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電気回路理論/直列と並列

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

直列と並列

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ここでは回路素子は2端子を前提とする。 複数の回路素子が同じ経路の上に順番に配置されているような接続を直列(serial)接続といい、複数の回路素子が両端を共有して複数の経路に分かれるように配置されている接続を並列(parallel)接続という。

直列接続においては経路が共通で、途中で電流の発生・消失がないので、それぞれの回路素子に流れる電流は全て等しい。一方、並列接続においては両端を共有しているのでそれぞれの回路素子にかかる電圧が全て等しい。

また、直列接続においてはそれぞれの回路素子にかかる電圧の和が直列接続全体に加わる全電圧となり、並列接続においてはそれぞれの回路素子を流れる電流の和が共有する両端間を流れる全電流となる。

以上で述べたことは後述する電気回路理論/キルヒホッフの法則から得られる結論である。

双対性

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双対性(duality)とは数学、物理学のいわゆる数物系と呼ばれる領域でしばしば用いられる概念である。 双対性が具体的にどのような事を指すかは対象分野により異なる。電気回路理論も電磁気学の応用であるので双対性が現れる。 双対性そのものについて電気工学分野では適した解説が見られないので他分野から引用すると、 1つの対象に対し2つの等価な記述法が存在する[1]、 対象AとBの間で何らかの手続きで一方から他方が構成できる[2]、 とする説明を見つけることができる。

電気回路理論においては次に示すものが双対性、双対関係の例である。

  • 電流 - 電圧
    電気が流れるという現象に関して、電荷を流し込む電流現象(電流源)を発源と見るか、電荷に移動する力を及ぼす電位差(電圧)を発源と見るかの立場の違いである。
  • 抵抗 - コンダクタンス
  • インピーダンス - アドミタンス
    電気が流れる量的関係として、電荷が流れる量に比例して電圧降下が起こると見るか、電荷に移動する力を及ぼす電圧(電位差)によって電流が流れると見るかの立場の違いである。
  • 直列 - 並列
    電気が流れるエネルギーの保存に関して、経路と電流が共通の場合と、接続点と電圧が共通の場合の違いである。
  • 短絡 - 開放
    電源の除去に関して、電圧源では短絡により電圧0が実現でき、電流源では開放により電流0が実現できる。
  • T型回路 - π型回路(Y型回路 - Δ型回路)
    三端子回路におけるモデル間の表式の変換である。(直流回路の計算法にて詳述)
  • ノートンの定理 - 鳳-テブナンの定理
    等価電源回路を電流源として表現するか、電圧源として表現するかの立場の違いである。
    など