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高校化学 銅

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

(Cu)は赤色の金属光沢をもつ金属である。展性・延性に富み、電気伝導性・熱伝導性が大きいことから、電線、調理器具、装飾品等、幅広く用いられている。

緑青に覆われた自由の女神
緑青に覆われた自由の女神

銅は空気中で風雨にさらされると緑青(ろくしょう)と呼ばれる青緑色のさびを生じる。たとえば名古屋城の屋根や、アメリカの自由の女神などは緑色をしているが、これは緑青によるものである。

(※ 範囲外? )緑青について、第二次大戦前のかつては、緑青は毒性が強いと考えられていた。しかし、戦後、動物実験などによる検証の結果、緑青に毒性はほとんど無いことが分かった。

製法

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銅の鉱産資源は、化合してない単体が産出することもあるが、ほとんどは黄銅鉱()などの鉱石として産出する。 銅の鉱石を加熱してニッケルや金などの不純物を含む粗銅(そどう)を作り、これを電解精錬することにより純度の高い銅が得られる。電気精錬では、硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電解液として、陽極には粗銅板を、陰極は純銅版として電気分解をすると、陽極の粗銅が溶解して銅(Ⅱ)イオンを生じ、陰極には銅が析出する。

陽極:
陰極:

陽極の下には溶液に解けなかった不純物がたまる。これを陽極泥といい、金や銀などを回収することができる。

化学的な性質

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銅は塩素と激しく反応して、塩化銅(Ⅱ)を生じる。

銅はイオン化傾向が小さく、希硫酸や塩酸には溶けない。しかし、硝酸や熱濃硫酸(濃硫酸に加え加熱したもの)といった酸化力の強い酸には溶けて、銅(Ⅱ)イオンを生じる。

希硝酸:
濃硝酸:
熱濃硫酸:


水溶液の性質

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銅(Ⅱ)イオン水溶液
銅(Ⅱ)イオン水溶液

銅(Ⅱ)イオン()水溶液は青色をしている。これに水酸化ナトリウム水溶液、またはアンモニア水を少量加えると、水酸化銅(Ⅱ)()の青白色沈殿を生じる。

これに、さらにアンモニア水を過剰に加えると、テトラアンミン銅(Ⅱ)イオン を生じて溶け、深青色の水溶液となる。

化合物

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酸化物

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水酸化銅(Ⅱ)を加熱すると、黒色の酸化銅(Ⅱ)()を生じる。

酸化銅(Ⅱ)は黒色であるが、高温で加熱すると赤色の酸化銅(Ⅰ)()となる。

酸化銅(Ⅱ) 酸化銅(Ⅰ)
酸化銅(Ⅱ) 酸化銅(Ⅰ)

硫化物

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銅(Ⅱ)イオン水溶液に硫化水素 を通じると、硫化銅(Ⅱ) の黒色沈殿を生じる。

硫酸銅(Ⅱ)五水和物
硫酸銅(Ⅱ)五水和物

銅と硫酸の化合物である硫酸銅(Ⅱ)五水和物()は青色の結晶である。水に溶かすと青色の水溶液となる。これを加熱すると白色の硫酸銅(Ⅱ)無水物 の粉末となるが、水を加えると再び青色となる。この反応は水の検出に用いられる。

水の検出
水の検出

銅の合金

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銅は、さまざまな合金の原料である。

黄銅(おうどう、ブラス)とは、銅と亜鉛との合金である。
青銅(せいどう、ブロンズ)とは、銅とスズとの合金である。
白銅(はくどう)とは、銅とニッケルとの合金である。
洋銀とは、銅と亜鉛とニッケルの合金である。
黄銅 青銅 白銅
黄銅(金管楽器) 青銅(ブロンズ像) 白銅(100円玉)
十円硬貨は銅に、亜鉛3%と錫2%を含む青銅である。
五円硬貨は黄銅である。五円硬貨の質量は 3.75 g であり、これは一(もんめ)に等しい。
五百円硬貨には洋銀が使われている。