軍事入門/戦いの精神

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本章では統率論、軍事心理学の内容について触れ、以後の学習の導入とする。

理性と攻撃性[編集]

米海軍の特殊部隊の森林戦訓練。特殊部隊では通常部隊の兵士よりも戦闘ストレス耐性が強く、理性的でありながらも攻撃的な行動をとることが出来る特別な人材が採用されている。

実戦を経験した兵士たちは戦場特有の心理状態を経験している。それは戦闘の中で強いストレスに晒され、兵士たちの反応速度が鋭敏になり、敵を殺し、生き残ることに精神活動の全てが集中する。戦いの精神はこのような戦いの環境において求められる精神である。これは生きる意志に基き、強靭で理性的な攻撃性で構成されるものである。つまり、戦いでは平静さを保って激しい感情を抑制し、結果を気にしすぎることなく自然に攻撃に反応しなければならない、ということを述べている。これは戦場においては常に殺戮と破壊が起こりうる環境で、無秩序と混乱を解決し、問題を解決しなければならない軍人という職業には必ず必要な精神の能力である。

軍人の精神[編集]

中世日本の武士であった宮本武蔵は「兵法の道において、心の持ちようは、常の心に替わる事なかれ。常にも兵法の時にも、少しも変わらずして、心を広く直にして、きつくひっぱらず、少しもたるまず、心のかたよらぬように、心をまん中におきて、心を静かにゆるがせて、其ゆるぎのせつなも、ゆるぎやまぬように、能々吟味すべし」と戦いの哲学を論じている。また戦いの精神の重要性は世界の優秀な部隊の標語にも現れている。英陸軍特殊空挺部隊の「勇気ある者が勝利する」、米海兵隊の「つねに誠実であれ」、デルタフォースの「奇襲、迅速、攻撃性」、カナダ空挺部隊の「我らは勇気を以って戦う」など表現は様々だが戦闘精神の重要性を示している。

戦闘精神と心理学[編集]

ファイル:Burning Viet Cong base camp.jpg
ベトナム戦争においては多くの兵士が厳しい戦闘で戦闘ストレス障害を発症した。

精神と行動の関係についての心理学の研究は20世紀以降から行われるようになり、意思決定・問題解決能力や各種知能、意欲、睡眠、精神ストレスなどとの関係性が明らかになったのは最近である。戦いの精神は士気やリーダーシップととても深い関係があり、効果的なチームワークを発揮するためには欠かせない要素だ。また困難の環境でも軍人として任務を遂行するためには戦闘ストレスに耐性が必要である。戦闘ストレスは様々な精神障害が発生し、短気や依存症、強迫観念、無感動、鬱、記憶障害などの症状を引き起こす。

演習問題[編集]

  1. 軍人として求められる資質を三つ以上挙げて、どのような局面でその資質が発揮されるのか説明せよ。
  2. 例えば短気や無感動などの戦闘ストレスによって引き起こされる精神障害は任務を遂行する上でどんな支障があるのかを述べよ。