軍事入門/はじめに

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
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本書は軍事問題や軍事研究に関心を寄せる初心者諸氏のための入門書であり、軍事に関する基本的な概念や知識、思考法を習得させることが狙いである。

その意義は特に日本においては大きいと思われる。何故なら日本においては戦前においては天皇の統帥権の保護によって、また戦後においては教育における平和主義・反軍主義によって軍事に関するあらゆる事柄を知ることすら悪として具体的な議論がされないままに忌避されてきた。それゆえに知的な関心ですら軍事を研究することがタブー視されており、日本における軍事研究は自衛隊でのみ行われ、一般の市民が学ぶ環境が十分ではない。しかしながら、世界平和について深く考えるときに軍事についての知識は絶対に不可欠なものであることは明らかであり、それを欠いては観念論や理想論にとどまってしまい、現実の問題解決や冷静な状況の分析に繋がらないと断言できる。それほどに戦争や軍事問題というものは適切な知識が必要な複雑な問題であるのだ。

ただし本書はあらゆる暴力行為や武力紛争を肯定するわけではなく、非人道性や軍国主義を嫌悪するものであるということは明確に示しておかないとならないだろう。特に軍事専門家、またはそれを志す人にとっては、専門家として一般の市民や政策決定者に助言・解説・提言を行う立場をわきまえて、均衡の取れた良識と適切な思考が重要であることは言うまでもない。軍事知識を政治的に悪用してはならない。

本書を通じて軍事に対する知的な好奇心を満たし、また軍事について深い理解を得ることができ、そしてそれが戦争に対する理性的な態度を養うことができれば幸いである。