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高校化学 亜鉛

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

亜鉛

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亜鉛 Zn は周期表12族の元素であり、原子は価電子を2個もち、2価の陽イオンになりやすい。

亜鉛の単体は、銀白色の金属である。 亜鉛は両性元素であり、酸とも塩基とも反応して水素を発生する。たとえば塩酸と水素を発生しながら反応して塩化亜鉛になる。

また、強塩基の水酸化ナトリウムと反応し、水素を発生してテトラヒドロキソ亜鉛(Ⅱ)酸イオンを生じる。

酸化亜鉛
酸化亜鉛
  • 用途

たとえば、一般的な乾電池の負極は亜鉛板でできている。 また、鉄板に亜鉛をメッキした板はトタンと呼ばれ、屋根やバケツなどに用いられる。

亜鉛の化合物とイオン

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亜鉛に塩酸を加えると先に見たように、水素を発生しながら溶け、塩化亜鉛 () を生じる。塩化亜鉛は水に溶ける物質で、水溶液中では亜鉛イオン () として存在している。 この亜鉛イオン水溶液に水酸化ナトリウム水溶液またはアンモニア水を少量加えると、水酸化亜鉛 () の白色ゼリー状沈殿を生じる。

しかし、これに水酸化ナトリウム水溶液またはアンモニア水を過剰量加えると、沈殿は溶けて無色透明の水溶液となる。水酸化ナトリウム水溶液ではテトラヒドロキソ亜鉛(Ⅱ)酸イオン () を生じ、アンモニア水ではテトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオン () を生じる。

アンモニア水を過剰に加えて弱塩基性とした亜鉛イオン水溶液に硫化水素を通じると、硫化亜鉛 () の白色沈殿を生じる。

酸化亜鉛

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酸化亜鉛 は白色の粉末で、水に溶けにくく、白色絵の具の顔料として用いられる。 は両性酸化物であり、塩酸にも水酸化ナトリウムにも溶ける。

酸化亜鉛は亜鉛華(あえんか)とも呼ばれ、白色顔料などに用いられる。

硫化亜鉛

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亜鉛イオン を含む水溶液を中性または塩基性にして、硫化水素を通じると、硫化亜鉛 の白色沈殿が生じる。

硫化亜鉛は夜光塗料などに用いられる。