著作権保護期間
凡例
[編集]- 著作権保護期間を満了して著作権が消滅し、公共財産となった「パブリックドメイン」を などと表示します。
- 著作者の没後70年後を と表示します。
- 著作者・著作物の個別の事例については と表示します。
著作権保護期間について
[編集]この記事では、ウィキペディアやウィキブックスなどで著作物を扱うに当たって理解が必須の著作権保護期間について説明します。
日本国内にサーバーがあるウェブサイトの場合
[編集]「青空文庫」などのように、日本国内にサーバーがあるウェブサイトで著作物を掲載する場合には、日本国の著作権法に従います。日本国の旧・著作権法(2018年12月29日まで有効)では、著作権の保護期間は、著作者の没年の50年後の年末をもって満了し、翌年1月1日からパブリックドメイン (著作権が消滅した作品)として扱うことができるようになっていました(ただし、映画の著作物は公表から70年)。#戦時加算とは も参照のこと。
TPP11(CPTPP)への対応
[編集]2018年(平成30年)12月30日、TPP11 (CPTPP)[1][2] の発効に伴い、それに対応した改正著作権法も発効し、1968年以降に亡くなった著作者の著作物は没後70年後まで保護されることになりました[3][4][5]。
米国内にサーバーがあるウェブサイトの場合
[編集]ウィキメディア財団が運営するウィキペディア、ウィキブックス、ウィキメディア・コモンズ、ウィキソースのように米国内にサーバーを置くウェブサイトは、米国の著作権法[6]に従います。米国法による著作権保護期間[7] はかなり複雑ですが、以下のようになっています。
- 1923年以前に米国で公表された著作物は、すでにパブリックドメイン 。
- 1924年~1963年に米国で公表された著作物は、著作権保護の手続 がなされている場合は、公表から95年後まで保護されます。
- 1964年~1977年に公表された著作物は、いずれも公表から95年後まで保護されます。
- 1978年以降に公表された著作物については、さらに複雑になりますが、実名で公表された著作物の多くは没後70年後まで保護されると考えられます[8]。
ウルグアイ・ラウンド協定法による「著作権の回復」
[編集]米国では、1995年1月1日にウルグアイ・ラウンド協定法(Uruguay Round Agreements Act)が施行され、1996年1月1日に「著作権の回復」(Copyright restorations)が行われました。これにより、日本などベルヌ条約などに加盟している国々における著作物で1996年(平成8年)1月1日の時点で著作権が消滅していない著作物で、米国においてかつて著作権が認められていなかった著作物についても米国での著作権が「回復」され、米国内においては著作物の公表から95年間は著作権が保護されるということになりました。
したがって、ウィキメディア財団が運営するウィキペディア、ウィキブックス、ウィキメディア・コモンズ、ウィキソースのように米国内にサーバーを置くウェブサイトにおいては、日本国の国内法で著作権保護期間を満了して となった著作物であっても、1996年(平成8年)1月1日時点で日本で著作権が有効であれば、米国では著作権が回復したとみなされて、公表から95年が経過するまで著作権が保護されると判断されることになる可能性があります。
- ウィキソースでは、1996年時点で日本で著作権が有効であれば、公表後95年後までは著作権侵害のおそれがあると判断されるようです[9]
戦時加算とは
[編集]戦時加算 [10][11] とは:日本が第二次世界大戦で交戦した国での著作物は、戦争状態にあった間は著作権が保護されなかったとみなし、その日数が通常の保護期間に加算されます。例えば、アメリカ・イギリス・フランス・カナダ・オーストラリアなど連合国における著作物については、日本が真珠湾を攻撃・宣戦布告した日(日本時間1941年12月8日)からサンフランシスコ講和条約が発効して戦争が終結した1952年4月28日の前日4月27日までの3,794日間(10年と約6か月)が戦争状態にあったとみなされて保護期間に加算されます[12][13]。
- 例えば、教育家・福祉事業家のヘレン・ケラーや推理作家のアイリッシュはアメリカ国民で、アメリカで著作を公刊しており、1968年(昭和43年)に亡くなっていますから、この方々の著作物は(今後の著作権法改正の影響を受けなければ)没後70年後に当たる2038年末日をもって保護期間を満了し、翌2039年1月1日から日本国内では となる予定と予想されます。しかしながら、この方々は第二次大戦前に著作を著していて大戦中は連合国の国民でしたので、日本に対しては戦時加算として3,794日間(10年と約6か月)が通常の保護期間に加算されますので、日本国内においては2049年5月21日まで著作権が保護されると判断されます。
- 例えば、教育家・福祉事業家のヘレン・ケラーや推理作家のアイリッシュはアメリカ国民で、アメリカで著作を公刊しており、1968年(昭和43年)に亡くなっていますから、この方々の著作物は(今後の著作権法改正の影響を受けなければ)没後70年後に当たる2038年末日をもって保護期間を満了し、翌2039年1月1日から日本国内では となる予定と予想されます。しかしながら、この方々は第二次大戦前に著作を著していて大戦中は連合国の国民でしたので、日本に対しては戦時加算として3,794日間(10年と約6か月)が通常の保護期間に加算されますので、日本国内においては2049年5月21日まで著作権が保護されると判断されます。
- サンフランシスコ講和条約を遅れて批准した連合国は、戦時加算日数が延びます[14]。
- ブラジル:1952年5月20日発効で、3,816日。
- オランダ:1952年6月17日発効で、3,844日。
- ノルウェー:1952年6月19日発効で、3,846日。
- ベルギー:1952年8月22日発効で、3,910日。
- 南アフリカ:1952年9月10日発効で、3,929日。
- ギリシャ:1953年5月19日発効で、4,180。
- また、ベルヌ条約の第3回改正(1928年、ローマ)を批准するのが日本の参戦より遅かった国々は、改正ベルヌ条約の発効日から起算するため、以下のようになります[14]。
- レバノン:1947年9月30日条約加盟~1954年1月6日(講和条約発効の前日)の2,291日。
- ニュージーランド:1947年12月4日条約改正批准~1952年4月27日の1,607日。
- パキスタン:1948年7月5日条約加盟~1952年4月27日の1,393日。
- ソビエト連邦(現ロシアなどCISの国々)や中華人民共和国、チェコスロバキア(現チェコ、スロバキア)は、サンフランシスコ講和条約を批准していないため、戦時加算の対象となりません。
- 第二次世界大戦の中立国[15] であったスイス、アイルランド、スペイン、ポルトガル、スウェーデンなどの国々も、戦時加算の対象となりません。
- 日本と同じ枢軸国[16] であったドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランド、タイなど、並びに枢軸国による傀儡政権なども、日本との間に戦時加算はありません。
著作者・著作物ごとの事例
[編集]- /作曲家・楽曲の事例 (2022-03-06)
- /ミステリ作家の事例 (2024-09-20)
- /SF作家の事例 (2024-09-20)
- /公表後95年の著作権切れ作品の事例 (2024-01-02)
脚注
[編集]- ^ TPP11について(内閣官房)
- ^ w:環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11、CPTPP)
- ^ 平成30年12月30日施行 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)の発効に伴う著作権法改正の施行について | 文化庁
- ^ 著作物等の保護期間の延長に関するQ&A | 文化庁
- ^ 著作権の保護期間の延長について(日本図書館協会)
- ^ w:著作権法 (アメリカ合衆国)
- ^ w:著作権法_(アメリカ合衆国)#著作権の保護期間
- ^ w:著作権法_(アメリカ合衆国)#著作権の保護期間 を参照。
- ^ s:Wikisource:削除依頼 を参照。
- ^ 著作権保護期間の戦時加算とは? JASRAC
- ^ w:戦時加算 (著作権法)
- ^ 戦時加算対象国および戦時加算日数一覧 - JASRAC
- ^ 文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第7回)議事録・配付資料 [資料8]-文部科学省
- ^ 14.0 14.1 戦時加算対象国および戦時加算日数一覧 - JASRACを参照。
- ^ w:第二次世界大戦の参戦国#主な中立国 などを参照。
- ^ w:枢軸国#枢軸国の一覧 などを参照。
関連項目
[編集]関連記事
[編集]- 英語版ウィキペディア
- w:en:Category:Public domain
- w:en:2028 in public domain
- w:en:2027 in public domain
- w:en:2026 in public domain
- w:en:2025 in public domain
- w:en:2024 in public domain(2024年(令和6年)に没後70年超でパブリックドメインになった著作者)
- w:en:2023 in public domain(2023年(令和5年) 〃 )
- w:en:2022 in public domain(2022年(令和4年) 〃 )
- w:en:2021 in public domain(2021年(令和3年) 〃 )
- w:en:2020 in public domain(2020年(令和2年) 〃 )
- w:en:2019 in public domain(2019年(令和元年)に没後70年超でパブリックドメインになった著作者)
- w:en:2018 in public domain(2018年(平成30年) 〃 )
- w:en:2017 in public domain(2017年(平成29年) 〃 )
- w:en:2016 in public domain(2016年(平成28年) 〃 )
- w:en:2015 in public domain(2015年(平成27年) 〃 )
- w:en:2014 in public domain(2014年(平成26年) 〃 )
- w:en:2013 in public domain(2013年(平成25年) 〃 )
- w:en:2012 in public domain(2012年(平成24年) 〃 )
- w:en:2011 in public domain(2011年(平成23年) 〃 )
- w:en:2010 in public domain(2010年(平成22年) 〃 )
- w:en:2009 in public domain(2009年(平成21年)に没後70年超でパブリックドメインになった著作者)
外部リンク
[編集]- Public Domain Composers - No Copyright(作曲家の著作権保護期間満了年を記載)