高校生活ガイド/部活と学業
背景
[編集]私立の進学高校で起きている事
[編集]まず、背景として、大学で起きている事を説明します。
理科系の大学では、基本、「部活などに入っても良いが、しかしプロなどを目指して練習する時間は無い」みたいな事を、入学当初のガイダンスなどで習います。
大学とは何かを勘違いして「大学ではロック・ミュージシャンを目指してバンド活動しよう」とか考えていた新入生は(エレキギターとかの興味で、私大の工学部に入ってしまう子がいたりする)、なるべく、そういう音楽系の学校に入りなおす事を入学当初のガイダンスなどで進められたりします。皮肉ではなく、実際に理系の大学というのは、そういう場所なのだと、大学教授が教育するのです。
医歯薬系などの学部も同様です。また、文科系でも、司法試験や公務員試験などの合格を志望する人の多い法学部でも同様です。
そして、なぜそんな理系大学信勝との距離感を高校生活のページで説明するかと言うと、もう既に、私立高校の進学校でも、まるで理系大学のような部活との距離感が、半分ほど発生しているから、です。ただし、全国大会などに出るような強豪校は別です。そうでない進学校の話です。
比喩として理系大学を出しましただけに過ぎませんので、果たして原因が理系大学への進学ブームなのか、それとも別の要因なのかは(たとえば不況など)、知りません。とりあえず、報告としては上記です。
別に「見習って、部活と距離を置け」と言っているわけでもないし、「距離を置くのが良い」とも言っていません。良いかどうかは知りません。ただ、すでにもう上述のように、私立進学高校を中心に、まるで理系大学での部活のような半分ほどの距離感が、もう高校でも発生しています。もう完了形です。未来表現ではなく、完了形なのです。
高校の部活の問題点
[編集]放課後探究や課外探究など
[編集]探求学習のためには、自分の興味ある分野を積極的に調べる必要があります。高校のなかには、夏休み[1]や放課後[2][3][4]などの課外活動でも探求しています。
「私大のAO入試(今は「総合型選抜」と言う)の対策のために部活動をしているのに、その部活動のせいで、探求学習が大してできず、不利になってしまった」なんて事にならないよう、調節をしてください。
例外として公式大会で全国大会の出場などをねらえる強豪校などでないかぎり、探求学習の時間の確保を忘れてはいけません。決して「放課後を全部、部活で使ってしまい、図書館で調べ学習のための本を借りる時間が無い」なんて事にならないようにしてください。
なお、トーナメント戦の公式大会では、原理的に半数は1回戦で敗退します。「一回戦敗退」と聞くとなんとなく弱そうに見えますが、しかし実は半分の人数の参加者は初戦の1回戦で敗退して終わるのです。2回戦敗退までに、なんと当初の参加者の75%もが敗退します。
世間の人はどうも、部活に対する労力の投資効率を勘違いしている感じがします。どうも、「自分たちのチームが平均的な強さなら、4回戦くらいまでは進むだろう」みたいに世間は錯覚していそうです。しかし違います。平均的な強さのチームは、1回戦~2回戦で敗退なのが、トーナメント方式の原理です。
また、これを読んでいる学校教育関係者は、もし自校の部活の時間が長大な場合、考え直してください。
「歴史部」とか「科学部」みたいな部活そのもので探求を行う部活ならば別ですが、そうでない野球部とか吹奏楽部とか言った探究を行わない部活については、昭和のような長時間の部活のままでは問題です。
探究をする場合、決して単に読書をするだけではなく、さらにそれをレポートにまとめて体系的かつ分かりやすく説明できなければいけません。このため、時間が掛かります。
また、探究の大会イベントがあります。生徒は可能なら、地域などの教育団体や受験産業や私大の主催する「探究コンテスト」などに応募するのも良いでしょう。また、教師側は、生徒にそういう大会の存在を教えなければいけません。
生徒の側も、自分で少しはどのような大会があるかを調べる必要があります。昨今の高校の先生は忙しいので、生徒側が自分で積極的に調べる必要があります。
放課後講座や放課後補習など
[編集]- 私立の「放課後講座」・「校内予備校」
上記の放課後探究とは別に、進学校では、放課後に英語や数学などの講座が週に1日ずつ(英数で合計2日の放課後ぶん)開講されている場合もあり[5]、そもそもの部活の時間数が、私立進学校は元から少ない仕組みなのです。
ほか、英検対策ゼミを放課後ゼミとして行っている私立高校もあります[6]。英検の準1級や2級が昨今の私立大学入試では求められますので、最初から高校側がそういうのの勉強時間をゼミとして確保しているのです。
「校内予備校」と呼んでいる私学もあります。千葉県にある、私立の日体大の付属高校には、校内予備校があります[7]。
なお、東京では、そういうのは少ないようです[8]。地方の私立進学高校のほうが多いらしいです。
東京は交通事情などが地方と違うので、学校の1日のタイムスケジュールも地方と違うのです(そもそも朝の授業開始が30分~1時間おくれてたりします)。
- 私立の放課後補習
ほか、他校でも、定期テスト以外に小テストがたびたびあり、成績の悪い人には放課後などに補習があります(放課後補習)。もし定期テストの結果が悪くなると、推薦の要件である評定平均の基準が満たせなくなるので、現代の進学校の高校では、こういう補習が昭和よりも多いのです。テスト前に補習をみっちりやって、推薦のための評定平均を確実に確保させるのです。
こういった放課後探究や放課後補習などのため、進学校では、そもそもの部活の日数そのものが他校よりも少ないのが正体なのです。
現代の総合型選抜や公募推薦の要件として、評定平均が要求されます(たとえば通知表の5段階評価で4.0以上とか要求されます)。また、評定平均のつけかたは、昭和は相対評価でしたが(「4」以上はクラスの何割の人数までとか昭和の時代では人数制限があった)、現代では絶対評価に変わっていますので、5段階評価で4以上の成績を取る人が多くても現代では問題ありません。
この評定平均の水準もまたトンデモであり、高校偏差値のどんなに低い 高校偏差値37高校の評定平均4.0以上でも出願条件の一つをクリアできてしまいます。逆に、高校偏差値のとても高い、高校偏差値70台の進学校での評定平均4.0以上をもし生徒が満たせないと、総合型選抜に出願できなくなってしまうのです。つまり、出願条件では高校偏差値に関係なく、同等に扱われてしまいます。
高校偏差値30台の底辺高校が、生徒に英語ばかりを勉強させて英検だけ2級や準1級ととらせれば、あとの国数理社などの教科はザルな定期テストでもいいので全科目で評定平均4.0以上をとらせれば、難関大学の出願条件クリアになってしまうのです。
進学校は対抗のため、なんとしても4.0以上を生徒に取らせる必要があり、だから補習 三昧(ざんまい)で、定期テストで高得点を確実にとらせるのです。でないと、高校偏差値37の生徒に、総合型選抜の枠がうばわれていまいます。
「低偏差値高校と高偏差値高校とで、別々の定期テストを受けているのに、総合型選抜の出願基準で要求される評定平均が同じ数値」という不公平があります。そして負担を負うのは、高偏差値高校の側です。
本来、底偏差値高校と進学校の定期テストは、まったく別々の難度の定期テストなのですから、大学側は本来、定期テストの難度や要求される習熟度に応じて、出願条件にある評定平均の基準値を変えるべきですが、しかし大学側はそれを怠っています。
部活の制度は、まだロクにインターネットも何も無かった、ネットで調べられなかった時代の遺物なので、現代のAO入試などの受験制度に対応しておらず、決して放課後をフルに部活に投入してはいけません。
私立進学校によっては、こういった放課後講座や朝課外や夏期講習・冬期講習などが(任意ではなく)全生徒に必修です。もし講習に出席をしないと反省文などが課されます[9]。強制課外です[10]。こうする事で、講習を事実上の授業とする事ができ、進度をとてつもなく早くする事ができます。「受験は団体戦」という思想です。
- 中高公式の夏期講習・春期講習
私立の中高が、無料の夏期講習や春期講習を(在校生だけが対象)、学内に用意している場合もあります[11]。
- 予備校・塾と連携した授業動画
私立では、予備校や塾などと提携していて、授業動画を作らせている所もあります。「情報」科目などで、予備校などに授業動画を作らせている場合もあります。
学校の授業とは別に、家などで生徒が授業動画を見る場合もあります。
学校では、実技などを中心に行う、という仕組みです。こうする事で、学校では設備を活用して実習も出来るし、一石二鳥、という仕組みです。
このように、(予備校との連携教材により)そもそもの授業時間そのものが実質的に長い、という仕組みもあります。
法的には、情報Iは2単位です。一部の私立では、動画教により、実際の授業を聞く時間が、学校授業と予備校教材の時間を合計すると、実質的に3単位や4単位ぶんの時間だったりするのです。
法的には学校での教育ではないので、塾・予備校のぶんは授業ではないのですが(なので法的には「講習」とか「講座」とかの呼び方になるだろうか)、しかし実態は塾・予備校による授業の延長・拡張です。こういう現象が、私学では起きています。
こうすれば、生徒が、自分でいちいち書店などで情報科目の参考書をえらぶ負担も減らせます。
もう一度いうと、私立は授業時間そのものが、塾・予備校の動画教材の支援を借りることで、実質的に単位数オーバーをしています(単位数が多い分には問題ない。未履修問題には ならない)。授業時間そのものが、予備校・塾との連携をした動画教材により、実質的に延長・拡張された長い授業となっているのです。
- コースによって土曜日授業の有無の異なる高校
「特進コース」、「進学コース」、「総合コース」という複数個のコースのある高校だと、
土曜日は形式的には休日としているが、実際には特進コース向けで希望者向けの「補習」などの名目で、特進コース用の土曜授業があったりします[12]。
進学コースおよび総合コースなどでは部活を重視していて、野球とか吹奏楽とかの大会の成績を重視している生徒がいるので、学校全体としては「土曜日」をとりあえず形式的には「休日」(笑)としておいて、各人のコースや志望の進路に応じて、補習・講義なり部活なりがあるという、そういう仕組みになっています。
事情を知らない外部の素人が見ると、あたかも特進コースの生徒が文武両道で、セルフ・コントロール力の高い人材に見える(笑)、という仕組みです。
形式的に、特進クラスの子を、応援団とかに当番のように協力させて、部活に少しだけ参加させたりもします。こうする事で、形式的に「文武両道」(笑)とさせたりもするようです。
中学の時点で部活の時間が少ない中高一貫校
[編集]地味な差ですが、中高一貫校では、中学段階の時間割も、高校に準じた時間割なので、そのため授業時間数が長く、週に2日、午後4:30まで中学でも授業があったりします。これは国公立の中高一貫校でも同様です。実際、神戸大学付属の中高一貫校の時間割がそうなっています[13]。(なお、一般的な公立中学では、午後3:30までが授業です。)
このように、進学校では時間割などで元から、部活に与えられられた時間が少ないのです。
けっして、べつに部活と学業の両立が上手いのではなく、そもそも部活の時間が少ないのが、上述のいくつもの進学校を調査した結果の事実です。
なお、私大でも、総合型選抜の枠は意外と少ない大学も多くあります(多くが指定校推薦や付属などから受験生を取る)。たとえば同志社大学と近畿大学は、総合型の枠がかなり少ないです[14]。なので、あまり総合型選抜対策(つまり探究)だけに時間を投入するのも問題です。基本は学校の勉強と一般入試対策です。
総合型選抜は専願なのが普通です。他大との総合型選抜の併願は困難な大学が多くあります[15]。このため、年明け前は1校しか大学受験できないのが基本です。たとえ募集要項では「専願」という言い回しでは書いてなくても、「合格後の入学を確約できる者」とか「本学への入学を第一志望とする者」など確約・第一志望などの条件があれば、それは専願という意味です。
なお、私大の総合型選抜の出願の要件として、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求して足切りとしている私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。
ほか、総合型選抜の推薦の要件としてよくあるのは評定平均 4.0 以上とかですが、しかし評定平均は高校によって採点の基準が甘かったりするので大学側が信用していないのでしょう。そのため、足切りとして英検2級以上などを大学側が要求しているのでしょう。2020年以降の現代、評定平均のつけかたは絶対評価です。昭和生まれ・平成初期生まれの世代は評定平均が絶対相対(3.0が平均だった)のです。今は「評定平均4.0以上の生徒です」と言っても平均より優秀かどうか不明ですので、それだけでは信用できません。
難関大学などだと、総合型選抜のエントリー期間が9月中の場合もあります。それ以降は志願できません。
ほか、総合型選抜に限った話ではないのですが、合格しても、入学手続きの締め切りが短く、4日間くらいしかないような大学も多々あります。出願方法がweb出願に限る大学、または合格発表がweb出願に限る大学もあります。
部活と文化祭が高校3年に無い私立高校
[編集]私立のいくつかの進学校では、そもそも高校3年生に部活が無く、また文化祭も高校3年生にはありません[16]。開成高校がそうらしいです。つまり、部活も文化祭も、高校2年まで、という高校があります。
これに近い別の手法として、文化祭も体育祭も1学期に開催することで1学期中にこれらの練習時間を要する行事を終わらせる進学校もチラホラあります。どちらにせよ、上述のような方法で、3年生の2学期以降は、学校行事レベルから受験勉強だけに専念できます。
学校説明会が文化祭と同日の私立高校
[編集]私立高校によっては、学校説明会が、文化祭と同日に特別教室などで開催されている場合もあります。まあ、文化祭の日にち以外にも説明会はあると思いますが。
説明会に参加した場合、当然ですが、その時間帯に開催されている文化部の出し物は、見れません。
「文化部の出し物が気になるような人は、最初から、うちの高校には進学するな」って事です。
「文化祭の見学なんて、説明会の帰りのついで、で良い」という事。
説明会の帰りのついでに、受験会場になりうる校舎の下見をして、そのついでに文化祭の出し物を見る、・・・そんな程度で良い。 という事。
むしろ、「それ以上の芸術的な文化水準の高さを、わが高校に期待されても困る。わが高校は、そのような期待には応えられないし、答える意思も無い」という事です。医学部の合格者数を競っているような進学高校に、文化祭の水準を求めるな、って事です。
まあ、別の考えで、文化祭と同日に開催している場合もあると思いますが。
夜間授業のある高校
[編集]コースによっては高校2年のうちに3年間の教科書の範囲が終わるとか。[17]
私立は中学時点で既に部活の出席日数が少なめ
[編集]私立の中学など、そもそも部活の出席日数が週5日ではない場合もあります。運動部ですら、週に4日(たとえば月火金土または火水金土など)の場合もあります。私立によっては週3日の運動部もあります。そして私立の中高一貫校では、同様の出席日数が高校でも続きます。
余った時間を、調べ学習に使えたりするのです。
部活ごとの活動日の格差
[編集]高校の文化部は、部活によって活動日がとても違います。高校の部活は、たとえば美術部などは週に1~2日程度だったりする一方、吹奏楽部は水曜日定休で月~土の週5日だったりと、部活事に活動日の差が大きいです。
吹奏楽のような集団活動の場合、チームで練習する必要があるので、活動日は多くなりがちです。ほか、軽音楽部も同様に出席日数が多くなる場合があります。
ただし、活動日の少なめの部活でも自主練が要求されることもあるので、実際には活動日よりも多くの練習が必要です。たとえば、部員が少なめの部活の演劇部や美術部などは、出し物の作品を作る・仕上げる必要があるので、実際には活動日以外も、練習や制作をすることになります。また、この自主練のため、空いた時間に別の部活を入れて掛け持ちをするのは、かなり難しいです。せいぜい、茶道部と華道部とが別々の場合に掛け持ちするくらいでしょう。
それでも部活に入るなら
[編集]部活に関しては、技能を高める視点だけでなく、将来における自己紹介も兼ねて入部先を考えるのが良いでしょう。たとえば、家でどんなに音楽や絵の練習をしていても、それを客観的に証明するのは、とても難しいのです。部活などのなんらかの団体などに所属せずに、個人で証明をしようとすると、いきなりセミプロ級~中上位アマチュアの能力が要求されたりします。スポーツの場合だと、そもそも設備を確保するのが難しい。
「軽音楽をやりたいのに、高校に軽音楽部も軽音楽サークルも無い。音楽部や合唱部ならある」などの場合、少しくらい部の内容が自分のしたい事とは違っていても、それでも音楽という同じグループである部に所属するのが無難でしょう。
「マンガ絵やアニメ絵を描きたいのに美術部しかない」みたいな場合も同様、美術部が無難です。
個人で能力を証明するのは、かなりハードルが高いのです。
特に進学校などだと、学業で忙しくて練習などが余り出来なくても、そういうのを世間の消費者の大人は分かってくれません。
大学の部活動の問題点
[編集]- ※ 高校生活というより大学生活かもしれませんが、しかし高校3年のさいの志望校決めに大きく関わってきますので、とりあえず、ついでにこのページで紹介します。(大学進学後に問題点に気づいても、遅いので。)
音楽室など教室の問題
[編集]芸術・家庭科の設備の不足
[編集]一般的な日本の大学では、部活について、体育以外の音楽・美術・家庭科などの分野の設備が不足しています。どちらかというと、日本の大半の大学では、比較的に体育科目だけ、音楽などよりも設備が充実しています(体育館の充実など)。
もし読者が、音楽・美術の分野を、高校の授業以上に学習・練習することを志望する場合、決して「大学に合格してから 吹奏楽部/美術部 に入ろう」なんて考えずに、高校のうちから希望の分野に近い部活に入ることを強く推奨します。
具体的に言うと、文学部・経済学部・法学部や理系の学部などの多くの大学で、高校のような体育館(あるいは高校以上の体育館)は存在するにもかかわらず、一方で高校のような音楽室も美術室も存在しない場合が大半でしょう。
このため、もし読者が将来的な大学進学を予定している場合、たとえば「大学に入ってから美術を勉強しよう」などと思っても、高校のような美術部の訓練を大学ではあまり受けられない場合もあります。
そもそも、多くの大学で、美術教師も音楽教師もいない場合もあります。なぜなら、美大・音大ではない一般の大学には、そもそも美術科目や音楽科目の授業が無いからです。
かつて大学の必修科目で体育科目がありましたが(平成の規制緩和で現代では体育は必修ではなくなっている)、しかし音楽・美術・家庭科などは元から一般の大学では必修ではなく、そのため一般の大学では科目の存在自体をしてないのが普通なのが美術・音楽・家庭科などの実情です。
あるいは音楽の場合なら、仮に大学に音楽室が存在したとしても、例えば大学の音楽室なら一般の教室をすこし防音化したものにすぎず(たとえばガラス窓が単に2重窓になったのと、教室入り口のドアが分厚くなっただけで、他は一般教室と同じだったりする)、あまり音楽室(のようなもの)が本格的でなかったりします。このため、大学の音楽系の部屋では使用できる楽器が限られる場合もあります。
ただし、多くの大学で運動部が存在するので運動部の応援のために吹奏楽部が存在するのが普通なので、まだ吹奏楽部はなんとかなります。軽音楽サークルはどうだか知りませんが、多くの大学で軽音楽サークルが存在していますので、なんとかなるかもしれません。
問題は、美術です。美術室に限っては大学では存在すらしない場合もあり、一般の教室や部室などを流用したりする場合もあります。このため、油絵など有機系の塗料を使うものは大学では描けない場合もあります。水彩の絵の具を大学で使うのも、なかなかキツい場合があります(家で絵の具を使うことになるかもしれません)。
たとえば私大とその付属高校によっては、私大本体よりも付属高校のほうが音楽・美術に関する設備が上回っている場合すら、ありえます。
このため、「大学に入ってから〇〇(音楽・美術など)の部活を始めよう」とか思ってると、高校以下の設備、顧問からの高校以下の教育で始めることになってしまいます。なので、音楽・美術の部活に入ってみたいと思っている場合、高校から始めるのが安全です。
そもそも大学の場合、吹奏楽部やイラスト系部活・同好会の顧問の教員が、その科目の専攻でない場合もあるかもしれません。
体育設備の注意点
[編集]校庭の無い私立大学もあります。
大学の体育の設備について、都心23区内や京都・大阪などの中心街にある私立大学の場合、一見すると室内の体育設備が充実しているようにパンフレット紹介されていたりする大学もありますが、よくよくネットで公式情報を調べると都心キャンパス・中心街キャンパスにそもそも校庭の無い私立大学も多々あります(大学での体育の授業は室内ばかり、とか。部活の運動部はキャンパスから電車で行くレベルで離れた郊外の練習場を使っている)。「存在する設備」だけでなく「存在しない設備」にも注意しましょう。
高校の場合、1年ごとに体育が週2~4時間だったりするのに、一方で大学では4年間で体育が週に2時間だったりします。大学は科目の選択の自由度が高いので、週2時間以上の時間数の体育科目を授業で受けられる場合もありますが、しかし専攻科目の授業の増大により、時間的に必修以上に体育などの科目に充てるのは難しくなっているのが21世紀の現状です。
都心でない郊外でも、体育設備が歴史的な経緯で比較的に充実しているのにかかわらず、21世紀では大学の授業が難しくなったりと忙しくなり、せっかくの体育設備がそれほど使えない場合もあります。
- 理科室の少ない大学も・・・
なお理科室も、高校は 生物室 ・ 化学室 ・ 物理室&地学室 とかで3室以上があったのに、一方で大学だと、大学によっては「第一理科室」「第二理科室」みたいに理科室の数が2室に減っている場合もあります。 もしかしたら小・中学校みたいに大学でも理科室が1室かもしれません(大学にも寄る)。大学の進学前に、事前に覚悟しておくこと。
まあ、中学技術家庭科であった木工室・金工室などは高校には無いし、(教育学部や工学部以外の)多くの大学にも当然ながら無いです。まあ、木工や金工はイザとなれば、近所のホームセンターで工具を買ってきて自分で工作すれば済みます。設備が必要な場合でも、市町村の職業訓練所みたいな公共施設もありますので、その分野に就職する気になった場合は職業訓練所も参考に。
サークル部室が少ない大学も・・・
[編集]大学では、土地不足や、学生運動の対策などで、部活や同好会などに各部の専用の部室が無い場合もあります。大学の場合、「学生会館」などの名前のサークル棟で他の部活とまとめて、時間や月日を決めて期間限定で借りるシステムになっている場合もあります[18]。
弱小の部活でも専用の部室があるのは、高校卒業までです。なので高校時代に部活を楽しみましょう。
理科系の大学や国公立の大学など、サークル棟は狭かったり、校舎から遠かったりします[19]。
東京大学は、1~2年と3~4年の校舎が別の場所ですが、サークル棟は1~2年の校舎に集まっています。このため、3~4年は事実上、部活をするな、という文化です[20]。日本の他大もこれにならっており、さらに企業もこれにならった採用活動しているので、多くの他大では3~4年の間は部活が難しくなるのが現実です。これが日本の企業および大学の実態です。就活の前倒しだの、インターンだので、もう3年生からは、あまり部活動・サークル活動を出来なくなります。文句があるなら日本企業に文句を言うべきだし、そもそもそういう企業の商品を購入しているのはあなた自身、またはあなたの親兄弟ですので、自業自得でしょう。
医学部と法学部では部活動は困難
[編集]医歯薬系など医療系の大学なんて学業も忙しいので、国公立の医療系学部の場合、もはや文化祭の出し物の練習などしている暇はありません。たとえば、医学部のある総合大学の文化部の出し物を見ても、メンバーの学科には医学部の部員は基本、いません。理系メンバーがいるとしても、せいぜい工学部や理学部などです。工学部といっても、国際情報なんとか学科だの社会情報なんとか学科だの、そういった学際分野の人かもしれません。
運動部などだと、テレビ番組でも大学駅伝や大学野球を見ても公式大会に出場するのは文系の学部学科の人ばかりなので、運動部については理系の学科では学業と部活動との両立が難しいと知っている読者も多いと思います。実は文化部でも同様、理系の学科では学業と文化部との両立は困難です。
見落としがちですが法学部も同様、国家試験などを目指す場合には学業と部活動との両立は困難です。官僚や、裁判官や検察や弁護士などの法曹、などへの就職を考える場合、法学部は、部活動をあきらめる必要があります。
官庁に限らず市役所や都道府県庁など、多くの役所への就職活動は、年齢制限があります。このため、専門以外のことを練習する時間は、(採用試験にある教養試験の対策を除けば)あまり、ないのです。
公務員で、年齢制限がほぼ無いのは(ただし定年に近いと、さすがに業界未経験者は不採用)、たとえば公立小中学校・公立高校の教員などです。しかしそれは、教職課程や教育学部の話であるので、法学部の就職先とは異なります。
法曹とは、弁護士・裁判官・検察の3つです(「法曹三者」ともいう)。これら法曹三者では、司法試験への合格が必要です。さらに、司法試験の受験資格は「ロースクールの修了から5年以内に5回まで」という時間的な制限があります。
このため、司法試験が必要な職業では、大学院に入ってしまうと部活動は無理です。実質的には、学部の段階でもう、司法試験志望者には部活動は無理です。
さて、官僚や裁判官や検察などの法曹には、高い専門性が求められます。しかし、教養については、高さと広さは求められないのです。あくまで、学歴フィルターに引っかからない程度の学力と、それらの放送の採用試験の「教養問題」で高得点を取れる程度の教養があれば十分なのです。
それ以上の教養や分野外の知識については、法曹の仕事では専門家に依頼します。
たとえば裁判で、自動車事故を扱う場合でも、裁判官は自動車工学や道路工学なんて知らないので、工業大学や自動車メーカーなどの専門家にアドバイスをもらいます。このように、裁判官には、専門家にアドバイスをもらう制度があります。(鑑識(かんしき)や鑑定(かんてい)などの制度です。)
官庁でも、たとえばスポーツ庁が文科省の管轄だからといって、文科省の役人の多くにはスポーツの腕前は不要です。文化庁は文科省の管轄ですが、文科省の役人の多くは、楽器もロクに演奏できないし、絵の画力も人並みでしょう。
官僚や弁護士などの国家試験や採用試験を目指さないなら、法学部でも部活動との両立は可能ですので、私学などのスポーツ推薦で法学部に入学している人もいると思います。
だから、テレビの大学駅伝や大学野球などの選手に、法学部の人もいるかもしれません。
しかし、官僚などを目指す場合、基本的には部活動との両立は困難です。部活動に在籍することは可能ですが、しかし公式試合などの出場などができるほどに技量を高めるトレーニングを積むのは、時間的に、国公立の法学部ではとても困難です。
大学の宗教サークル
[編集]そのほか、大学のサークル活動の問題点として、一部の悪質な宗教系のサークルが、正体を隠して新入生などに勧誘活動している、という実態もあります[21]。
大学進学した際、サークルより部活動に入ったほうが良いと教員が個人的意見を言ったりするのには、このような事情もあるかもしれません。もちろん、多くのサークルはマジメにサークル名通りの活動をしていると思いますが、残念ながら一部の詐欺的な悪質サークルを、日本の大学では排除できません。
やはり部活動などは高校時代のうちに熱心に活動したほうが良いでしょう。
大学の文化祭などに行くと、そういった悪質サークルにも遭遇してしまいます。なので高校生のうちは、文化祭を見るなら、高校(自校も他校も)の文化祭を重点的に回るのが良いでしょう。大学のサークルには期待しないほうが良いでしょう。
高校図書室・大学図書館の音楽書や美術書などの問題
[編集]部屋だけの問題ではありません。大学の図書室の蔵書と、高校の図書室の蔵書の関係も、似たような問題があります。具体的に言うと、高校図書室の音楽書・美術書のほうが、大半の大学の音楽書・美術書の本棚よりも本格的かもしれません。
なお、大学の「教養課程」というので習う科目の「経済学」「法学」「英語」「ドイツ語」「フランス語」(ドイツ語・フランス語は「第二外国語」でよくある)「数学」「理科」などは、さすがに高校よりもレベルの高い専門書が大学の図書館にそろえてあります。(「体育」は教養課程でありますが、あまりスポーツの技法書とか大学図書館には置いてありません。)
しかし、その教養課程から外れる、音楽・美術とかの専門書、あるいは演劇部のための演劇書など部活動のための専門書については、高校よりも大学図書館の蔵書レベルが劣るか、ハナっから蔵書が無いとかだったりします。大学の進学前に覚悟すること。
まあ、書籍については高校卒業も一般の書店で購入できるので、あまり高校時代に急いで読む必要はありません。ですが、できれば高校在学中に図書室にどんな蔵書があるかは確認しておくと、後々の人生で、大学の専攻以外の分野での良書を確認するのに役立つかもしれませません。
大学の場合、たとえ総合大学やマンモス大学であったり、あるいは教育学部を持っていても、学部や学科によって校舎が他市町村レベルや下手したら他県レベルで離れていたりするので、そのせいで、大学生が学部の専門外の内容の蔵書を確認するには、異なる学部の蔵書を確認する必要があり、したがって異なる地域の校舎の蔵書を確認する羽目になり、ともかく大学だと専門外の書籍の確認がかなり面倒です。
大学図書館が、日曜日だと閉館している場合がよくあります。多くの大学の図書館では、授業中の月曜~土曜が開館日なので、よって日曜が閉館日なのです。このため、仮に大学生が「日曜日に大学の他学部の図書館を見学しよう」とか思っても、しかし日曜日はその他学部の図書館が閉館しているので蔵書を見れません。なので、高校在学中に、将来的に進学しそうな分野の専門外の書籍についても、高校図書室で蔵書を確認したほうが良いでしょう。
高校時代に、図書室の蔵書を全体的に眺めるだけでもいいので、眺めておきましょう。大学は学部の専門外の分野になると蔵書が高校よりも劣る場合が大半です。
脚注
[編集]- ^ 『探究的な活動 | 豊島岡女子学園 中学校・高等学校』
- ^ 『放課後探究活動 “ReaLab” がスタート! | お知らせ | 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市の中高一貫・共学校)』
- ^ 『探究の部屋へようこそ! - 駒場学園高等学校』2022.09.06
- ^ 『探究学習で魅力ある高校に! 加賀市だからこそ学べる教育で、グローカル人材を育成する。』2023年8月29日
- ^ 『学校生活 | 開智高等学校 - 学校法人開智学園』
- ^ 『多面的な学習サポート | 聖望学園中学校高等学校』
- ^ 『『学校改革とICT活用~授業デザインの変容!!教えるから共創するへ~』(前編)|熊井 允人(日本体育大学柏高等学校)|iTeachers TV 〜教育ICTの実践者たち〜【Vol.406】』, iTeachers TV , 2024/04/24
- ^ (動画)塾講師チャンネル『学校教員とカリキュラムの裏側を元教員に聞いてみた!』2024/04/26
- ^ CASTDICE『自称進を超えるガチ過激自称進の特徴7選』2023/03/09
- ^ 『【自称進学校列伝】恐るべき自称進マインドの実態を自称進学校出身者が暴く!』, 2021/08/24
- ^ 『面倒見がよく、進学実績も高まりつつある埼玉の進学校…広野雅明<30> 』, 読売新聞オンライン , 2024/07/25 06:00
- ^ (動画)山内太地 『学力が低い私立高校が生き残る方法』, 2021/12/05
- ^ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』
- ^ (動画)山内太地 『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』、2022/10/13
- ^ 『総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう | 洋々LABO』
- ^ コバショー『日本一の都立・日比谷が凋落から返り咲いた理由』2024/04/18 2024年04月18日に確認.
- ^ 『学習指導 - 【公式】学校法人秀明学園』
- ^ 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15
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- ^ 三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済連生活協同組合連合会 著『大学生が狙われる50の危険』、青春出版社、2023年2月2日 発売