高等学校化学I/金属元素の単体と化合物/アルカリ金属/化合物

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金属元素 アルカリ金属元素 2族元素 典型金属 遷移金属
  単体 化合物      

アルカリ金属の化合物[編集]

アルカリ金属は様々な化合物を作る。この章ではアルカリ金属の中でも、特にナトリウムの化合物について学ぶ。


水酸化物[編集]

アルカリ金属の単体が水と反応すると水酸化物となる。たとえばリチウムは水酸化リチウム(LiOH)に、ナトリウムは水酸化ナトリウム(NaOH)に、カリウムは水酸化カリウム(KOH)になる。

水酸化ナトリウムの工業的な製法については、塩化ナトリウム NaCl 水溶液の電気分解によって製造される。

常温では白色の固体であり、水によく溶けて、いずれの水溶液も強塩基性を示す。このため皮膚を冒す性質があり、取り扱いに注意する。

水酸化ナトリウム

水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの固体は吸湿性があり、空気中に放置すると水蒸気を吸収してその水に溶けてしまう。この現象を潮解(ちょうかい、deliquescenece)という。

水溶液も吸湿性があるため、長時間放置すると溶液の濃度が変化する。したがって精密さを要する実験では、直前に水溶液を調整するようにするとともに、中和滴定などにより正確な濃度を測る必要がある。

また水酸化ナトリウムは水分を吸収するだけでなく、空気中の二酸化炭素も吸収して、炭酸塩の炭酸ナトリウム(Na2CO3)を生じる。

2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O

この性質から、二酸化炭素の吸収剤として用いられることがある。

水酸化ナトリウムの産業上の用途は、製紙業でのパルプの製造、石油の精製、繊維の製造、セッケンの製造、などで用いられている。 水酸化ナトリウムは化学工業などでは「カセイ ソーダ」(苛性ソーダ)とも呼ばれる。


炭酸塩・炭酸水素塩[編集]

炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)と炭酸ナトリウム(Na2CO3)は共に白色の粉末である。工業的にはアンモニアソーダ法ソルベー法とも呼ばれる)により製造される。アンモニアソーダ法は炭酸ナトリウムの工業的製法であるが、塩化カルシウムも同時に生産される。また、製造の過程で炭酸水素ナトリウムが得られる。

アンモニアソーダ法(ソルベー法)

(※ 「アンモニアソーダ法」として多くの検定教科書に書いてある反応は、下記の2式。この2式を優先して覚えよう。)

NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NH4Cl + NaHCO3
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O


(※ 「アンモニアソーダ法」の詳細は以下のとおり。発展的な検定教科書には下記の詳細も書かれているので、これも高校範囲である。)

アンモニアソーダ法の反応経路図
アンモニアソーダ法(ソルベー法)
  1. 炭酸カルシウムを加熱して酸化カルシウムと二酸化炭素を得る。
    CaCO3 → CaO + CO2
  2. 塩化ナトリウムの飽和水溶液と、アンモニアおよび1.で得た二酸化炭素を反応させ、塩化アンモニウムと炭酸水素ナトリウムを得る。
    NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NH4Cl + NaHCO3
  3. 炭酸水素ナトリウムを加熱すると炭酸ナトリウムが得られる。ここで発生する二酸化炭素は回収して2.の反応で再利用する。
    2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
  4. 1.で得た酸化カルシウムに水をくわえ、水酸化カルシウムとする。
    CaO + H2O → Ca(OH)2
  5. 4.で得た水酸化カルシウムを2.で得た塩化アンモニウムと反応させ、塩化カルシウムとアンモニアを得る。このアンモニアは回収して2.の反応で再利用する。
    2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O

炭酸ナトリウム[編集]

炭酸水素ナトリウムは、熱分解して炭酸ナトリウム(sodium carbonate)となる。炭酸ナトリウムは白色の粉末で、水に溶け、水溶液は塩基性を示す。

炭酸ナトリウムは加熱しても、分解しない。

炭酸ナトリウムは弱酸と強塩基の塩であり、水に溶けると加水分解して塩基性を示す。

Na2CO3 → 2Na+ + CO32-
CO32- + H2O ⇄ HCO3- + OH-

炭酸ナトリウム水溶液を冷却すると十水和物 Na2CO3・10H2O の無色透明の結晶が得られる。この Na2CO3・10H2O の結晶は空気中に放置すると水和水の大部分を失って、白色粉末の一水和物 Na2CO3・H2O となる。この現象は風解(ふうかい、efflorescence)と呼ばれる。


炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムは、ともに強酸と反応して二酸化炭素を生じる。

Na2CO3 + 2H2SO4 → Na2SO4 + H2O + CO2

炭酸ナトリウムは、ガラスの製造などに用いられる。


炭酸水素ナトリウム[編集]

炭酸水素ナトリウム NaHCO3 は白色粉末で、水に少し溶け、水溶液は加水分解により弱塩基性を示す。炭酸水素ナトリウムは重曹(じゅうそう)ともいう。

炭酸水素ナトリウムを熱すると、分解して二酸化炭素を発生する。

2NaH2CO3 → Na2CO3 + H2O + CO2

(上記の反応は、ソルベー法での炭酸水素ナトリウムの分解反応と同じ。)

炭酸水素ナトリウムの用途は、発泡剤やベーキングパウダー(ふくらし粉)、入浴剤の発泡剤成分、などとして用いられている。

また、強酸で、二酸化炭素を発生する。

NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2

塩化物[編集]

塩化ナトリウムの結晶

水酸化ナトリウムに塩酸を加えると、中和反応を起こし塩化ナトリウム(NaCl)を生じる。

NaOH + HCl → NaCl + H2O

塩化ナトリウムは天然では岩塩に豊富に含まれており、食塩の主成分としても有名である。工業的には海水を濃縮することにより得られる。

塩化ナトリウムを融解塩電解すると単体のナトリウムが得られる。

2NaCl → 2Na↓ + Cl2

塩化ナトリウム水溶液を電気分解すると、陽極から塩素が発生し、陰極から水素が発生する。このとき陰極側では水の電気分解反応が起こっており、水酸化物イオンが生じている。

2H2O → H2 + 2OH-

溶液中にはナトリウムイオンが残るため、陰極付近では水酸化ナトリウムの水溶液が得られる。この原理は工業的な水酸化ナトリウムおよび塩素・水素の製造法として応用されており、陽イオン交換膜を用いることからイオン交換膜法と呼ばれる。