּ֫מׇת wayyā́mot
はそれぞれ、
אׇנ֑כִׁי 'ānṓkī
נׇתׇ֑נׇה nātā́nā
וַיׇּמֹ֑ת wayyāmṓt
に変わる.