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高等学校古文/漢文の読み方/返読文字

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
漢文
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返読文字とは、先に述べた「ヲ・ニ・ト・ヨリ」がなくとも返り点を打つ文字のことである。 (目的語を示す「~ヲ」、補語を示す「~ニ」「~ト」「~ヨリ」の送り仮名のつく文字には原則として返り点が付く。「ヲニト会ったらそこヨリ返れ(鬼とあったらそこより返れ)」と覚えるとよい。) なお、返読文字の横にはカッコで読み仮名と送り仮名を記載してある。読み仮名は平仮名、送り仮名は片仮名で書いている。また、返り点と送り仮名も漢文の読み方と同様にしている。漢字は新字体(現代の漢字)に直している。留意点として、これは訓読において便宜的に名付けられたものであり、漢語に返読文字という概念は存在しない。

返読文字

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有(あリ)

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  • 人。→人有り。
  • 人生有生死。→人生生死有り。

無・莫(なシ)

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  • 人。→人無し。
  • 人莫ザルハ飲食也。→人飲食せざるは莫きなり。

無・勿・毋・莫(なカレ)

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  • 寧為ルトモ鶏口、無カレルコト牛後。→寧ろ鶏口と為るとも、牛後と為ること無かれ。
  • ンデカレフコト。→慎んで与(とも)に戦ふこと勿かれ。
  • カレヒテスル也。→従ひて倶(とも)に死する毋かれ。
  • カレフル。→愁ふる莫かれ。

不・弗(ず)

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※書き下し文では平仮名にする。

  • ヒテルコト也。→物に於いて陷さざること無し。
  • 人弗フル也。→其の人応ふる能はざるなり。

非(~ニあらズ)

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※必ず前に読む言葉に「に」をとり、送り仮名「ず」をつける。

  • 君非崔護耶。→君崔護(人名)に非ずや。

多(おほシ)・少(すくなシ)

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  • クシテ大言、少成事。→大言多くして、成事少なし。

難(かたシ)・易(やすシ)

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  • 少年易、学難。→少年老い易く、学成り難し。

可(べシ)

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※書き下し文では平仮名にする。

  • 君努力シテズレバ。→君努力して天に生ずれば即ち見るべし。
  • 匹夫不カラ也。→匹夫も志を奪うべからざるなり。

能(あたフ)

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  • スコトルガグル。→人を殺すこと挙ぐる能はざるが如し。

如・若(ごとシ)

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  • 夜行クガ→繍を衣(き)て夜行くが如し。
  • キガ人→傍らに人無きが若し。

所(ところ)

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  • 項王漢軍数百人ナリ。→項王の殺す所の漢軍数百人なり。

所以(ゆゑん)

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※ハイフンを伴うことが多い。

  • 百獣以走也。→是れ百獣の走る所以なり。

自・従(より)

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※書き下し文では平仮名にする。

  • 隗始メヨ。→先(ま)づ隗(かい)より始めよ。
  • 朋、自ヨリ遠方タル。→朋有り、遠方より来たる。

与(と)

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※書き下し文では平仮名にする。

  • 諸侯マン。→諸侯と之を慎まん。

為(ためニ・たリ)

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※「たり」と読むときには平仮名にする。

  • 吾羞ルヲ。→吾(われ)之が下たるを羞(は)づ。
  • 人為動物。→人動物たり。

毎(ごとニ)

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  • 。→戦ふ毎に必ず勝つ。

雖(いへどモ)

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身不レバシカラ、雖スト。→其の身正しからざれば、令すと雖も従はず。

例文の縦書き

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これまでの例文を縦書きにしたものを画像ファイルとして掲載する。これまでの例文が見難かったらこちらを見てほしい。