薬理学/小児・妊婦・高齢者などの薬物療法

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小児[編集]

小児や乳幼児は、けっして「小さな成人」ではなく、

たとえば 乳幼児の血漿タンパク質は、成人型のアルブミンとは異なり、乳幼児の血漿タンパク質の主成分は胎児性タンパク質である。

また、新生児では胃液のpHが pH 6~8 とほぼ中性である。しかし、生後3ヶ月あたりで胃液は大人と同様にpH1.5~2になる[1]


さて、それとは別に、乳幼児や小児は、肝臓などでの薬物の代謝能力が未熟である。

小児に対する薬の適切な投薬量は、 もし小児・幼児での充分な治験データのある場合にはそれを用いればよいが、 しかし特にそうした実験結果の無い場合には、 体重・年齢などから、換算する。


実情では、乳幼児や小児は、治験のデータが成人と比べて乏しいのが現状である[2]


特に乳幼児の治験データはとぼしく、小児の治験データから外挿的に類推するのが現状である。


さて、学問的には、あまり生物学的には理論が整備されておらず、 経験則的に、下記のアウグスバーガー式などの式を用いて、投薬量を決めるのが普通である。


Augsberger式


小児投薬量の計算の基本テクニックは、上記のアウグスバーガーの式であり、多くの薬理学書でアウグスバーガー式が紹介されている。

※ シンプル薬理学、標準薬理学、高校看護科の平成14年検定教科書『基礎看護医学1』、などなどでアウグスバーガー式が紹介。


もうひとつ、ハルナックの換算表が、よく紹介される。

※ 標準薬理学だと、目立たないが、53ページ目の下部の表3-4に 「von Harnack表」がある。
ハルナック換算表
年齢   1/4 歳   1/2 歳   1 歳   3 歳   7.5歳   12 歳   成人 
成人量に
対する比
  1/6  1/5  1/4  1/3  1/2  2/3  1

ハルナック換算表の見方は、たとえば1歳児への投薬なら、成人の投薬量の4分の1を投薬すればいい、という意味である。

※ 上記ハルナック表の数値は、『シンプル薬理学』に準拠した。『標準薬理学』では、1/4歳のかわりに「未熟児」および「新生児」の項目がある。


この他の式として、

ヤング式

Young式

※ 『シンプル薬理学』でヤング式が紹介


Crawford式

※ 『標準薬理学』でクロウフォード?式が紹介


などがある。

薬物動態には血中薬物濃度がつよく影響するが、当然のこととして血液量が、血中薬物濃度に影響する。

しかし、血中薬物濃度を算出するのは、かなり困難である。


そこで、間接的に、対表面積や体重などの別の指標から、血液量を推測する方法が考えられている。


特に学問的には、体表面積が血液量によく比例する事が知られている。

しかし体表面積も測定するのは、臨床の場では、容易ではない。(まして、血液量そのものを測定するのは、さらに困難である。)


※ アウルグスバーガー式がよく臨床では用いられているようである。なので、どこの教科書でも紹介されているのだろう。
『標準薬理学』は、アウグスバーガー式は、体表面積によく比例しているのだと、提唱している。

小児への投薬量の計算でよくい指標にされるのは、測定しやすいかはともかく、年齢・体表面積・体重、である。身長は指標にされてない[3]


妊産婦[編集]

胎児[編集]

胎盤には「血液胎盤関門」なるものがあるとも提唱されているが、 しかしこの関門はあまり強いものではなく、下記のものは胎児に移行してしまいやすい。

  • 分子量が低い(600以下[4])の物質は、胎児に移行しやすい。
  • 脂溶性の物質は、胎児に移行しやすい。
  • 塩基性の物質[5]は、胎児に移行しやすい。
  • 血中タンパク[6]との結合率が低い物質は移行しやすい。

薬理学において、妊娠の期間は、大きく3つの期間に分けられる[7]

※ 『シンプル薬理学』では4期に分類しており、妊娠16週0日 ~ 分娩が2分割されている。

受精 ~ 妊娠3週6日

この器官は、通常、母体への薬物の影響は胎児には表れない。

しかし、残留性のあるワクチン(風疹生ワクチン、金製剤など)には注意が必要である[8]



妊娠4週0日 ~ 15週6日

この時期には、催奇形性のリスクが高まる。 特にこの期間の前半は、催奇形性のリスクが高い。

そもそもこの時期の前半(妊娠4週0日~妊娠7週0日[9]まで)は、胎児において心臓や消火器、中枢神経など重要な器官の形成される時期でもある[10]

※ 『シンプル薬理学』だと、妊娠7週6日を前半・後半の境界としており、時期に少々の差異がある。



妊娠16週0日 ~ 分娩

この時期になる前に、すでに胎児の重要器官の形成は終わっている。

したがって、妊娠16週以降、大きな催奇形性は表れない。

しかし、この時期は胎児の組織が発育・成熟していく期間である。

なので、薬物により胎児の発育に悪影響が出ないように、注意しなければならない。


授乳[編集]

次のような物質は、母乳に移行しやすく、注意が必要である。

  • 分子量が低い(200以下[11][12]
  • 脂溶性
  • 塩基性
  • 血中タンパク[13]との結合率が低い物質
※ おおむね、胎児に移行しやすい物質の条件と同じだが、分子量が異なっているのに注意。


高齢者[編集]

※ 未完成で、内容が大きく不足しています。

一般に高齢者は慢性疾患を多く抱えており、すでに複数の薬物を医薬品として服用している事に留意しなければならない。 このため、薬物間の相互作用に注意する必要がある。


また、高齢者は腎臓や肝臓などの機能が低下している。 そのため薬物が排泄されずらい。


また、上述の要因のため、高齢者では副作用が発現しやすいと考えられている[14][15]


クレアチニン・クリアランスの式

  

女性の場合、算出 C cr 値を0.85倍する[16][17]。つまり、女性の値は男性の85%である[18]

分母の CR は、血清クレアチニン値である。

左辺の C crは、クレアチニンクリアランスである。


脚注[編集]

  1. ^ 『標準薬理学』
  2. ^ 『標準薬理学』
  3. ^ 小山岩雄『超入門 新 薬理学』、照林社、2006年5月10日 第1版 第1刷発行、P23
  4. ^ 『標準薬理学』
  5. ^ 『標準薬理学』
  6. ^ 『シンプル薬理学』
  7. ^ 『標準薬理学』
  8. ^ 『シンプル薬理学』
  9. ^ 『標準薬理学』
  10. ^ 『標準薬理学』
  11. ^ 『標準薬理学』
  12. ^ 『シンプル薬理学』
  13. ^ 『シンプル薬理学』
  14. ^ 『NEW薬理学』、P587
  15. ^ 『シンプル薬理学』
  16. ^ 『シンプル薬理学』
  17. ^ 『標準薬理学』
  18. ^ 『シンプル薬理学』