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電気回路理論/補償の定理

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

補償の定理(compensation theorem)もやはり、重ね合わせの理から導かれる、線形回路一般に成り立つ定理である。

補償の定理

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電圧源、電流源、抵抗からなる2端子回路がある。いま、この回路の端子が短絡されているときに、電流が流れているとする。このとき、端子間を短絡する代わりにある抵抗Rを接続すると、端子間を流れる電流はもちろん、2端子回路中の各枝の電流や電圧も変化するはずである。この変化分は、2端子回路中の電源を全て除去し、その上で2端子間に抵抗と直列に電圧源を挿入したときに各枝に流れる電流や電圧と等しくなる。これを補償の定理とよぶ。

証明

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例題

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補償の定理と双対な定理

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電気回路の双対性を用いて、補償の定理と双対な定理として次も成り立つ。 補償の定理で、抵抗をコンダクタンスに、電圧源を電流源に、短絡を開放に、また文中の電流と電圧を入れ替えると、次のようになる。

電流源、電圧源、コンダクタンスからなる2端子回路がある。いま、この回路の端子が開放されているときに、電圧が現れているとする。このとき、端子間を開放する代わりにあるコンダクタンスGを接続すると、端子間電圧はもちろん、2端子回路中の各枝の電圧や電流も変化するはずである。この変化分は、2端子回路中の電源を全て除去し、その上で2端子間にコンダクタンスと並列に電流源を挿入したときに各枝に流れる電圧や電流と等しくなる。

これが補償の定理と双対な定理である。これもやはり、重ね合わせの理によって証明することができる。