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薬理学/感染症の治療薬

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

「抗菌薬」と言った場合、細菌をやっつける薬のこと。ウイルスをやっつけるかどうかは不明。

ウイルスをやっつける薬には、「抗ウイルス薬」という専用の別の呼び方がある[1]

抗菌薬

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MIC

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ある抗菌薬の「抗菌力」は、どうやって測定するかというと、寒天または液体培地に抗菌薬を接種したとき、 微生物の発育を阻止するのに必要な抗菌薬の濃度を「抗菌力」としているので、その濃度を測定すればいい。

薬物が微生物の発育を阻止するのに必要な最低限の濃度のことを最小発育阻止濃度MIC)という。

MICが小さいほど、抗菌力が強い[2]

抗菌スペクトル

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抗菌薬はその種類により、どの種類の病原微生物に効果があるか異なる。 なので、ある抗菌薬が、主な病原細菌の一覧について、どれに有効でどれに無効かを表などの一覧にしたものを抗菌スペクトルという[3]抗菌スペクトラム[4]ともいう。

抗菌スペクトルでは、細菌を対象としており、ウイルスは対象にしていない[5][6]

医学書によくある説明では、「抗菌スペクトルとは、抗菌薬がどの細菌に有効かの範囲を示したもの」のように「有効」とか「範囲」とかの用語で説明されるが、要するに上述の意味である。

抗菌薬の原理

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たとえば、ヒトには細胞壁が存在しないが、細菌には細胞壁が存在するものも多い。したがって、細胞壁を標的として攻撃する薬物は、細菌のみを選択的に攻撃できる。このように、抗菌薬などが薬物がヒト以外の病原体や微生物だけを攻撃する性質のことを選択毒性という。

選択毒性は、ヒトと細菌との違いさえあればいいので、なにも細胞壁だけでなく、たとえば葉酸の合成の可否の違いでもいい。

ヒトは葉酸を合成できない。しかし、細菌には葉酸を合成できるものもある。

なので、葉酸の合成を阻害する薬は選択毒性が高い。

そして実際に、抗菌薬として葉酸合成を阻害する機序の抗菌薬もある。


一方、(細胞ヘキではなく細胞マクの)細胞膜の合成を阻害する原理の抗菌薬もある。ヒト細胞にも一般の動物細胞にも細胞膜があるので、必ずしも選択毒性は低くない[7]。だが、様々な理由により、細胞膜合成阻害の方式による抗菌薬も使われている。

グラム染色

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上述したとおり、細胞壁を攻撃する薬物は選択毒性いが高いので。抗菌薬として都合がいい。

細胞壁を構成する主な成分はペプチドグリカンである。

細菌の分類について抗菌薬や微生物学では、細菌をグラム陰性菌かグラム陽性菌かで分類する事が多い。


グラム陽性やグラム陰性とは、グラム染色という染色法によって分類される。

グラム陽性菌とグラム陰性菌とで、細胞壁構造が異なる。ペプチドグリカン層などの厚さに違いがある。 ペプチドグリカン自体は、グラム陽性菌もグラム陰性菌も細胞壁に保有している。

なお、グラム陰性菌は膜に脂質が比較的に多い[8][9]


分類と概要

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細胞壁合成阻害薬

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※ 未記述.

各論

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概要

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細胞壁合成阻害薬には、βラクタム系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質、その他がある[10]

βラクタム系抗生物質

そのβラクタム系抗生物質は、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、カルバペネム系抗生物質、ペネム系抗生物質、モノバクタム系抗生物質に分類される。

βラクタム系の抗生物質は、いずれも分子内のβラクタム環を有しているので、そう呼ばれている。

このβラクタム構造が、細胞壁の合成を阻害するので、抗生物質として機能している[11][12]


では、なぜβラクタム構造が細胞壁の合成を阻害するのかというと、細胞壁のペプチドグリカンにあるD-Ala-D-Alaという構造が、βラクタム構造に似ているが微妙に違う構造なので、 似ているので細菌に取り込まれるが、しかし構造が違うので細胞壁が壊れるという仕組みだと考えられている[13]


グリコペプチド系抗生物質

グリコペプチド系の主な抗生物質としては、バンコマイシンや類似薬のテイコプラニン[14][15]などがある。

バンコマイシンはMRSAの特効薬として用いられる。耐性菌として、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が出現している。

機序としては、細胞壁合成の前駆体の D-Ala-D-Ala に結合することで、阻害する[16][17]

※ 『標準薬理学』と『NEW薬理学』で、 D-Ala-D-Ala との結合前後の過程について、若干の食い違いアリ。


細胞壁合成阻害薬

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βラクタム系抗生物質

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ペニシリン系抗生物質
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ペニシリン系の抗生物質は、6-アミノペニシラミン酸を基本骨格としている。

ペニシリナーゼという酵素によって天然ペニシリンは分解されるので、ペニシリナーゼをもつ種類の細菌には天然ペニシリンは無効である。


天然ペニシリン

歴史的に初めて臨床応用された天然ペニシリンは、ベンジルペニシリンであり、ペニシリンGともいう[18]

ペニシリンが有効な対象は、

グラム陽性菌では肺炎球菌、レンサ球菌、ブドウ球菌、に有効[19][20].
グラム陰性菌では淋菌[21]、スピロヘータに有効[22][23].
グラム陰性桿菌には無効である[24][25]


広域ペニシリン

アモキシリンアンピシリンが代表的であるが、他にも広域ペニシリンの抗生物質はある(下記のビペラジリンやクロキサシシンなど)。

アモキシシリンはヘリコバクター・ピロリの除菌にも使用される。

ビペラジリンは緑膿菌に有効[26][27]

クロキサシリンは、ペニシリン耐性菌に有効[28][29]。なお、ここでいうペニシリン耐性菌に有効の意味とは、つまりペニシリナーゼをもつ細菌でも抗菌活性が低下せずに有効という意味であり、つまりクロキサシリンはペニシリナーゼ抵抗性である[30]

※ この他、過去にメチシリンというのもあったが、すでに製造中止[31]


セフェム系抗生物質
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セフェム系は、化学構造などから、7-アミノセファロスポラン酸を基本骨格とするセファロスポリン系と、セファマイシン系と、オキサフェム系とがある。

※ 『標準薬理学』と、『パートナー薬理学』・『NEW薬理学』とで、セファマイシン系とアキサフェム系との説明が食い違っている。

どういう細菌に有効かは薬剤の種類が多いので一概には言えないが(※ 『標準薬理学』と『はじめの一歩の薬理学』しか言及しておらず、しかも微妙に説明の食い違いアリ)、第一世代セファム薬といわれるものに関しては、グラム陽性菌と一部のグラム陰性菌に有効であるとされている[32]

なお、セファム系抗生物質は第1世代~第4世代に分類されているが、明確な定義にもとづくものではなく、便宜的な分類に過ぎない[33]

副作用として過敏症などがあるが、ペニシリン系よりかは発生頻度が低い[34][35]


セファロスポリン系
  • 第一世代セフェム系

ペニシリン系抗生物質はペニシリナーゼという酵素によって無効化されてしまうので、ペニシリナーゼをもつ細菌にはペニシリンは無効である。なので歴史的には、ペニシリン系以外の他の系統の抗生物質が必要とされた。

セファロスポリンCという天然物は、ペニシリナーゼに抵抗性のある抗生物質である。

このセファロスポリンCを改良して、さらに抵抗力などを高めたものが、セファロチンセファゾリンなどである。

しかし、セファロスポリン系第一世代薬はセファロスポリナーゼ[36](セファロスポリナーゼ型β-ラクタマーゼ[37])という酵素によって分解されてしまう。緑膿菌はセファロスポリナーゼをもつので、第一世代セフェム系は緑膿菌には無効。


なお、セファロチンやセファゾリンは注射用。経口用はセファレキシン、セファクロル[38][39]

  • 第二世代セフェム系

大腸菌や肺炎桿菌などのグラム陰性桿菌への抗菌活性が強化されているセフォチアムなどがある[40][41]

しかし、緑膿菌には第二世代は無効である[42]

セフォチアムは注射用。経口用はセフォチアムヘキセチル[43][44]


  • 第三世代セフェム系

定義に諸説ある[45]。 第三世代セフェム系には、淋菌[46]に有効なものもあるし、緑膿菌に有効なもの(セフタジジムなど)もある。

グラム陽性菌に対する抗菌作用は低下しているのが普通[47][48]。 黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用は低下している[49]。(黄色ブドウ球菌はグラム陽性である[50]。)

注射用はセファタキシム[51]。経口用はセフジニル、セフジトレンピボキシル、セフカペンピボキシルなどがある[52][53]


  • 第四世代セフェム系

セフェピム、セフピロムを第四世代に分類する場合もある[54][55]。(第三世代に分類する場合もある[56]

なお、セフェピム、セフピロムはともに注射用である[57][58]


セファマイシン系
※ 未記述. 文献ごとに説明の食い違いアリ。
オキサフェム系
※ 未記述. 文献ごとに説明の食い違いアリ。
カルバペネム系抗生物質
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抗菌スペクトルは比較的に広く、グラム陽性、陰性の好気性、嫌気性の細菌に幅広く有効[59]

ペニシリナーゼやセファロスポリナーゼ型-βラクタマーゼにも抵抗性がある[60]

(しかし、その裏返しとして、)もし耐性菌が発生してしまうと、他の全てのβラクタム系抗生物質でも無効であるので[61]、かなり厄介。そして近年、実際にカルバペネム系に抵抗する耐性菌が出現してしまっている[62]

なお、カルバペネム系抗生物質に対する耐性菌は、メタロ-βラクタマーゼという酵素を産生することで、カルバペネム系抗生物質を分解する[63]

ペネム系抗生物質
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ファロペネムがある。なお、日本でファロペネムは開発され、世界初のペネム系抗生物質である[64]

ファロペネムはβ-ラクタマーゼおよびDHP-1で分解されない。

なおファロペネムは経口薬である。緑膿菌には無効[65]


モノバクタム系抗生物質
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現在市販されているのは、アズトレナオムのみである[66]

(かつてはカルモナムという別の薬もあった。)

アズトレナムとカルモナムは、β-ラクタマーゼで分解されない。


抗菌スペクトルは狭く、好気性のグラム陰性菌に有効である。

グラム陰性菌である緑膿菌にも有効[67]

グリコペプチド系抗生物質

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ホスホマイシン

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ホスホマイシンは腸管性大腸菌 O-157 の第一選択薬である。

機序は、細胞壁のペプチドグリカンの合成の初期段階の阻害でる。ペプチドグリカン合成の働く酵素に結合する事で阻害する[68]

ピルビン酸トランスフェラーゼと結合する[69]ことで、ペプチドグリカン合成を阻害している[70]。 UDPサイクルを阻害する。

※ 『NEW薬理学』にだけ「UDPサイクル」という用語が出てくる。ググって調べたら、薬剤師国家試験で出てくる用語らしいですね。標準薬理学には無いので、つまり医師国家試験ではガン無視されている用語かと。


葉酸代謝阻害薬

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テトラヒドロ葉酸は、プリンやチミンなどの核酸塩基の合成に必要である[71][72]

サルファ薬が、葉酸合成を阻害するので、抗菌作用を示す[73]

そもそも、細菌における葉酸の生合成の経路の順序は、

まず、パラアミノ安息香酸とプテリジン前駆体が結合して、ジヒドロプテリン酸ができる。
つづいて、そのジヒドロプテリン酸にグルタミン酸が結合して、テトラヒドロ葉酸が出来る。

という順序である。

サルファ薬は、葉酸合成の最初の段階でパラアミノ安息香酸と拮抗するので、ジヒドロプテリン酸の生成を阻害する。

スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤(「スルファメトキサゾール-トリメトプリム合剤」、「ST合剤」という)が、抗菌薬として使われる。

副作用として、サルファ薬は血中アルブミンと結合するので副作用として高ビリルビン血症があり、そのため新生児の核黄疸を引きおこすので、妊婦や乳児にはサルファ薬は禁忌である[74][75]

タンパク質合成酵素阻害薬

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動物細胞のリボソームと細菌のリボソームには違いがある。なので、細菌のリボソームを標的として抗菌薬は、選択毒性が高い[76]

ヒトを含む動物のリボソームのタンパク沈降係数が 80S であるのに対し、原核生物のリボソームでは 70S であり、この差の理由は構造が異なるのが理由である[77]

なお、細菌の沈降係数 70S の内訳は、50S のサブユニット と 30Sのサブユニット の結合である。細菌の、最終的な沈降係数が足し合わせた数(50+30=80)にならない理由は、沈降係数というのはそういうものだからである[78](つまり、計算ミスではない)。

なお、真核生物のミトコンドリアのリボソームは細菌由来であるため 70S である[79]

※ ヒトおよび動物には、ミトコンドリアのリボソ-ムとは別に、もう一種別のリボソームがある。というか、ミトコンドリアのほうが、宿主の動物のリボソームとは別に独自のリボソームをもっている、と言ったほうが近い。


タンパク質合成酵素阻害薬で具体的には、クロラムフェニコールテトラサイクリン系抗生物質ストレプトグラミン系抗生物質、などがある。

クロラムフェニコール

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クロラムフェニコールは、細菌の沈降係数 50S のリボソームサブユニットに結合する[80][81]

クロラムフェニコールは、腸チフス、パラチフス、サルモネラに対する第一選択薬である[82][83]

副作用として、肝機能などの薬物代謝機能の未熟な新生児では、グレイ症候群(灰色症候群)が現れやすい。


テトラサイクリン系抗生物質

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テトラサイクリンは、環の4つ直線状につながった構造が基本骨格になっている。(けっして「4員環」ではない。「4員環」とは、炭素が4つからなるC4化合物の環のこと。テトラサイクリンの1つ1つの環は6個の炭素Cからなるので、6員環である。パートナー薬理学に「4員環」という表記があるが誤植・誤記だろう。)

テトラサイクリン系抗生物質には、テトラサイクリン、ドキサイクリン、ミノサイクリンなどがある。マグネシウム、カルシウム、鉄、などと不溶性[84]・難溶性[85][86]のキレート化合物を作る[87]。つまり、どうやら2価および3価の金属とキレート化合物を作るようである[88][89]

テトラサイクリン系抗生物質は、腸管からの吸収に優れているので[90]、内服できる[91][92]

なので、これらの金属を含む制酸剤や鉄材と併用すると吸収が低下する[93][94]。また、牛乳でも吸収が低下する[95][96]

骨や歯のカルシウムとキレートを作る可能性がある。テトラサイクリン系抗生物質は吸収物などが母乳や胎児にも移行するので[97]、前述のカルシウムの沈着やその他にも肝障害[98]などの副作用も報告されているので、乳幼児や妊婦には避けるべきである[99]。なお、この抗生物質は歯を着色させ[100]、黄変させる[101]

テトラサイクリン系抗生物質の機序としては、どうやら30Sリボソームと結合しているらしい。(※ 『標準薬理学』と『パートナー薬理学』とで、説明が食い違っている。なお『NEW薬理学』はどのリボソームとどう結語してるかは全く言及せず静観を決め込んでいる。)

テトラサイクリン系抗生物質は、リケッチア、マイコプラズマ、クラミジア、などに有効である[102][103]。なお、β-ラクタム系抗生物質やアミノグリコシド系抗生物質は リケッチア、マイコプラズマ、クラミジア、 には無効である[104]


その他、貧血患者が治療のために鉄剤を使っている場合が多いので、その場合はキレートに注意[105]

※ 医学部むけの教科書では貧血との関連には言及しておらず、看護学書でしか言及していない。ザ・縦割り教育の弊害なのか、あるいはアメリカ教科書の猿真似か。


ストレプトグラミン系抗生物質

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ストレプトグラミン系抗生物質としては、キヌプリスチンダルホプリスチンの合剤が日本では使われている。グラム陽性菌およびバンコマイシン耐性腸球菌[106][107](VRE)の一部[108]に有効である[109][110]


リンコマイシン系抗生物質

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「リンコサミド系抗生物質」ともいう[111]リンコマイシンクリンダマイシンなどがある。

クリンダマイシンのほうが抗菌力だけなら強い[112][113]。しかし、様々な理由で、リンコマイシンが使われる場合もある[114]

ペニシリン系やセファム系などβ-ラクタム系[115]の抗生物質の効果がみられない場合に、リンコマイシン系抗生物質の投与が試みられる[116][117]

沈降係数 50S リボソームに結合することで、阻害している[118][119]


オキサゾリジノン系抗生物質

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※ 標準薬理学 P431 と『はじめの一歩の薬理学』 P280 にしか書いてない。

オキサゾリジノン系抗生物質としては、リネゾリドなどがある。グラム陽性菌に対しては、比較的に有効。グラム陰性菌には、ほとんど無効。MRSA、 VRE にも用いられる。


合成抗菌薬

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キノロン系

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オールドキノロン

ナリジクス酸はキノロン系では世界で最初に開発された抗菌薬であり、多くのグラム陰性桿菌に有効であるが、緑膿菌とグラム陽性菌には無効である。

その後、ナリジクス酸よりさらに抗菌スペクトルの広い薬を目指して、緑膿菌にも有効なピロミド酸ピペミド酸が開発された。

ナリジクス酸、ポロミド酸、ピペミド酸など、これらの薬をキノロン系または以降の興発薬との対比で「オールドキノロン」という。

現代では、キノロン系の薬物の機序は、細菌に特有のDNAジャイレースとトポイソメラーゼIVという機構の阻害だという事が分かっている。


ニューキノロン

キノロン系薬の化学構造にフッ素を導入したものをニュ-キノロンまたは「フルオロキノロン」という。

キノロン系・ニューキノロン系の副作用として、光線過敏症が報告されている。

機序はオールドキノロンと同様。


抗結核薬

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結核菌は、膜にミコール酸という脂質が厚く含まれているなど、やや特殊な構造の細菌である。そのため、上述の既存の抗菌薬が効きづらい。

結核菌のほか、ハンセン病のらい菌が同様に、ミコール酸を豊富に含む細菌であり、結核菌と らい菌 とをまとめて「抗酸菌」という。 結核菌とらい菌は、「抗酸染色」と言われる染色法で陽性に染色されるので、そういった分類をされている。


抵結核薬には、イソニアジドストレプトマイシン、リファンピシン、エタンブトール、などがある。これらの薬剤の一種類の単独投与では耐性を獲得しやすいとされているので、多剤を併用するのが標準的である。 いも イソニアジドはビタミンB6と結合するらしく[120]、患者のビタミンB6欠乏に注意する必要があるので、ビタミンB6を補充する[121]


ストレプトマイシンは、アミノグリコシド系抗生物質であり、グラム陽性菌や一部のグラム陰性菌にも有効であるが、結核菌にも有効である。


リファンピシンは、DNA依存性DNAポリメラーゼを阻害する。


エタンブトールは作用機序が不明[122]。副作用として視神経障害。耐性菌が速やかに出現する[123][124]


プラジナミドは、イソニアジドと併用される[125][126]


その他、サイクロセリンなどの抗結核薬がある。

※ ハンセン病の治療薬については、『標準薬理学』しか紹介してないので、本wikiでは省略。


抗真菌薬

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概要

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いわゆる「カビ」や「キノコ」が真菌である[127]。真菌は真核生物である。

われわれ人を含む脊椎動物などの高等生物の細胞も(「真菌」ではないが)真核細胞である。

一方、細菌は、真核生物ではなく、原核生物である。

よって、真菌は細菌よりも、高等生物により近い。


このため、抗真菌薬にのみ高い毒性を示す薬の開発は難しい[128][129] 。 つまり、選択毒性の高い薬の開発は、抗真菌薬では難しい[130]

なぜなら、真菌の細胞は原核生物の細胞よりも、高等動物との共通点が多いからである。

もし例外的に真菌に高い選択毒性を示す薬は、あっても少ない[131]

しかし幸運なことに、一般に真菌の病原性は弱い。だが、患者の免疫力が低下している場合は、真菌に感染する場合もある[132][133]

免疫抑制薬などの使用により免疫が低下している場合もある[134]。免疫力が低下している場合は、真菌の感染によって死亡の結果になる致死的な場合もある。

このように、健康な免疫力の普通の人には無害であっても、免疫の低下している人は害をもたらす感染のことを「日和見感染」という。


真菌には、カンジダ属、クリプトコッカス属、アスペルギルス属、などがある。


アゾール系

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真菌ラノステロールというステロイド[135]の一種の、C-14 脱メリル酵素を阻害する[136][137]

ラノステロールは、真菌の細胞膜のエルゴステロールの合成に必要なので、上記のようにラノステロールを阻害することで真菌を阻害できるという仕組み。

しかしヒトや高等動物の薬物代謝酵素チトクロムP450[138](CYP)も阻害されてしまうので、副作用あり。特にCYP3AとCYP2C9がアゾール系との親和性が高いので疎外されやすい[139]


アゾール系抗真菌薬は分類として、さらにイミダゾール系とトリアゾール系に分類される。

イミダゾール系としては、ミコナゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、クロトリマゾール、などがある。


トリアゾール系としては、フルコナゾール、イトラコナゾール、などがある。


ポリコナゾールは、アスペルギルス属に有効[140][141]


CYP3Aに対する阻害作用は、イミダゾール系のほうが(トリアゾール系よりも)強い[142][143]


ポリエン系

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アムホテリシンBなどのポリエン系抗生物質は、真菌膜細胞のステロール(エルゴステロール[144][145])と結合して、膜機能を障害し、その結果、殺菌的に作用する[146][147]

しかしヒト細胞のステロールにも結合してしまうので、選択毒性は低い[148]

ほとんどの真菌に有効であり[149]抗菌スペクトルは広いが[150]、副作用が強い。腎毒性が高い[151][152]

このため、他の抗真菌薬が無効な場合にのみ、重篤な深在性真菌症に対して使用される[153][154]

アスペルギルス属、クリプトコッカス属、カンジダ属に有効である[155]


キャンディン系

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真菌、細菌、植物には、ヒトには存在しない多糖類をいくつか持っており[156]、それらの多糖類が細胞壁の成分になっている場合もある。

このヒトにはない多糖類の合成酵素を阻害する薬物として、ミカファンギンカスポファンギンなどがあり、 まとめてキャンディン系といわれる。キャンディン系薬物により、真菌の細胞壁の合成が阻害される[157][158]。新旧で言えば、キャンディン系は、比較的に新しく開発された種類の薬である[159][160]

アスペルギルス症やカンジダ症などに用いられている[161][162]


抗ウイルス薬

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ウイルス感染症の治療薬には、抗ウイルス薬といわれるものと、それとは別にワクチンがある。 つまり、「ワクチン」と「抗ウイルス薬」とは異なる。

たとえばアシクロビルという抗ウイルス薬は、ヘルペスウイルスDNAポリメラーゼという酵素を阻害する。


ヘルペス治療薬

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アシクロビルの機序は、アシクロビルはヘルペスウイルスに特有のチミジンキザーゼによってリン酸化されて一リン酸化され、 さらに宿主のキナーゼによって三リン酸化されて活性化される。

そして(宿主の)細胞に取り込まれて、DNAポリメラーゼを阻害する。

感染していない正常細胞には取り込まれないはずなので、ウイルスに対する選択的な毒性をもつはず[163]と考えられている。

アシクロビルは、ヘルペスウイルスのほか、水痘・疱疹ウイルスの治療薬としても使われる。


パラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグである。


ファムシクロビル

近年[164]承認されたファムシクロビルは、ペンシクロビルプロドラッグである。ペンシクロビルは、単純ヘルペスウイルス、水痘・疱疹ウイルスに有効[165]


ビダラビン

上記のほか、ビダラビンという別の種類の抗ヘルペス治療薬もある。ビダラジンはウイルスのDNAポリメラーゼを選択的に阻害する[166]。 (アシクロビルとは機序が異なるので、)アシクロビルに耐性のウイルスでもビダラビンなら有効の場合もある[167]


その他のヘルペス治療薬

機序はそれぞれ異なるが、イドクスウリジン[168]、がある。

アメナベビルは帯状疱疹にのみ有効[169]


サイトメガロウイルス治療薬

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ガンシクロビル、バルガンシクロビル

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サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスである[170]

ガンシクロビルはアシクロビルと類似の構造を有する[171][172]

ガンシクロビルはヘルペスウイルスに有効であり、特にサイトメガロウイルスに著効を示す[173]

作用機序はアシクロビルと同様、チミジンキナーゼによってリン酸化された活性型(ガンシクロビル三リン酸[174][175])がDNAポリメラーゼを阻害することにより[176][177]、 ウイルスDNAの複製を阻害する。

バルガンシクロビルはガンシクロビルのプロドラッグである。


ホスカルネット

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ホスカルネットは他の抗ウイルス薬とは構造が異なり、ホスカルネットはピロリン酸誘導体である[178]

ホスカルネットは、DNAポリメラーゼに結合して、直接的[179]にDNA合成を阻害することにより、抗ウイルス作用を示す。


抗インフルエンザウイルス薬

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インフルエンザウイルスには型がA型とB型とC型[180][181]の3種類がある。 このうち、ヒトに感染して症状を出すと言われているのはA型とB型である。

これまでに世界的流行を10年起きくらいに繰り返しているのはA型のほうである[182]

アマンタジン

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アマンタジンリマンタジンはインフルエンザウイルスA型のみに有効である。B型には無効である[183][184]


ノイラミニダーゼ阻害薬

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ザナミビルラニミルビルオクタン酸エステルオセルタミビルペラミビルはインフルエンザウイルスA型とB型に有効である。

オセルタミビルなどの機序としては、ノイラミニダーゼ阻害剤である。これらの薬物はシアル酸のアナログ(類似構造)である[185]

なお、一般名タミフル(オセルタミビル)、一般名リレンザ(ザナミビル)、である[186]

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬

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2018年には新薬として、インフルエンザA型およびB型のもつキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を選択的に阻害するという新規の作用機序をもつパロキサビルが発売された[187][188]


抗 肝炎ウイルス薬

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肝炎の治療では、下記の抗ウイルス薬のほか、インターフェロンというタンパク質群が用いられる。ポリエチレングリコール(PEG、ペグ)に結合させたインターフェロンを用いるので、ペグインターフェロンともいう[189][190]

※ パートナー薬理学ではP342に肝炎治療の説明あり。

なお、インターフェロンは、もともと、ウイルス干渉の因子、つまり、2種のウイルスに感染させた場合に一方の発育が抑えられる因子として発見された[191]。インターフェロンは抗癌剤としても使われるが、感染症にも有効であり、C型肝炎の治療で使われる。

そして現在ではインターフェロンについて、ヒト細胞など動物細胞が産生するサイトカインの一種であることが分かっている。

※ サイトカインと、植物ホルモンの「サイトカイニン」とは全く異なる。字面が似てるだけ。
※ インターロイキンとインターフェロンは別物。

サイトカインの定義はあまり明確ではないが、よく炎症にともなって分泌される、抗体以外のタンパク質の事を言う。(なお、T細胞やB細胞などはタンパク質ではないので、サイトカインには含めない。)インターフェロン、インターロイキン、ケモカイン、TGF増殖因子[192]、などがサイトカインであると分類される。

なお、B型肝炎はDNAウイルスである。C型肝炎はRNAウイルスである。

※ このため、有効な治療薬もB型とC型とでは違うと考えられる。

B型肝炎の治療薬

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B型肝炎の治療には、ラミブジン[193]エンテカビルアデホビルなどを用いる。

B型肝炎ウイルスはDNAウイルスであるが、逆転写酵素をもつ[194][195]。(一般的に、RNAウイルスが逆転写酵素をもつ場合が多い。なのでB型肝炎ウイルスのようなのは、マズらしい。)

ラミブジンは逆転写酵素阻害薬としての作用によって、肝炎を治療する原理である。

C型肝炎の治療薬

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C型肝炎の治療には、リバピリンがインターフェロンと併用して用いられている[196][197]

※ 『パートナー薬理学』ではB型肝炎にもリバピリンと言っているが、『パートナー薬理学』でしか そう言ってないので、本wikiでは経緯が分からないので不採用。
※ リパピリンの機序は省略。文献不足なので。『標準薬理学』、『パートナー薬理学』に説明はあるが、あまり共通点が無いので。

抗HIV薬

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ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はRNAウイルスである。

HIVは変異しやすく、そのためワクチンの開発は困難なのが現状である[198]

また、化学療法的に抗ウイルス薬を使うにしても、1種類の抗ウイルス薬だと耐性菌がすぐに出現してしまうので、複数の抗ウイルス薬をうまく組み合わせて投与してい必要がある。

カクテル薬剤的に、いろいろな治療薬を片っ端から併用するのって、よく重病(HIVだけでなくエボラ熱などでも)の治療薬開発で報道されますけど、 でも耐性ウイルス、耐性菌にはどうなんでしょうかね?

カクテルの濫用をしたら、すべての既存の治療薬が無効な耐性病原体を出現させるだけな気がするのですが・・・

しかしHIV治療薬では、こういう視点は無い。科学者は論文さえ書ければ、そして製薬会社は儲かれば、耐性ウイルスに既存の薬剤が無効になって凶悪化しても気にしないのかしら。 応急処置としてはカクテル的な「全部混ぜた」的な薬も必要でしょうけど、慢性治療としてはカクテルは耐性の問題が懸念されるような・・・。

耐性ウイルスを防ぎたいなら、カクテルではなくて定期的に治療薬を交代する方式にして、ウイルスに体内環境のゆさぶりを掛ける方式にすべきだと思うのですがね・・・(季節の夏→冬の変化による蚊の死滅や、政権交代による権力腐敗の適切みたいに、環境を変えていく事で下等な生物や下等な思想は滅ぼせる。)

もちろん、薬理学書では、そんな方式の検証すら言及されてないから、本コラムは薬学者の能天気ぶりにキレてるから慇懃無礼なワケでして。


なぜこんな事を言うかというと、下記のようなマスコミ報道を思い出したから、である。1990年代あたりのマスコミ報道だが、HIV治療薬ではなく抗生物質の耐性菌の話題だが、

昔のお昼番組か夕方番組のワイドショーか何かのマスコミ報道で、今からすれば珍説・珍論の類だが「新型の抗生物質を積極的に使えば、耐性菌が減らせる。なのに耐性菌をおそれて、医者は新薬を使いたがらない」みたいな珍論を、当時はまじめそうな報道としてコメンテーターなどの発言として聞いたことがある。

もちろん、歴史的にはそんな薬理現象は起きず、つまり2020年代の現代でも医療では各種の耐性菌や体制ウイルスに悩まされている。耐性菌を生じさせない種類の抗生物質なんて、今のところ、薬理学では知られていない(少なくとも『標準薬理学』やら『NEW薬理学』『パートナー薬理学』などの薬理学書に書いてない)。


なので、例えば『はじめの一歩の薬理学』P288には、「ART開始後は、耐性ウイルスの出現を防ぐため、服薬率100%をめざす必要がある」とあるが、意味が分からない。そもそもウイルスって絶滅できるのか?

幼少時に皆が罹患する「みずぼうそう」ウイルスであるヘルペスウイルスですら、人類は体内ですら絶滅できてないのに?(体内でヘルペスウイルスが眠っているだけ。)なぜ、はるかに難しいだろうHIVを体内から絶滅できるつもりなのだろうか?


なので、例えばパートナ-薬理学,P491 には「HIV特異的プロテアーゼ阻害薬は、HIV耐性発現を阻害するため、ジダノシンなどの逆転写酵素阻害薬と併用して用いられている」という記述があるが、 意味が分からない。もしそのジダノシンとやらに耐性をもつHIVが出現したらどうするつもりか?なぜジダノシンに対する耐性出現は無視できるのか、なんの説明も無い。


しかし幸運なことに、HIV治療薬は、逆転写酵素阻害薬のうちの「ヌクレオシド系」だけに限定しても、 ラミブジン、アバカビル、テムホビル、エムトリシタビン、など最低4種類以上はある。

この他の原理の異なる別方式の治療薬でも、最低でも それぞれ3~4種類くらいの治療薬があるので、複数の原理の異なる方式の治療薬を併用しても、 それぞれ原理から治療薬を1個だけ選んでいれば、もし耐性ウイルスが出現しても、残りの未投与の治療薬で対応できる可能性がある。

まあ、国(製薬の本場のアメリカ合衆国は、植民地・日本の宗主国)からすれば、HIVは空気感染しないので、さっさと凶悪な耐性ウイルスを体内で出現させて患者には死んでもらったほうが安上がりなのでしょうね。 カクテル方式のほうが人件費も安く済んで、単純だし。なので、まともに耐性ウイルスの問題の論理的欠陥について研究されていないのでしょう。

逆転写酵素阻害薬

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逆転写酵素阻害薬は、ウイルスのRNA依存性DNAポリメラーゼを阻害することで、HIVのRNA複製やタンパク質複製などを阻害することにより、HIVの増殖を抑制する。

逆転写酵素阻害薬には、ヌクレオシド系(NRTI)と、非ヌクレオシド系(NNRTI)の二種に大別される。

ヌクレオシド系では、ジドブジンが代表的である。 そのほかヌクレオシド系では、ジダノシン、ラミブジン、エムトリシピン、アバカビル[199][200]、などがある[201][202][203]


非ヌクレオシド系では、エファビレンツ、ネビラビン、デラビレンツ、デラベルジン、エトラビリン、などがある[204]


インテグラーゼ阻害薬

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インテグラーゼ阻害薬は、逆転写酵素により生成されたHIV由来のDNAが宿主のDNAに挿入されるのを防ぐ。 インテグラーゼ阻害薬にはラルテグラビルなどがある。

※ インテグラーゼ阻害薬は比較的に新しい方式らしく(『NEW薬理学』に、「インテグラ-ゼの阻害薬であるラツテグラビル(raltegravir)が承認された」という文言がある)、医学書ではよく、プロテアーゼ阻害薬の次の項目でインテグラーゼ阻害薬が書いてある。(「承認された」なんて、古い薬には使わないだろうし.) だが本wikiでは、機序の関連性を考えて、逆転写酵素阻害薬の次の単元としてインテグラーゼ阻害薬を紹介した。未来の教育への先読み予想である。予想が当たればいいが。


プロテアーゼ阻害薬

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HIVにかぎらず、多くのウイルスで[205]、プロテアーゼという酵素がウイルスにより産生され、mRNAで翻訳されたタンパク質を切断することで、ウイルスタンパク質が生産されている。

プロテアーゼ阻害薬はこの工程を阻害するので、ウイルスに有効である。

HIVに有効なプロテアーゼ阻害薬としては、リトナビル、インジナビル、サキナビル、ホスアンプレナビル、などがある。


CCR5受容体遮断薬

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HIVはT細胞に感染することで、免疫破壊をするので、感染者が免疫不全になる病気である。

という事はつまり、T細胞への感染を防ぐ事でも治療になるわけだ。

HIVはT細胞に感染する際、T細胞にあるケモカイン受容体CCR5[206][207] と相互作用をしている。

マラビロクという薬物が、このCCR5へのHIVの結合を防ぐことによりHIVを抑制する作用をもつ。

しかし、CCR5と相互作用しないで感染する種類のHIVもあるようであり、なので投与の前にCCR5指向性の有無の確認が必要である[208]

脚注

[編集]
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  2. ^ 『パートナー薬理学』、P517
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