高等学校古文/敬語
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敬語―敬意を含む語のこと。
分類
[編集]誰を敬って使うかで分類する。
- 1.尊敬語
- 動作の主体(Subject、「~が」に当たる部分)を敬う
- 2.謙譲語
- 動作の客体(Object、「~を」「~に」「~の所に」に当たる部分)を敬う(例外あり、下部参照)
- 3.丁寧語
- 聞き手を敬う。ほぼ会話文で使われる。
敬語の語順
[編集]二種類以上の敬語を重ねて使う場合は 謙譲語+尊敬語+丁寧語 の順に重ねる。
二方面の敬語
[編集]動作の主体(主語)と客体(相手)が両方とも敬うべき貴人の場合に用いる
誰からの敬意か
[編集]- 地の文―→作者(語り手)から
- 会話文―→話し手から
謙譲語について
[編集]現代語において
自分が主語、もしくは自分と同じ側の立場の人が主語の時のみ使う
→小・中学校では「へりくだる」と習う。
古典において
幅広く使う
ex.)天皇が主語の謙譲語
最高の身分でへりくだる必要がない
→高校では「動作の客体を敬う」と習う。
謙譲語が「動作主がへりくだって相手の動作を敬う」という考え方だと支障が出る例。
[編集]『紫式部日記』に次のような一節がある。中宮彰子が若宮(後一条天皇)を出産した直後の条で若宮はこの時、生後約一ヶ月である。
あるときは(若宮が道長殿に)わりなき わざ しかけ たてまつり たまへ る を |
- わりなき=道理にあわない、わりなきわざ=小便をひっかけること
もし謙譲語が「動作主がへりくだって相手の動作を敬う」という考え方ならば、「たてまつり」は、若宮から道長への敬意を表すことになるが、生後約一ヶ月の赤ちゃんにそんな芸当は不可能である。
したがって、この場合は語り手(作者=紫式部)から動作の客体の道長への敬意と考えるべきである。
例外
[編集]自己卑下を表す謙譲語
下二段活用「給ふ」
[編集]未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|---|---|
給ふ | 給へ | 給へ | 給ふ | 給ふる | 給ふれ | 給へよ |
- 終止形と命令形は使わない
- 会話文・手紙文に限って使われる、特殊な謙譲語
- 動作主体は必ず話し手自身(「私は」と補えば必ず文意が通じる)。
- 必ず「思ふ・見る・聞く・知る」の直後につく
- 敬意の方向は話し手から聞き手へ(丁寧語と同じ)。
訳し方 ~ます
動詞の上につく「まかり~」
[編集]- 訳し方は下二段活用「給ふ」と同じ
- 会話文・手紙文の他、勅撰集の詞書にも使われる